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文化の台湾 - 2022-09-09_中秋節

  • 09 September, 2022
文化の台湾
台湾では中秋節にバーベキューをする習慣がある。(写真:CNA)

民間行事は旧暦で行われる台湾では、明日(9/10)は旧暦の8月15日、「中秋節」です。

この「中秋節」は、旧正月の「春節」、端午の節句である「端午節」と並んで3大節句のひとつに数えられていて重要な日で、祝日となります。

今年(2022年)はちょうど旧暦の8月15日が土曜日にあたるため、休日を前倒しで振り替えて、今日(9/9)金曜日から3連休となっています。

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この「中秋節」の由来は諸説ありますが、有名なのは、中国の神話の一つとされている「嫦娥奔月(嫦娥、月に奔という意味)」と、「月餅起義(“月餅”の蜂起という意味)」という2つの説。

「嫦娥奔月」の伝説は…

人々を救った功績から、「飲むと天に上り、不老不死になれる」という薬をもらった後羿は、妻の嫦娥と離れたくなく、その不老不死の薬を嫦娥に預けるのですが、弟子の蓬蒙が、その薬を奪おうと、後羿の留守中に嫦娥に薬を出すように迫ります。

嫦娥はその薬を渡さないために慌てて薬を飲んだところ、身体が浮き上がり、窓から空へと飛んで行ってしまいます。そして月で不老不死となり、一人寂しく暮らすことになってしましました。

家に戻った後羿は、そのことを知り、心を痛め、嫦娥のお気に入りだった庭に、彼女が好きだった食べ物などを並べて月に向かって宴を開きました。

そして嫦娥が月で不老不死になったという知らせを聞いた人々も、月の下、線香を立てて、優しい嫦娥に幸運と平和を祈ったそうです。

それ以来、「中秋節」には月を拝む習慣が人々の間に広まったとされています。

また、もう一つの「月餅起義」は…

元の時代、人々は支配階級の残酷な統治に耐えられず、元王朝に対して立ち上がろうとしました。しかし、元王朝の兵たちは厳しく見張っていて、情報を伝えることは非常に困難でした。

そこで、軍師が考え出した伝達方法が、「月餅」を使うこと。

蜂起のリーダーである朱元璋は、「月餅」の中に「旧暦の8月15日の夜に蜂起する」という紙を入れ、人々に知らせることにしました。

そして蜂起は見事、成功!

この知らせを受けた朱元璋は、中秋節を祝い、蜂起の際に密かにメッセージを送るのに使った月餅をお祝いとして兵士に配りました。

その後、「月餅」はどんどんと精巧な作りとなり、様々な種類ができ、贈り物として喜ばれるようになり、「中秋節」に「月餅」を食べる習慣が広まっていったと言われています。

この2つの伝説が有名ですが、このほかにも、よく聞く中秋節の伝説がもう2つあります。

1つは、「吳剛伐桂(呉剛、桂の樹を切るという意味)」─。

人間界で木こりをしていた呉剛(ごごう)は仙人になりたいと思っていましたが、熱心に修行をする気はありませんでした。その様子を見た天帝は怒り、彼に「月に来て、桂の樹を切り倒せば仙人の術を与えよう」と告げました。

仙人になりたい呉剛は毎日、桂の樹を切り続けますが、切っても切っても桂の樹は自然治癒し、呉剛がどんなに頑張っても切り倒すことができませんでした。

月を眺めると、そこには黒い影が見えますが、あれは呉剛が桂の樹を切っている姿だという人が出てきて、「吳剛伐桂」という伝説が広まったとされています。

またもう1つは、「玉兔搗藥(月でうさぎが薬を搗いているという意味)」─。

三柱の仙人が、みすぼらしい老人に化けてキツネ、サル、うさぎに食べものを乞いました。すると、キツネとサルは食べ物を差し出しましたが、うさぎは何も持っておらず、どうしようもありませんでした。

するとうさぎは、「私の肉を食べてください!」と火の中に飛び込みました。

その行動に仙人はとても感動し、うさぎを月の世界にあるという宮殿「広寒宮」に送り、「玉兎」にしました。そしてそれ以降、「玉兎」は「広寒宮」で嫦娥と共に住み、不老不死の薬を搗くようになったと言われています。

日本では「月にはうさぎがいて…」とここまでは同じですが、「餅を搗いている」と言われていますよね。でも中華圏では、あれは餅ではなく、薬なんですね。似ているけれど、ちょっと違うというのが面白いですね。

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さて、「中秋節」の習慣といえば、「月餅」を食べること以外に、台湾では、「バーベキュー」をする習慣があります。

これは、焼肉のタレの広告をきっかけに流行りだした習慣で、「中秋節」には皆で食事を囲むという昔からの風習にバーベキューや焼き肉がマッチして広がったようです。

また、「中秋節」の頃は、台湾では文旦が旬の時期であることから、文旦を食べて、その皮を頭にかぶって遊ぶ習慣もあります。

ちゃんとかぶれる形をキープするように皮をむくのがポイントなんですよ(笑)。

そして、伝統行事に必ずと言っていいほどある、“タブー”ももちろんあります。

●「中秋節」には、うさぎをいじめてはならない

まぁ、中秋節に限らず、いじめてはダメですが、先ほどご紹介した中秋節の由来から、中秋節は“兔子節(うさぎの節句)”とも呼ばれているので、うさぎに優しくしなかったら、月のうさぎが何かを感じ取ってしまうからだそうですよ。

●月を指さしてはならない

これも中秋節に限らずですが、台湾では月を指さすことは月に住む嫦娥やうさぎなどに失礼だとされていて、直接指を指してはいけないとされています。

なんでも、台湾では昔から「用手指月亮的話,耳朵會被割掉(月を指さすと耳をちょん切られる)」と言われているそうで、以前、私が「あ~、月がきれい!」と言って指さしたら、台湾人の友達から「指をさしたらダメ!」と言われて驚いたことがあります。皆さんも気を付けてくださいね。

ちなみに、もしうっかり月を指さしてしまったら、すぐに耳を触って、「失礼しました!」とお詫びをすると許してくれるそうですよ。覚えておいてくださいね。

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明日(9/10)は「中秋節」─。

台湾には今、台風が向かって来ているので、きれいな月、そして木こりの呉剛やうさぎの姿が見えるかどうかは微妙なところですが、“花より団子”ならぬ“月よりバーベキュー”(笑)。

今年もあちらこちらでバーベキューや焼き肉をしている人、そして文旦の帽子をかぶって遊んでいる人の姿が見られそうです。

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