国立故宮博物院の収蔵品の日本における展示会、「神品至宝」展は6月から日本の東京国立博物館で、10月からは九州国立博物館で開催される。故宮博物院の二大スターともいえる、「翠玉白菜」と「肉形石」が期間限定ながら展示されることが注目されているが、その他にも貴重な収蔵品が目白押し。
宋の時代(960年~1279年)の「汝窯蓮花式温碗」は磁器の碗。高さ10.4センチ。碗の直径が16.2センチ。底の直径は7.6センチ。碗は蓮の花の形で、ふちは10枚の花びらになっている。古代中号では仏教が伝来したことで、蓮の花のデザインが流行した。蓮は泥から生えて美しい花を咲かせることで、「純潔」を象徴。当時はこの碗に湯を入れ、そこに徳利を沈めて、皇帝の飲む酒を温めるために使ったものとされている。
独特の薄い水色ながら、釉薬の関係で碗のふちはピンクがかる。汝窯は現在の中国大陸・河南省にあった名窯。作品は世界に約70点しか残っておらず、そのうち21点が国立故宮博物院が収蔵。その中でももっとも美しく、保存状態がよいものが「汝窯蓮花式温碗」である。