≪トーク①:福隆國際沙雕藝術季≫
台湾は今日9月18日から中秋の名月を愛でる「中秋節」の4連休です。新型コロナの影響で海外旅行に行けない中、国内旅行を楽しむ人も多いのですが、昨日9月17日から、台湾北東部・新北市の福隆の海水浴場で、夏の恒例イベント「福隆國際沙雕藝術季(フーロン国際サンドアートフェスティバル)」が始まりました。
本来は5月末から8月末にかけて開催される予定でしたが、新型コロナの感染拡大による警戒レベルの引き上げで延期に。さらには警戒レベルが引き下げられた後、7月に開催する予定で進めていましたが、台風の影響で一部の作品が壊れてしまったことからさらに延期となっていました。しかし今回、新型コロナの感染拡大が落ち着いてきたことなどから、この「中秋節」の連休にあわせて開幕することとなりました。
この福隆一帯は、普段は海水浴場として、海で泳いだり、ヨットやカヌーなどのマリンスポーツも楽しめる人気スポットです。そこにはおよそ3キロにわたる砂浜があって、その砂の質は柔らかく、水を加えると固めやすいという特徴の黄金色の砂浜で、世界サンドアート協会からサンドアートに最適なスポットだと認められている場所なんですよ。
2008年から始まったこの「福隆國際沙雕藝術季」は、毎年国内外からたくさんのアーティストが参加して、黄金色のビーチに大きな砂のアート作品が並びます。
毎年異なるテーマで行われるのですが、今年(2021年)のテーマは「重溫皮克斯經典(ピクサーの名作を再訪)」と題して、今回、初めて台湾のウォルト・ディズニー社と手を組み、アジア初のピクサーコラボの砂の彫刻達が登場!台湾のサンドアーティストたち10人が、およそ1か月半をかけて、40以上のピクサーの名作のキャラクターを作り上げました!
その中には、トイストーリーや、カーズ、モンスターズインクなど、13の映画をテーマにした、18の砂像があります。映画が始まるときに出てくるお馴染みの電気スタンドのキャラクター「ルクソーJr.」もいる“ピクサー”のロゴの砂像も登場しています。
でも今年も新型コロナの影響で、海外から見に来てもらうことは叶いませんが、夏の恒例イベントとなっていますので、新型コロナが世界的に落ち着いたらぜひ「福隆國際沙雕藝術季」に足を運んでみてくださいね。
もちろん、イベント開催期間中も、それ以外でも、夏は海水浴場として開放されていますので、台湾の海を楽しめますよ。
台北からも近いので、日帰りで遊びに行ってもいいですし、近くに一泊してゆっくり海を楽しんでもいいですね。
「福隆海水浴場」までのアクセスは、在来線台湾鉄道に乗って「福隆」駅下車。もしくは、台北駅の北の一番出口、北一門を出た目の前にあるバス停から國光客運の1811番「羅東」行きか、1812番「南方澳」行きのバスに乗って、「福隆」バス停下車です。
ただ、このバスで行く場合には、高速道路を通るため、必ず着席しなくてはならないので、満席の場合は乗れません。平日は満席になるという事は少ないようですが、本数もそれほど多くないので、ちゃんと確実に希望の時間のバスに乗りたい場合は、台北駅の東の一番出口、東一門から出た先にある國光客運のバスターミナルのカウンターで予約をするのがおススメですよ。覚えておいてくださいね。
≪トーク②:舊草嶺環狀自行車道≫
「福隆海水浴場」まで来たら、その周辺も楽しんでください。「福隆」に降り立ったら、サイクリングがおススメですよ!駅前にレンタサイクルのお店が何軒もありますので、そこで自転車を借りて、まずは「舊草嶺隧道(旧草嶺トンネル)」へ。
ここは、全長2,167メートルある元・鉄道が通っていたトンネルです。昔、台北と台湾北東部の宜蘭間の行き来は、厳しい地形からとても困難でした。日本統治時代に鉄道が敷かれましたが、工事の中で最も困難で危険だったのがこの「草嶺トンネル」だったそうです。このトンネルは1924年2月に開通し60年以上にわたって列車が走り続けていましたが、その後、単線のトンネルでは十分ではなくなったため、1986年に新しい「草嶺トンネル」が作られ、その後この「舊草嶺隧道」は20年近く封鎖されていました。
ところが、2008年に、台湾で初めて鉄道トンネルをサイクリングトンネルに生まれ変わらせ、正式にオープンしたんです。
「舊草嶺隧道」の中は、壁面は昔のまま、歴史を感じるものですが、そこに照明がつけられ明るくなっているので怖くはありませんよ。そして、床には鉄道トンネルだったことを伝える、線路の模様が描かれています。
また、トンネルの中には、新北市と宜蘭県との県境の看板もあって、そこで記念撮影する人もいますよ。
およそ2キロにわたるトンネルですので、自転車で大体15分から20分くらいでしょうか。「福隆」駅側の北口からトンネルに入り、南口から外に出ると、その先には海が広がっていることから、まるで「千と千尋の神隠し」の世界のように、違う場所へ迷い込んだかのような気分を味わえますよ。
南口を出たところに景観台もあって、そこからは遠くに「龜山島」も望むことができるので、ここでちょっと一休みして、それから今度はそのまま次のスポット「石城景觀區」まで向かいましょう!
