夏の恒例のアートフェスティバルは、「福隆國際沙雕藝術季(通称:フーロン・サンドアート・フェスティバル)」だけではありません“塩”のアートも素敵ですよ。
7月2日から、台湾南部・台南市で「2022一見雙雕藝術季(SALT SCULPTURE ART FESTIVAL/ソルトアートフェスティバル)」が行われています。
このイベントは、2012年に始まったもので、今年11回目の開催。毎年、塩田を舞台に行われているアートイベントで、塩や砂、流木などを使って、彫刻と地域の要素を組み合わせ、地域の文化や自然景観を表現することが主なテーマです。
元々、“塩”をテーマにした彫刻が並ぶイベントだったんですが、2019年からは、その“塩の彫刻”に“プロジェクションマッピング”が組み合わさり、“静と動”の両方が楽しめるイベントとなっています。
そして、実は流木を使い始めたのは2021年から。SDGsの環境保全への取り組みの考えから、「塩」に加えて「流木」という、共に地元の素材を使ったアートイベントとしています。
今年の「2022一見雙雕藝術季)」のテーマは「鹽宇宙(塩の宇宙)」─。
台南市の七股區にある「七股鹽山」と、北門區にある「井仔腳瓦盤鹽田」が舞台となっていて、「七股鹽山」では、雲林・嘉義・台南それぞれの頭文字をとった「雲嘉南」エリアの地域の特性を組み合わせた12の彫刻が並んでいる他、当時の塩業文化を再現。「井仔腳瓦盤鹽田」では、プロジェクションマッピングショーが行われています。
≪七股鹽山≫
“塩の山”や、鹽如玉展示館、天日製塩体験コーナー、骨董機械展示コーナー、トロッコ列車などがあって、“塩”について楽しみながら学ぶこともできる“塩のテーマパーク”のようになっています。
また、園内のレストランでは、「塩コーヒー」や「塩アイス」なども販売していて、暑い日なんかは特に「塩アイス」が人気のようです。
“塩”に関連したDIY体験もできます。
●色付けた塩を瓶の中に積み重ねて、自分オリジナルの「グラス“ソルト”アート」。
⇒ 小瓶サイズは30台湾元(日本円約140円)/大瓶サイズは50元(約230円)
●バスソルトのDIY体験。
⇒ 100mlサイズで1瓶120元(約560円)
≪台灣鹽博物館≫
「七股鹽山」の敷地のお隣に、塩の山をイメージした2つの白い三角の建物、台湾で唯一の塩業に関する専門の博物館「台灣鹽博物館(台湾塩博物館)」があります。
ここでは、台湾数百年の塩業文化の記憶や記録を紹介していて、当時の塩田の風景や生活環境が、写真やパネルだけでなく、ジオラマで再現されていたり、まだ機械化されていない時代、実際に塩田で働く人たちがどれほど大変だったのか、実際に塩を担いで重さを体験することができたり、塩を使った製品にどのようなものがあるのかを分かりやすく紹介していたりします。
※現在、館内の改修工事中につき閉館。
●アクセス:在来線台湾鉄道「台南」駅下車、「台灣好行(台湾トリップ)」というシャトルバスの99番に乗って、およそ1時間半、「七股鹽山」バス停下車。
≪トーク③:井仔腳瓦盤鹽田≫
美しい“塩田”の風景を楽しむなら「井仔腳瓦盤鹽田」。
現存する最古の塩田で、200年以上の歴史があります。日本統治時代には「瀨東場」と呼ばれていて、元々は別の場所にありましたが、洪水のために2度移転し、1818年にこの台南の北門に作られ、現在に至っているそうで、この地に移転してから200年以上ですが、塩田としての歴史は300年以上あると言われています。
1818年当時、140以上もの製塩業者がこの地に移り住んできて開拓をしました。
当時、この一帯は荒れた土地で人は住んでおらず、木がうっそうと茂っている小さな丘と、そのわきに水質のいい水が湧き出して井戸だけがあったことから、この地が「井仔腳」と呼ばれるようになったそうです。
ここもやはり、天日干し製塩業は、人件費がかかりすぎるとして、2002年に終わりをつげたのですが、製塩業文化を継承するために塩田を復活させ、現在は、観光スポットとして生まれ変わっています。
●アクセス:在来線台湾鉄道「新營」駅下車、そこから「台灣好行(台湾トリップ)」バスの61番に乗って、およそ1時間半、「泰安宮(井仔腳鹽田)」バス停下車。
※「台灣好行」の61番のバスは、本数は少ないですが、「七股鹽山」と、「井仔腳瓦盤鹽田」、両方に行きます。