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両岸間に「建設的曖昧さ」を、邱太三・行政院大陸委員会主任委員

  • 19 March, 2021
  • 早田健文
両岸間に「建設的曖昧さ」を、邱太三・行政院大陸委員会主任委員
台湾で対中国大陸事務を管轄する行政院大陸委員会」の邱太三・主任委員。台湾と中国大陸間で「建設的曖昧さ」という概念を提示。(写真:CNA)

台湾で対中国大陸事務を管轄する政府機関「行政院大陸委員会」の邱太三・主任委員は18日、就任後、初めての記者会見に臨み、台湾と中国大陸の間で「建設的曖昧さ」という概念が使用できないかとの考えを示しました。

また、中国大陸と台湾の最大野党・国民党が主張している「92年コンセンサス」については、台湾で大きな論議が起きており、すでに「建設的曖昧さ」という概念に置き換えることはできなくなっていると指摘しました。

邱太三・主任委員はこの中で、台湾と中国大陸の台湾海峡両岸は、より友好的で、良好なお付き合いができるはずであり、双方が「建設的曖昧さ」を持つことができるかどうかは、互いの知恵と態度に頼る必要があると指摘しました。

邱太三・主任委員によりますと、「建設的曖昧さ」という概念は、アメリカのキッシンジャー元国務長官が提示したもので、交渉の双方が、敏感な議題を曖昧にすることが可能だというものです。

中国大陸と台湾の最大野党・国民党が主張している「92年コンセンサス」は、1992年に台湾と中国大陸の双方の窓口団体が香港で会談を行った際にまとまったとされる、「1つの中国」に関するコンセンサスです。当時の与党だった現在の最大野党・国民党は、これを「1つの中国、各自解釈」と位置づけ、台湾側にとって「1つの中国」は中華民国であり、中国大陸側がこれをどう解釈するのかには関与しないと説明しています。中国大陸は、国民党が主張する「各自解釈」を認めたことはありませんが、「92年コンセンサス」を台湾と中国大陸の政治的交流の基礎と位置づけ、民進党の蔡英文政権に対してもこれを認めるよう要求しています。しかし、台湾の独自性を主張する蔡英文政権はこれを認めることを拒否し続けており、このため、中国大陸との間の政治的交流は閉ざされています。

邱太三・主任委員は、この「92年コンセンサス」が一種の「建設的曖昧さ」ではないのかとの見方に対して、「92年コンセンサス」という用語は、台湾で大きな論議が起きており、すでに「建設的曖昧さ」と呼ぶことができなくなっていると指摘しました。

「この言葉は、アメリカのキッシンジャー元国務長官が提示したもので、これは主に、交渉の中で、双方が敏感な、あるいは対立でまとまらない議題に対して、曖昧な用語を使うことで、双方の基本的な要求と立場を満足させることが可能で、それによって交渉を順調に進めることができるということだ。『92年コンセンサス』は我々の国内ですでに非常に大きな論議を引き起こしており、国民党内部でも異なる意見がある。この用語は、すでに『建設的曖昧さ』の替わりに使用することができない」。邱太三・主任委員は以上のように語っています。

また、邱太三・主任委員は、「私は、台湾海峡両岸は、もっと友好的で、もっと良好な相互関係と協力ができると考えている。自分が、または相手が、設定された枠組みに入ることを強要する必要はない」と語りました。そして、蔡英文・総統が2016年の就任演説で語った1992年の双方の会談を「歴史的事実」だとする政策的立場について、これは一歩踏み込んだ「建設的曖昧さ」であり、双方の知恵と態度を通じて、「さらに一つの最大の公約数を探そう」と呼び掛けました。

そして、「『平和、安定、発展』が両岸の最大公約数だということができる」と指摘し、、中国大陸に対して、十分に両岸の制度を理解し、マイナス面からの解読および誤った判断を避け、正面から積極的に両岸関係の発展を見ることをよびかけました。

また、中国大陸側に対して、人々の健康と福祉、両岸の良好な相互関係の基礎の上に、相応の調整と対応を行い、一方的な交流の制限を解除するよう呼びかけ、双方の努力によって、新型コロナウイルス感染が落ち着いて往来の制限が解除されたのち、両岸の関係を回復させることができると信じている、と語りました。

この「建設的曖昧さ」について、蘇貞昌・行政院長は、「台湾は自由民主の国家であり、国民は非常に善良だ。私たちに対して友好的な国家であれば、私たちはどことでも友好的にお付き合いする用意がある」と語りました。

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