文化の台湾 - 2021-01-29_台湾の「お年玉」と、幻の“20元硬貨”

  • 29 January, 2021
旧正月に向け「紅包(お年玉)」準備する際、新札の100元札を求める人が多い。その理由は、100元札がおめでたい赤色であることと、100元札で準備することで「紅包」が分厚くなるからだとか。(写真:CNA)

台湾の“お年玉”≫

もうすぐ春節(=旧正月)を迎える台湾では、今、お正月準備が始まっています。今年は新型コロナの影響で多くの場所でお正月マーケット「年貨大街」が中止となっていますが、それでも少しずつ街が赤いものであふれ始めてきました。

そのお正月準備で欠かせないものの一つが「紅包」。台湾ではご祝儀のことを「紅包」といいますが、今では「お年玉」も「紅包」といいます。

「お年玉」は、「紅包」と呼ばれる赤い封筒に入った春節に年長者が年少者に贈るお金「壓歲錢」のことを言います。

この「お年玉」=「壓歲錢」の習慣は今から2000年以上前の漢の時代に既にあったそうですが、清朝時代に正式にお正月の習慣となったようです。

この「壓歲錢」の習慣の始まりは諸説ありますが、よく知られているのは…

昔、年末の大みそかの夜に寝ている子供の頭を触って驚かせる妖怪がいました。その妖怪に驚かされた子供は高熱を出し、寝言を言い、熱が下がった後はおかしくなってしまっていました。

そのため、そんな妖怪から子供が危害を加えられることを恐れた人々は、どの家も大みそかの夜は灯をつけ眠らずに子供たちを守っていました。

ある夫婦も大切な子供を守るために、大みそかの夜、8枚のお金=銅銭を使って子どもと遊びながら起きていました。しかし子供は遊び疲れて寝てしまったため、その8枚の銅銭を赤い紙に包んで子供の枕の下に入れ、夫婦は寝ずに見守っていたのですが、夜中に突然、風で部屋の扉が開き、灯が吹き消されました。

すると妖怪の手が伸びてきて子供の頭を触ろうとしたその時!枕のそばからまぶしい光が放たれ、妖怪は驚いて逃げていきました。

翌日、その夫婦は赤い紙に包んだ8枚の銅銭が妖怪を追い払ったことをみんなに告げると、その後はみんなも同じように赤い紙に8枚の銅銭を包んで枕の下に置くようにしたところ、子供たちは平和に過ごすことができるようになりました。

そこから、“邪気・妖怪”という意味の「祟り」を、“抑え込む(圧)”、“お金(銭)”という意味の「壓祟錢」と言われるようになり、この「邪気・妖怪」を表す「祟り」という字の中国語の発音と、「歲」の発音が「祟り」という字の発音と同じであることから、「壓“歲”錢」と書くようになりました。

そして、それが次第に春節の「紅包」の習慣になっていったとされています。

そのようなことから、台湾では大みそかに「紅包」を渡す家が多く、またそれを枕の下に入れて寝るという習慣があったり、大みそかの夜に子供が寝た後に家長がこっそり枕の下に入れる家もあるそうです。

夜のうちにこっそり…なんて、なんだかクリスマスのサンタクロースからのプレゼントみたいですね。

また、日本では「お年玉」というと、年神様からの賜りものである丸い鏡餅を、お下がりとして家長から家族で分け合って食べるという習慣から来ていることから、年が明けてから渡しますので、全然違いますね。それに日本ではそのような習慣から“目上の人から目下の人へと渡すもの”とされていますが、台湾では春節の「紅包」は、自身の子供や親せきの子供へだけでなく、親や祖父母にも渡しまて長寿を祝うという習慣もあります。これはお父さん、お母さんは大変ですね!

ではいくら包むのがいいのかというと、そこは日本と同じで大体の相場があります。一般的に、親への「紅包」は大体台湾元6,000元から6,600元とされています。おじいちゃん、おばあちゃんへは、社会人になって何年目か、収入によって変わりますが、大体3,600元から6,600元くらいまで幅があるようです。自身の子供の場合、小学生以下は600元か800元、中学・高校生になると1,200元から2,600元、そして大学生は3,600元から6,600元くらいのようです。このほか、親戚の子供には200元か600元、多くて1,200元か1,600元が相場とされています。

ところで、気づきましたか?

中華圏では、偶数が縁起がいいとされていますが、“4”は発音が“死ぬ”という字と同じであることから“4”の付く金額はタブーとされています。

ちなみに、1台湾元がおよそ日本円で3.7円ですので、日本の相場よりは少し安いのかな?なんて思いますが、日ごろから親戚づきあいもとても密な台湾の人たち。春節に集まる親戚の人数を考えると、やはり懐へのダメージはかなり大きそうです。

幻の?!20元硬貨≫

さて、お正月に欠かせないもの「紅包」には、金額の他にも、気を付けなくてはならないことが色々とあります。

やはり新しい一年ということで「一元復始,萬象更新(年の始まりに原点に戻り、万象が新たになる)」という意味から、“新札”を入れるのがマナーとされています。そこで、この時期になると“新札”を求めて多くの人が銀行を訪れるため、銀行もこの時期には新札交換拠点銀行の情報を出して対応しています。

なお、100元札を求める人が多いそうです。なぜかというと、100元札はおめでたい“赤色”のお札ですし、100元札で入れることで「紅包」も分厚くなるからなんだそうです。

ちなみに、台湾の紙幣と言えば、よく見かけるのは100元札、500元札、1000元札だと思いますが、200元札、2000元札もあるのをご存じですか?

200元札は、緑色で表面には蒋介石・元総統、裏面には総統府が。

2000元札は、紫色で表面にはパラボラアンテナと台湾初の科学実験衛星「中華衛星一號(フォルモサット1)」が、裏面には「櫻花鉤吻鮭(タイワンマス)」と「南湖大山」が描かれています。

200元札と2000元札は発行量も使用率も低いことから、なかなかお目にかかることがなく、“忘れられかけている紙幣”などとも言われていますが、さらに、“忘れられかけている”のではなく、ほぼ“忘れられたお金”があります。

実は台湾のお金には“20元硬貨”もあるんです。この20元硬貨の存在は台湾の人の中でも知らない人も多い“幻のコイン”となっています。

台湾の人でも見たことがない人が多い20元硬貨、どのようなものかというと、2001年に初めて発行された硬貨で、大きさは10元硬貨より大きく、50元硬貨より小さい直径26.85ミリ。外側が金色、内側が銀色のツートンカラーの硬貨です。

表面には1930年に起きた霧社事件を蜂起した抗日のヒーローとされている原住民族・セデック族のリーダー、モーナルダオの肖像と、霧社事件の記念碑が、裏面には台湾南東部の離島・蘭嶼のタオ族の拼板舟(タタラ)と呼ばれる舟が描かれていて、原住民族文化の認識を広めるために発行されたそうです。

“20元硬貨”は認知度が低い分、お店などでは使いにくいかもしれませんが、もし見かけたら記念として手元に取っておくといいかもしれません。台湾の人にも自慢できるかもしれませんよ。

なお、多くの人が見たことがない“幻のコイン”とは言っても、普通に使用できるお金ですので、台湾銀行など主要銀行で手に入れることもできます。

ちなみに、先日、私が訪れた銀行では、「『紅包』に縁起のいい数字の2000元札、200元札、20元硬貨を入れて渡すのもいいですよね」といったビデオが流れていました。

もうすぐ旧正月を迎える台湾。

皆さん、今年はいくら分の“お年玉”=「紅包」を準備するのでしょうね。

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