ここ2年半、新型コロナによって様々なイベントや行事が中止になったり延期になるなど、影響が及んでいましたが、少しずつ再開されるイベントも増えてきていますね。
そのうちの一つ、「草草戲劇節(The Gresstraw Festival)」が今週末、台湾南部・嘉義で開催されます。
このイベントは、毎年春に行われる大規模な芸術祭なんですが、今年(2022年)は、ちょうど春先、台湾では新型コロナの感染が拡大していたことから、イベントは延期となっていました。そのイベントが、今週末、9月24日、25日の2日間に渡って開催されます。
この芸術祭「草草戲劇節」を主催するのは地元・嘉義の現代演劇舞台芸術集団「阮劇團(Our Theatre)」。
「阮劇團」は、2003年に、嘉義県で設立された劇団で、嘉義で育った演劇学校出身の若者たちが故郷に戻り、「嘉義の人のための劇団」を目指して立ち上げました。
台湾の劇団というと多くの人が伝統的な人形劇「布袋戲(ポテヒ)」や、台湾オペラと呼ばれる「歌仔戲」の団体をイメージする人が多いかと思いますが、他にもコンテンポラリーダンス集団「雲門舞集(クラウドゲート)」のような舞踊芸術集団もありますし、昨年(2021年)の「開国紀念日」を祝うセレモニーでパフォーマンスを行った現代サーカスアート集団「福爾摩沙馬戲團(フォルモササーカスアート)」など、様々な芸術集団が登場しています。
そしてこの「阮劇團」は、嘉義県初の現代劇集団で、都会の観点とは異なる演劇美学を展開し、地元の民族文化を現代演劇に取り入れるとともに、演劇芸術をより積極的に人々や社会に届けることを考え、実践し、現代の「大衆演劇」のさらなる可能性を探っています。
地方の劇団と思われるかもしれませんが、その活動は活発で幅広く、設立から18年、これまでに累計で700以上の公演を行い、台湾の“新芸術賞”に何度もノミネートされているほか、毎年8月にイギリス・スコットランドで行われる世界最大規模の芸術祭「エディンバラ・フェスティバル・フリンジ」や、ルーマニア「シビウ国際演劇祭」に台湾代表として参加したりしています。
また、創作作品を発表するだけでなく、演劇の指導や、芸術的なルーツを持つ仕事にも積極的に取り組んでいます。
ちなみに劇団名「阮劇團」の“阮”は、台湾最大の方言である台湾語で「私たち」という意味があって、みんなで一緒に一つのことを成し遂げるという意味が込められているそうです。
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そんな劇団「阮劇團(Our Theatre)」が主催する芸術イベント「草草戲劇節(The Gresstraw Festival)」は、2009年から始まり今年で14回目。
毎年暖かくなる3月に台湾南部・嘉義の「表演藝術中心(嘉義パフォーミング・アート・センター)」で演劇、音楽、ダンス、自主製作映画、美学マーケット、講座という6つのプログラムを組み合わせたイベントを行っていて、南部の人たちに身近に演劇を楽しんでもらう機会を作っています。
このイベントの名前となっている「草草戲劇節」はその字にあるように“草”から名前を取っています。
“草”といえば道端に生えている何気ない物という印象ですが、その何気なく生えている“草”こそが芸術イベントの精神を象徴しているそうで、高価な花や木は必要なく、草が精一杯その役割を果たし、大きな石を持ち上げる驚きの力を持つという思いが込められているそうです。
そんな芸術イベント「草草戲劇節」の14回目となる今年のテーマは『風起=͟͟͞͞( •̀д•́) (風が吹く)』。
ラジオなので説明が難しいのですが、タイトルには、まるでダッシュで駆け抜けていくような顔文字「=͟͟͞͞( •̀д•́)」もついていて、新型コロナによって溜まったうっぷんが風と共に去っていくことを願っているそうです。
今年のプログラムも多彩で、アート作品の展示やマーケット、様々な講座、ワークショップに加え、音楽やダンス、演劇、サーカスなど100を超える屋外パフォーマンスが行われます。
ちなみに、今回、RTIの客家語と台湾語のパーソナリティも参加して、阿里山鉄道の客家の味や、嘉義の飲食文化について紹介するコーナーもありますよ。
また、この模様はRTIの中国語の「央廣即時通」、そしてベトナム語の番組でも現場からライブ配信する予定ですよ。
台湾南部の大きな芸術イベント「草草戲劇節」。
例年は毎年春に行われていますので、今後、台湾を訪れるタイミングとあえば、ぜひ足を運んでみてくださいね。