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Rti 台湾国際放送Rti 台湾国際放送文化の台湾 - 2022-05-13_白沙屯媽祖巡礼

  • 13 May, 2022
文化の台湾
昨年(2021年)の白沙屯媽祖巡礼の「起駕」の模様。(写真:CNA)

台湾の人々から最も慕われている道教の女神、媽祖様─。

本来は“海の女神”とされていますが、台湾では航海の安全など海に関することだけでなく、商売から健康、受験、出世、子宝、農業など、ありとあらゆることで媽祖様のご加護を祈る、とても身近な神様で、“国民の女神”とも言われています。

その媽祖様の誕生日とされているのが旧暦の3月23日で、媽祖様の誕生月にあたる旧暦の3月には、台湾各地で媽祖様の誕生日をお祝いする行事が行われます。

私の家の近くにある小さな廟でも、毎年、廟の横の道路…と言っても、結構交通量が多く、路線バスも通るような大きな通りなんですが、その道路の1車線を占領するような形でテントが張られ、お祝いの行事の後、夜にはみんなでそこで「辦桌」と呼ばれる宴会が行われています。

ただ、今年も新型コロナの影響で、この宴会は中止となり、お祝いの行事のみが行われていました。

このように、台湾各地の媽祖様を祀る廟で、大小さまざまなお祝いの行事が行われるのですが、中でも有名なのが、「大甲媽祖巡礼」と、「白沙屯媽祖巡礼」─。

共に、数日間かけて、媽祖様を載せた神輿が台湾中南部の各地を巡るもので、この巡礼の際には多くの信者が集まります。

どちらの媽祖巡礼も、日程は毎年、媽祖様にお伺いをして決定するので、二つの媽祖巡礼が近い日程で行われる年もあれば、離れた日程で行われる年もあります。今年(2022年)は、二つの媽祖巡礼は少し離れた日程となっていて、「大甲媽祖巡礼」の方は、4月8日から17日までの9日間に渡っておこなわれました。

そして、来週、5月20日から、もう一つの「白沙屯媽祖巡礼」が始まります。

この「白沙屯媽祖巡礼」は、台湾北西部・苗栗にある白沙屯拱天宮の媽祖様が各地を巡ります。

白砂屯は、清の時代、乾隆帝の頃に移民によって開拓されました。当時は民家に、関節が動くスタイルの媽祖様の彫刻が祀られ、村の人々の心の拠り所となっていました。

そして、咸豊帝の末期ごろになると、地元の信者たちが廟の建設資金を集めはじめ、1863年に廟が完成しました。

この「白沙屯媽祖巡礼」は、その廟の建設前から始まっていて、既に200年以上の歴史があるそうです。

「白沙屯媽祖巡礼」は、台湾各地で行われる媽祖巡礼の行事の中で、最も歩行距離が長く、苗栗にある「白沙屯拱天宮」から、台湾中部・雲林県にある「北港朝天宮」までの往復およそ400キロを巡ります。

そして、日数やルート、休憩地点が毎年異なっているのが特徴です。

毎年、旧暦の12月15日に、赤い三日月の形をした「ポエ」を使って、媽祖様にお伺いを立てて巡礼に関する行事の日程が決まります。

「起駕」と呼ばれる出発日、「刈火」または「進火」と呼ばれる「北港朝天宮」に入る儀式が行われる日、そして「回宮」と呼ばれる白沙屯拱天宮に戻る日のみが事前に知らされるのですが、今年(2022年)は、5月20日の早朝に「起駕(出発)」し、5月22日に「進火(北港朝天宮に入り)」、5月27日午後に「回宮(白沙屯拱天宮に戻る)」、7泊8日の日程となっています。

そして、なにより「白沙屯媽祖巡礼」が多くの人を惹きつけるのは、他の媽祖巡礼とはちょっと違うから。

「白沙屯媽祖巡礼」の媽祖様が載るお神輿の屋根の部分はピンクの布で覆われています。これは、“慈悲”の象徴で、媽祖様の慈悲を際立たせています。また、もし途中で雨が降ってきても、このピンクの布で雨を遮ることができますし、巡礼の期間、このピンクの布によって、霊力が外に漏れたり、妨害をされるのを防ぐとされています。

そして、巡礼のルートが決まっていないということ。

「白沙屯媽祖巡礼」は、白沙屯拱天宮を発着点とし、北港朝天宮を目的地とすることは決まっていますが、それ以外のルートなどは全て媽祖様の意思で動きます。ですので、突然、方向を変えたり、突然、民家に向かって突き進んでいったりします。そのため、「白沙屯媽祖巡礼」の媽祖様は、“台湾で最も個性的な媽祖様”と言われています。媽祖様が巡礼するルートや時間はわからないので、信者たちは媽祖様を追いかけていきます。

ちなみに、2001年には、媽祖様の意思で、台湾中部を流れる大きな川、「濁水溪」を徒歩で渡ったということもあります。

しかも、一般に“巡礼”と言うと、ゆっくりと練り歩くイメージですが、「白沙屯媽祖巡礼」の媽祖様を載せたお神輿は、突然スピードアップしたりしますし、全体的にスピードが速く、36時間で200キロメートル近くを歩きます。

そのようなことから、「白沙屯媽祖巡礼」の媽祖様を載せたお神輿は、“ピンクのフェラーリ”と呼ばれています。

本当に、なかなかな個性的な媽祖様のようですね。

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ちなみに、今年(2022年)の「白沙屯媽祖巡礼」は5月20日の早朝に「起駕(出発)」するとご紹介しましたが、台湾では5月21日、22日に高校入試が行われます。

台湾の宗教行事と言えば、とても賑やかなお囃子や、爆竹がつきものですが、受験生たちの邪魔にならないよう、ルート付近のエリアでは、入試期間中は爆竹を使用しないよう、18日から20日まで、3夜連続で町内放送での呼びかけを強化し、市民や各廟に呼びかけるとのことです。

また、今、台湾では新型コロナの感染拡大が続いていることから、今回は、3回のワクチンを接種済みの証明が必要など、様々な防疫対策を行いつつの開催となります。

それでも、今年も多くの信者が、“ピンクのフェラーリ”に乗った媽祖様を追いかけていきます。

白沙屯拱天宮の媽祖様は、今年はどんなルートを巡るのでしょうか…。

また、ちょっと面白いのは、伝統的な宗教行事ではありますが、「白沙屯媽祖巡礼」では、「大甲媽祖巡礼」同様に、ネットでその巡礼の模様が生配信される他、専用のアプリをダウンロードして、媽祖様が今、どこにいるのかを見ることができたり、オンラインでメッセージを残して交流することもできるなど、現代のデジタルアイテムも取り込んでいますよ。新旧がうまく融合しているのも台湾らしいですね。また、媽祖様の意思でルートが決まる「白沙屯媽祖巡礼」では、信者にとってとてもありがたいアプリかもしれませんね。

他の媽祖巡礼とはちょっと違った独特な雰囲気の「白沙屯媽祖巡礼」。

今年は、来週(5/20)から始まります。

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