ここは、300年前に当時台湾を統治していた西洋人が巨大な石で海岸に防波堤を作ったとされていることから「石城」と呼ばれるようになったそうです。
この「石城景觀區」にはカフェがあるので、海をのんびりと眺めながら休憩するのもいいかもしれません。
そして、続いては「萊萊海蝕平台(萊萊海蝕台地)」へ向かいましょう!
この「萊萊海蝕平台」は、その名の通り、海の波によって浸食された不思議な地形のスポット。まるで洗濯板のような模様になっていることから「魔鬼的洗衣板(悪魔の洗濯板)」と呼ばれたりしています。また、台湾最大の「火龍岩」と呼ばれる岩があって、まるで海に飛び込んだ龍の背骨が露出しているような形で平らな場所から飛び出ています。
これらの不思議な地質は全て山の活動によるものなんだそうですよ
龜山島も火山活動によって形成された火山島ですし、この宜蘭周辺はとても活発な活動の痕跡があちらこちらで見られます。
すぐ近くに「四角窟觀景台(四角窟展望台)」という景観スポットがあるので、そこに自転車を止めて、その「萊萊海蝕平台」や、ここからも遠くに「龜山島」を眺めることができますよ。
そしてこの「四角窟觀景台」には、ハートのオブジェやハートの花壇など、あちらこちらに“ハート”がありますので、そこで記念写真を撮るカップルも多くいますよ。
そして続いては、「三貂角燈塔(三貂角灯台)」へ。
ここは、以前このコーナーでも紹介したことがある、台湾最東端の灯台。
28秒ごとに白と赤の光が2回点滅することから、まるで白いドレスを着た少女が美しい海に向かってウインクしているようだと言われているそうです。
また、「三貂角燈塔」は別名「台湾の目」とも呼ばれていて、夜になると温かい光で船員の帰路を照らします。
そんな灯台の周辺にはかわいいオブジェがたくさんあって、人気のフォトスポットとなっていますよ。
そして「三貂角燈塔」も楽しんだら、続いては「卯澳漁村」にも足を延ばしてみてください。この地の名前の由来は、高いところから湾を見下ろすと、その形が“卯”の字に似ていることから「卯澳漁村」という名前になったそうです。ここは小さな漁村ですが、100年以上も前から住民のほとんどが漁業で生計を立てている場所です。
またここには、この地独特の文化資産である、かつてのケタガラン族の生活スタイルが想像できる“石でできた百年以上の歴史のある建物”という意味の「百年石頭厝」という建物がありますので、これもぜひ見てみてくださいね。
さらには「卯澳漁村」には特別な村民がいます。それは…「猫」!
いつもの~んびりと日光浴をしていたりして、とても癒されます。
“猫村”と呼ばれる新北市の猴硐ほどは多くありませんが、ここも猫好きに人気のスポットとなっているようです。
そして猫たちともいっぱい遊んだら、最後は再び「福隆」駅へ─。
このように、この「福隆」駅を基点として、ぐるりと海岸線を走るサイクリングコースを楽しんでみてはいかがですか?
実はこのルート、「舊草嶺環狀自行車道(旧草嶺環状サイクリングロード)」と言って、新北市観光局がおススメするサイクリングルートなんです。全長20キロに渡り、自転車ロードが整備されているのでとても走りやすくなっていて、海岸線に沿って、龜山島や山や海を楽しみながらサイクリングができますよ。
駅前のレンタサイクルショップでは、一般の自転車の他に、電動自転車のレンタルもやっているので、サイクリングはやってみたいけど、ちょっと体力に自信がないな…という方は、電動バイクで巡ってみてはいかがでしょうか。
なお、夏場のサイクリングは、日焼け防止対策と、水分補給を忘れないようにしてくださいね。
また、「舊草嶺隧道」は開放時間が限られています6月1日から9月30日までの夏場は、平日は朝8時半から夕方17時半まで、休日は朝8時半から夕方18時まで開放。10月1日から5月31日の冬から春にかけての期間は、朝8時半から夕方17時までの開放となっていますので、それだけは注意してくださいね。
≪トーク③:人気のお弁当屋さん「鄉野便當」≫
ちなみに、台湾鉄道の「福隆」駅前にはレンタサイクルショップだけでなくお弁当屋さんも並んでいるんですが、いつも行列ができているお弁当屋さんがあります。そのお弁当屋さんは「鄉野便當」。
かつて、「福隆」駅で販売していた駅弁のお弁当屋さんで、ホームでの駅弁販売を中止した後も、駅前で店を構え営業をしている、創業60年以上の老舗店です。
このお店の一番人気はおススメの「福隆便當」。ご飯の上に、野菜や豚の角煮などのお肉、そしてゆで卵が乗った、昔ながらのスタンダードなお弁当です。
しかもこのお弁当、なんと60台湾元(日本円およそ240円)!
ですので、地元の人たちをはじめ、「福隆」に海水浴に来る人や、イベントに訪れる人たちなど、多くの人がこのお弁当を求めて列をなします。
「福隆」駅に来たら、ぜひ食べてみてくださいね。
今年(2021年)も昨年に引き続き、「福隆國際沙雕藝術季」を日本の皆さんと共に楽しむことは叶いませんが、新型コロナが落ち着いたら、海に、美食に、サイクリング…と、「福隆」エリアをぜひ楽しんでくださいね。