文化の台湾 - 2021-03-26_台北市の「神秘的な分水嶺」と「雷の神様」の言い伝え

  • 26 March, 2021
台湾の言い伝えでは雷の神様「雷公」は天に代わって執行する悪を罰する神様で、「雷公」が雷を打つ前に「雷母」が稲妻を光らせその明かりで「雷公」が善悪を間違えないようにしていると言われている。

トーク①:台北市の「神秘的な分水嶺」≫

昨年末から深刻な水不足に悩まされている台湾。特に中南部のダムの貯水率が赤信号となっていて、台湾中部・台中にある大甲鎮瀾宮では58年ぶりに「雨乞い法会」が行われたことを、このコーナーでもご紹介しました。

その“雨乞い”が効いたのか、今週、ようやく台湾全土にまとまった雨が降りました。今週の初めから北部エリアに断続的に雨が降り、23日の夜から24日の午前にかけては、特に水不足が深刻な中部の山間部に恵の雨をもたらしました。これでダムの水も少しは回復したようですが、まだまだ十分ではないですし、南部はまだ降水量が少ないことから、引き続き節水が呼びかけられています。

ところで、雨と言えば、台湾北部・台北市は年間を通してよく雨が降ります。これは、台北に旅行に訪れたときなどに感じたことがある人も多いのではないでしょうか。梅雨時期、台風の季節、そして冬になると東北風とよばれる季節風の影響でよく雨が降ります。

ところが、そんな台北の中にもひとつの「神秘的な分水嶺」があるとネットで話題となりました。

あるネットユーザーがフェイスブックのあるグループに、30数年にわたる経験から、「国父記念館の西側を走る『光復南北路』を境として、東側はよく雨が降り、西側はそんなに雨が降らない。同じような感覚を感じた人はいますか?」と書きこんだところ、多くの反響がありました。

多くは同意するもので、「そう!光復路と南京路の交差点はいつも雨で本当に嫌だ」、「毎日その境を通っているけど、秋冬は特に明らかよね」、「わかる、西門町に行くといつも雨が降ってない、繁華街の信義エリアは(雨の都)基隆に住んでいるのと同じ感じでしょ」、「すごくわかる、とくに仕事終わってバイクで中山エリアに帰宅するとき、国父・孫文博士を祈念した建物「国父紀念館」を超えたらレインコートを着ているのは自分だけなんてことも」、「まさに!毎日、新北市の三重からバイクで行くと、その境を通過すると大雨になる」などなど…。みんな同じような感覚を覚えていたようです。

これについて気象の専門家は、「(台北市北部の)大屯山や士林エリアの西側を中心に雨があまり降らないエリアがある」としています。

一方、「南港エリアや、そのすぐお隣の新北市・汐止エリアは、累積降雨量が相対的に高く、多くの人の感じている感覚と一致している」としています。

確かに、このRTIのスタジオは台北市北西部の圓山エリアにありますが、こちらは雨が降っていないのに、その「神秘的な分水嶺」の先にある台北市のランドマーク、超高層ビルの「台北101」あたりに大きな雨雲がかかっていて、あの辺りは雨が降っているだろうなという状況を見たことが何度もあります。

これから台北を訪れた際、雨にあったら、そんな話題もちょっと思い出してみてくださいね。

トーク②:“雷の神様”「雷公」と「雷母」の言い伝え≫

ところで、台湾の雨の日は、日本と比べて雷も大きいイメージがあります。台湾に住み始めたばかりの頃は、あまりに大きな雷がガンガンなるので、外の出るのが怖かったのを覚えています。

そんな雷の神様と言えば「雷神」。日本の民間信仰や神道における雷の神様として言い伝えられていますが、台湾でも「雷神」の言い伝えがあります。

台湾では“雷の神様”と言えば、「雷公」と「雷母」の一対の神様のことを指していて、「雷公」は、伝説では、周の時代の文王の義理の息子「雷震子」だとされ、背中に二つの羽、額に3つ目の目、顔は猿のように赤く、足には鷹のような爪をもち、左手にくさびを、右手にハンマーを持ち、人間の善悪を見分け、天に代わって執行する、悪を罰する神様です。

一方の「雷母」は、「雷公」が雷を打つ前に稲妻を光らせ、その明かりで「雷公」が善悪を間違えないようにしっかり見えるようサポートします。

この「雷公」と「雷母」の言い伝えには諸説ありますが、多く語り継がれているのは、「雷母」は元々は一般のとても従順な未亡人でした。彼女は目の見えない義理の母にいつも献身的に奉仕しており、義理の母も彼女を頼っていました。

ある年、大干ばつにあい、田んぼの稲がすべて枯れてしまいました。

彼女は、義理の母にわずかなお米を食べさせるために、自身は3食をヘチマの種のスープや、野菜の根っこや、くずなどを食べていました。

あるとき、偶然にもそれを知った義理の母が、心を痛め、彼女にそんな苦しい思いをさせていたことに耐えられず、彼女から野菜の根っこのスープを取り上げて飲もうとした際、誤ってスープを窓の外にぶちまけてしまいました。

その時、ちょうど「雷公」がそれを目にしてしまい、彼女は悪い嫁だと、雷で打ち殺してしまいました。

後に事の流れを知った玉皇大帝が、「雷公」に彼女を妻とするように命じます。そして「また間違って打ち殺さないよう、今後は雷を打つ前に彼女に鏡を使って照らしてもらうように」と言われました。

そうして彼女は「雷母」となり、雷の前に稲妻が光るようになったとされています。

また、もう一つの言い伝えでは、「雷公」は目が悪く、白黒の判別がつきにくかったため、「雷公」が雷を打つ際、まずは「雷母」が大きな鏡で世の中を見て、善悪をはっきりを見極めてから雷を打つことで、誤って善人を傷つけないようにしたとも言われています。

雷の音はもちろんのこと、あの稲妻が怖いなと思っていましたが、実は「雷公」が間違って善人を傷つけないためだったんですね。

同じ雷の神様でも、日本とはまた違った言い伝えがあるのが面白いですね。

…でも、やはり雷が鳴ったら、日本でも台湾でも同様に、速やかに安全な室内に避難してください。

関連のメッセージ