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文化の台湾 - 2022-07-01_金曲獎

  • 01 July, 2022
文化の台湾
(写真:高雄市提供/CNA)

明日(7/2)、“台湾版グラミー賞”と呼ばれる「金曲獎(ゴールデンメロディーアワード)」の授賞式が行われます。

この「金曲奨」は、“台湾版アカデミー賞”と呼ばれる映画賞「金馬奨(ゴールデンホースアワード)」、“台湾版エミー賞”と呼ばれるテレビ・ラジオ番組賞「金鍾奨(ゴールデンベルアワード)」と合わせて、“台湾3大娯楽賞”とされ、「ゴールデン~」を表す「金」という字を取って、3つ合わせて「三金」と呼ばれています。

そんな台湾を代表する「三金」の一つ、「金曲獎」は、1990年に第1回が行われ、以降、毎年開催されている台湾最大規模の音楽賞で、中華圏の音楽シーンにおいて最も栄誉があり、影響力の大きい音楽賞とされています。

1990年が第1回と言いましたが、1980年代、台湾の音楽家に対する公式な賞として、出版物に対して「金鼎獎(ゴールデントリポッドアワード)」、歌手個人に対してはテレビ番組賞の「金鐘獎(ゴールデンベルアワード)」で表彰されたりはありましたが、“音楽賞”はありませんでした。

しかし、世界各地に音楽賞があることをうらやましく思っていた台湾の有名な女性歌手、蔡琴が、1982年、当時の行政院新聞局の宋楚瑜・局長に8ページにも及ぶ長い手紙を送り、台湾にも大型の“音楽賞”が必要であるという提案をしました。

それがきっかけとなり、行政院新聞局廣播電視事業處(テレビ・ラジオ事業処)が1986年から、優れた楽曲を選び、台湾の音楽市場と音楽家たちを激励するイベント「好歌大家唱(いい曲をみんなで歌おう)」を開催しました。

このイベントは、各界からの支持や、新聞、ラジオ、テレビなどで大々的に報道されたことで一般の人々からも好評を得ました。

その後、参加者を拡大し、イベントの地位を高めるために、1988年末に、「金曲獎」の創設準備計画が立ち上がりました。

そして1989年、第1回「金曲獎」のエントリーがスタート。ただ、当時、受賞式典を予定していた国父紀念館が改修工事をしていたため、1989年の9月にノミネートリストを出しましたが、受賞式典は改修工事が終わった、翌年1990年1月に行われました。

なお、第1回の「金曲獎」は、年間楽曲賞、作詞賞、作曲賞、編曲賞、シングルビデオ作品賞、シングルビデオ監督賞、男性ボーカル賞、女性ボーカル賞、グループ賞、新人賞、特別賞の11の項目が設けられました。

第7回までは、ポピュラー音楽を対象として行われてきましたが、「金曲獎」を国内音楽における唯一で最高の栄誉とするため、出版物に対する賞の「金鼎獎唱片獎(金鼎獎アルバム賞)」を「金曲獎」に統合。ポピュラー音楽だけでなく、伝統音楽や芸術音楽賞を増設しました。また、国籍の制限を開放し、台湾で最初に発表された作品であれば誰でも応募できるようになり、中国大陸やその他の中華圏の国々からもエントリーが来るようになりました。

そして、賞金を設け、より有意義な賞へと進化していきました。

2000年代に入っても様々な変遷をたどってきた「金曲獎」。

2000年の第11回「金曲獎」では、「演唱團體獎(ボーカルグループ賞)」にノミネートされたのが、全てバンドだったということから、翌2001年の第12回から、「重唱組合(グループ)」と「樂團(バンド)」の二つの部門に分けました。

2003年の第14回からは、台湾第2のエスニックグループ客家の人たちの言葉である客家語の楽曲や、台湾原住民族の言葉で歌われる楽曲を応援するため、これまで「方言男演唱人(方言部門の男性ボーカル賞)」と「方言女演唱人(方言部門の女性ボーカル賞)」だった項目を「台語男演唱人(台湾語部門の男性ボーカル賞)」、「台語女演唱人(台湾語部門の女性ボーカル賞)」、「客語演唱人(客家語部門のボーカル賞)」、そして「原住民語演唱人(原住民族語部門のボーカル賞)」の4つに分けました。

そして2007年の第18回からは、伝統・芸術音楽とポピュラー音楽を分け、別の賞とすることにしました。

このように、少しずつ改革を重ね、より特別で栄誉ある音楽賞へと成長してきた「金曲獎」。

現在は、大きく分けて、歌唱部門21項目、インストゥルメンタル部門3項目、テクニカル部門3項目の合計29の賞があります。

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なお、これまでの「金曲獎」の単一アルバムのノミネート記録は、第13回での周杰倫(ジェイ・チョウ)のアルバム「范特西(Fantasy)」、第21回での張惠妹(アーメイ)のアルバム「阿密特(Amit)」、そして第26回と第27回での蔡依林(ジョリン・ツァイ)のアルバム「呸」の10項目。

そして、単一アルバムでの受賞記録は、五月天(メイデイ)のアルバム「第二人生(Second Round)」の7項目の受賞。

また、「金曲獎」授賞式で最も多くパフォーマンスを披露しているアーティストは、張惠妹(アーメイ)です。

今年(2022年)は、17年ぶりに台湾南部・高雄で開催される「金曲獎」。今年はどんなアルバムやアーティストが受賞するのでしょうか。今年の授賞式は、明日(7/2)土曜日の台湾時間午後19時(日本時間午後20時)から行われます。

レッドカーペットから授賞式までの模様は、日本からもYouTubeのTaiwan+のページでリアルタイムで見ることができるようですので、気になる方は観てみてくださいね。

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