文化の台湾 - 2020-10-28_台湾の「ハロウィン」

  • 28 October, 2020
  • 林 蕙如
今年もハロウィンには可愛らしい仮装をした子供たちが街中を手をつないで歩き、「Trick or treat」と言ってお菓子をもらってる様子が見られた。(写真:CNA)
今年のハロウィンはLGBTパレードとも重なり、仮装をしてレインボーカラーのアイテムを手にしている人の姿も見られた。(写真:CNA)

今週末、10月31日は「ハロウィン」ですね。皆さんは、何かハロウィンイベントを行ったり、仮装をする予定はありますか?日本では「ハロウィン」というと、“仮装”をして盛り上がる日!という印象が強いのですが、いったいどんな日なのでしょうか。また、台湾ではいつごろから始まったのでしょうか。今週は、そんな台湾の「ハロウィン」についてご紹介したいと思います。

「ハロウィン」とは、もともとは古代ケルト民族の収穫祭の行事が始まりだとされています。この収穫祭に、後に伝来したキリスト教の行事が融合して現在の「ハロウィン」になったと言われています。

古代ケルト民族は1年の終わりが10月31日。その1年の終わりである大みそかの夜に死者の霊が親族を訪れたり、精霊や魔女や悪霊が出ると信じられていたことから、この10月31日に、秋の収穫をお祝いし、先祖の霊をお迎えするとともに、悪霊を追い払う…という、日本でいうところのお盆のような行事を行っていました。

一方、後に伝来したキリスト教カトリックでは、11月1日は「万聖節」と呼ばれ、諸聖人を祀る日。すべての成人と殉教者に祈りをささげるもので、こちらも日本の盆と似ています。そしてキリスト教でクリスマスの前夜祭である“クリスマスイブ”を祝うように、この「万聖節」の前夜祭として10月31日に行われるキリスト教の行事が、ケルト民族の祭りと融合して「ハロウィン」と呼ばれることになったそうです。

ちなみに、「万聖節」のことをかつては「All Hallow’s」と呼んでいて、その前日(eve)であることから「All Hallow’s Eve」と呼ばれていたのが「Halloween」と呼ばれるようになったと言われています。

ハロウィンが大々的に行われているのは主に英語圏ですが、このようにもともとは宗教的なお祭りであることから、信仰している宗教によっては「ハロウィン」を行わない人や、「ハロウィン」を行うことを控えるよう注意されることもあるそうです。ただ、現在アメリカなどでは宗教的な意味合いはほとんどなくなり、民間行事の一つとなっています。

そんな、「ハロウィン」と言えば“仮装”ですよね。仮装を始めたのは、家の周りを徘徊し悪さをする悪霊たちに対して、人間がその悪霊と同じ格好をすることで「人間ではなく、同じ魔物だよ」とアピールすることで難を逃れようとしたのが始まりだそうです。そのため、「ハロウィン」の仮装は、幽霊や魔女、ドラキュラなど、恐ろしいものが多いんですね。

その民間行事となった「ハロウィン」がアジアにも入ってきます。ちなみに、日本で最初に「ハロウィン」を行ったのは、1970年代「KIDDY LAND原宿店」だと言われています。その後、1983年には、同じく「KIDDY LAND原宿店」がハロウィン商品の販売促進のために、“ハロウィンパレード”を行いました。

「ハロウィン」の認知度が日本で急激に上がったきっかけは、1997年に東京ディズニーランドで行われた「ディズニー・ハッピー・ハロウィン」の仮装イベントだと言われています。

では、台湾ではいつごろから「ハロウィン」が行われるようになったのかというと、早くは1990年代から、特に広まったのは2000年代からのようです。広がり方は日本とは違い、「アメリカンスタイルのレストラン」もしくは「幼稚園」や英語塾から広まっていった…という、パターンだったようです。

「アメリカンスタイルのレストラン」なおでは、台湾で働いていたり、留学しているアメリカ人や、アメリカに留学したことのある台湾人などが、仮装してレストランで「ハロウィン」を祝うというスタイル。一方、「幼稚園」のほうは、“バイリンガル”の幼稚園で、子供たちにアメリカの文化を体験させながら英語を学習しようという目的から始まったと言われています。そして「英語教室」などにも広がっていったようです。

このような背景から、日本では「ハロウィン」というと、大人が大きなイベントで大勢集まってはしゃいでいる印象ですが、台湾では子供たちがメイン!日中に幼稚園や英語教室単位で、仮装したかわいい子供たちが手をつないで、お菓子をもらいに行っている姿をよく目にします。

…とはいっても、まったく仮装が盛り上がらないわけではありません。最近では若者を中心に「ハロウィン」イベントも増えていますし、レストランやクラブなどでも毎年「ハロウィン」仮装イベントを行っているお店も多くあります。

ただ、「ハロウィン」に限らず、誕生日パーティで着ぐるみを着たり、“尾牙”と呼ばれる年末の忘年会でコスプレしたり…と、普段から“仮装”のようなことをする人が比較的多い台湾。そのため“仮装”慣れしているというか、いざ“仮装”をする場合は、大人も本気モードのすごく本格的な“仮装”をして街を歩いていたりします。

そういえば、数年前には、かなりリアルなカオナシの“仮装”をした幼稚園児の女の子が話題となりました。あまりのリアルさに周りのお友達が怖がって号泣してしまうというくらいでしたが、今年はあの子を超える“仮装”が出てくるのでしょうか。

台湾の「ハロウィン」は、日本や欧米と比べると“街全体がハロウィン”という雰囲気ではありませんが、イベントをやっているところに行くと、子供の仮装と写真撮影に一生懸命の親御さんや、すごい“仮装”の人たちと出会えるかもしれませんよ。台湾では大人も真剣に遊びます!

そして面白いのが、西洋から入ってきた「ハロウィン」なのに、台湾の文化と合わさって、独自のタブーがあるようです。「ハロウィン」と言えば、幽霊や魔女、ドラキュラなど、恐ろしいものの“仮装”と紹介しましたが、そんな恐ろしいものの仮装をしてはいけない人がいるんです。それは…

●年男・年女、厄年の人

●大病を患っている人、最近病が治ったばかりの人、心神耗弱の人

●運勢が悪い人、例えば、失恋したばかりや、離婚したばかりの人、商売に失敗したあるいは失業した人

●“印堂(眉間)”部分が暗くなっている人。この部分が暗くなっていたり、青筋が出ている場合、近いうちに運勢が下がり、危険に遭遇する可能性が高いため。

●睡眠不足の人。徹夜した人。

●飲酒をしている人。

●妊娠している人。赤ちゃんが母体の中で最も避けたいのが陰と陽の対立。霊界はネガティブなエネルギーが多いことから、母体と赤ちゃんの健康と安全に影響が出やすいため。

…だそうです。主に身体や気が弱っている、または運勢が良くない人は、邪気に取りつかれやすいので怖い仮装はしないほうがいいようです。

もうすっかり「ハロウィン」が台湾に馴染んでいるような感じがしますね。でもきっと、日本の「ハロウィン」からの影響も受けている台湾ですから、「ハロウィンはやっぱり“仮装でしょ!”」と、そんなタブーなんて気にせず仮装パーティだ!という人や、じゃぁ、かわいい“仮装”なら大丈夫でしょ?と言う人もいそうですね。

今年の「ハロウィン」、10月31日は土曜日ですので、台湾の夜の街も例年より“仮装”した人たちでにぎわいそうです。

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