文化の台湾 - 2021-02-05_春節

  • 05 February, 2021
今年の春節=旧正月は2月12日。今年は新型コロナの影響でお正月マーケットやイベントが多くの場所で中止となっており、例年ほどのにぎやかさはないものの、街はお正月モードになっている。(写真:CNA)

来週の金曜日、2月12日は旧暦のお正月=「春節」です。民間行事は旧暦で行われる台湾では、二十四節気の「大寒」のころから、年末の大掃除をはじめたり、「尾牙」と呼ばれる忘年会が行われたり、「春節」の2週間くらい前から「年貨大街」と呼ばれる“お正月マーケット”が行われたりと、街がお正月ムードになるのですが、今年は新型コロナの影響によって“忘年会”や“お正月マーケット”があちらこちらで中止になるなど、例年ほどの盛り上がりがありません。しかし、それでも街はいつもよりも真っ赤なアイテムであふれています。

ところで台湾では旧正月は「春節」という言い方とは別に、「過年」とも呼ばれています。もしかしたら街ではこちらの方がよく聞くかもしれませんね。

この「過年」という呼び方にはこんな由来があります。

昔、「年」と呼ばれる猛獣がいました。その「年」は普段は山の中にいるのですが、365日ごとに、夜、人々が住む村にやってきては、人を襲ったり、家畜を食べ、明け方に鶏が鳴くと山に戻り、また次のごちそうを待って365日潜み続けるとされていました。

村人たちは365日を数え、「年」が山から下りてくる夜のことを「年關」と呼び、どの家もこの「年關」を無事に平和に過ごせるよう祈りました。

この「年」は“火”を怖がるとされていたことから、村人たちは被害を避けるため、「年關」には、ろうそくの火をともし、家の門には“火”をあらわす赤い紙を貼って、「年」から狙われないようにしました。

そして、その日の夜はどの家も早く夜ご飯を済ませ、戸や窓を閉めて、家族全員で家の中に集まり、先祖に平安を祈り、みんなで一緒に“年越しの食事”をとりました。

これが最後の食事になるかもしれないということから豪華な食事を用意して、家族全員が無事に過ごせるよう願ったそうです。

「年」がいつ襲ってくるかわからないため、大人も子供もみんな寝ることなく、一晩中警戒を続け、そして翌朝、鶏が鳴く声を聴いたら、「大家都平安過了年關,太好了(無事に“年關”を“過ごす(越す)”ことができてよかった!)」などと言って村人たちは互いに無事を喜びあったそうです。それが“年”が“過ぎ去る”=「過年」と呼ばれる由来とされています。

このような由来から、今でも、大みそかには家族そろって食事をし、徹夜で、もしくは遅くまでみんなで家でお喋りをしたり、遊んだりして過ごすんだそうです。

ちなみに、“年越しの食事”を食べた後、村の勇敢な若者が一晩中、爆竹を鳴らし続け、光と大きな音で「年」から村を守ろうとしたということが、現在の「過年」=「春節」に爆竹を鳴らすようになった由来だとされています。

近年では、爆竹は、騒音の問題、大気汚染の問題、火災の危険性などから、都市部を中心に禁止とされていますが、地域によっては、今も「春節」には爆竹の音が鳴り響いています。

(なお無事に年の関を乗り越えたため、そのとき、みな互いに「恭喜!恭喜!」といって生き残ることを祝います。この「恭喜!」は、「おめでとう」という意味です。今でも旧正月だけでなく、めでたいことがあるたびに、「恭喜!恭喜!」といって祝います。)

ところで、一昨日、2月3日は二十四節気の「立春」でしたよね。「立春」はまだまだ寒い日ではありますが、“春の始まり”、つまり、一年の始まりとされています。

でも「春節」=旧正月も一年の始まりですよね。

どちらも“一年の始まり”とされ、同じ“春”という字がつくのに、どうして同じ日ではないのでしょうか。

それは、「立春」は太陽の位置をもとにしている一方、「春節」は月の満ち欠けをもとにした旧暦=太陰太陽暦によるものだから。

地球が太陽の周りを一周するのに1年。そして春夏秋冬4つの季節に分かれています。古代中国の人たちは太陽も月も同じように尊重していて、その太陽のルールに早くから気付き、それをもとに「二十四節気」を作りました。

「二十四節気」は“中国版太陽暦”といったところでしょうか。これは、太陽暦=グレゴリオ暦が入ってくる数千年前から使われていました。

一方、旧暦の1日は「朔」、つまり新月の日になるように調整されています。

地球の季節を決めるのは、地球が太陽の周りをまわっている位置であって、地球の周りをまわっている月とは関係がありません。

そのため、ほとんどの場合で、「立春」と「春節」は別の日になるというわけです。

ちなみに、「立春」と「春節」はおよそ30年に一度重なることがあって、とてもおめでたい年とされていますが、次は2038年に訪れるそうですよ。

台湾に住み始めてから「春節」=旧正月を体験した私は、最近では1年の終わりは日本と同じく新暦の年末(12月)なんですが、新しい年は街が盛り上がる旧正月から始まる…といった感覚で、ちょうど今のこの時期は新年なのか、年末なのか何だかよくわからない時空のゆがみに迷い込んだような気分になります。

今年は新型コロナの影響で日本に帰ることもできないことから、台湾の友達数人から「春節(=過年)はうちの実家に来る?」と声をかけてもらいました。

新年に親戚でもない人がお邪魔するのは…とびっくりしたのですが、「過年」は家族で集まってご飯を食べ、みんなで遅くまでだんらんの時間を過ごすのが習慣の台湾の人たちにとって、この時期、家族のもとに帰ることができない私に「寂しいだろうから」という気遣いなのでしょうね。

台湾はもうすぐ春節=旧正月です。今年はお正月の大型イベントの多くが中止となっていて、いつになく静かな印象ですが、海外旅行に行けない分、今年は実家に親戚みんなが集まって、家の中はいつも以上ににぎやかなお正月になっていそうです。

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