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きょうのキーワード(木曜日) - 2024-04-11_月台座椅轉向

  • 11 April, 2024
きょうのキーワード(木曜日)
(写真:ロイター通信/TPG達志影像)

今日ご紹介するキーワードは「月台座椅轉向」。

これは、「ホームのベンチの向きを変える」という意味です。

一体どういうことでしょうか。

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在来線台湾鉄道では乗客の線路への転落事故が多発していて安全対策が問題となっています。

台湾鉄道の統計によると、2022年は18件、昨年(2023年)は更に増え34件、そして今年(2024年)は3月14日までに既に17件のホームからの転落事故が起きていて、この3年の間に22人が死亡、9人が負傷しているということです。

日本でも乗客の線路への転落事故防止のため、今では多くの鉄道会社でホーム扉を設置していますよね。

台湾でも、新交通システムMRTでは現在は全駅にホーム扉が設置されていますが、台湾新幹線こと台湾高速鉄道では台北駅のみ、台湾鉄道では現在のところまだどこにも設置されていません。

これについて、台湾中部・台中市にある逢甲大學のスマート運輸および物流イノベーションセンターの鍾慧諭・副主任は、「購入した時代が異なり、車両の型がどれも違っていることから、扉の位置や測定された長さが全てわずかに異なっている」と指摘、すべての車種にあわせるのは難しいと話しています。台湾鉄道では、既に南部の高雄駅に今年(2024年)の年末までにはホーム扉を設置する予定で検討をしてはいますが、なかなか設置が進まない状況にあるようです。

そんな中、一つの対策として、ホームにあるベンチの向きを90度変えている駅があります。

現在、多くの駅のホームでは、線路に対して平行な向きにベンチが設置されていて、線路に身体を向けて座るようになっていますが、線路に対して垂直、つまりホームの先を見る方向に座るようにベンチが設置されています。

台湾鉄道によると、これは日本の鉄道が行っている、酔った客の転落事故を防ぐための取り組みを参考にしているそうです。

日本の場合は、転落事故の原因のおよそ6割が泥酔した客がベンチから急に立ち上がり、一直線に線路へ向かい落下していることから、それを防ぐためにベンチの向きを変える駅が増えているというもので、台湾の場合、泥酔客はほとんど見かけませんが、台湾鉄道ではこれも転落防止対策として有効だと考えたようです。

ただ、多くの駅ではホームにスペースが足りず、ホームの広さやベンチの形、乗客の導線などを考慮した結果、現在、台北市の南港駅、松山駅、中部・台中市の大肚駅の3ヶ所のみ実施しているということです。

この対策に、ある利用者からは「例えば、気持ちが落ち込んでいて線路に飛び込みたくなりそうなとき、この向きのベンチであれば、エレベーターが目線の先にあることで注意をそらせる。人間は視覚的な生き物だから、そういう考えをすることがなくなるのではないか」という意見があった一方で、別の利用者からは、「そんなに変わらないと思う。線路に落ちるのは大体歩いている時だ。ホームの歩くスペースが狭いことが関係している」という意見もありました。

また、長年の習慣からか、ベンチは線路に対して垂直に設置されているのに、端の席に線路の方を向いて座っている利用者もいたようです。

台湾鉄道ではこのベンチの「ベンチの向きを変える」という取り組みは、今後、その他各駅もホームの状況を見て順次行っていく予定だそうですが、まずは実際に効果があるのかどうか、この3つの駅の状況を今後、観察して行くとしています。

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