文化の台湾 - 2020-09-30_台湾の「中秋節」はやっぱり賑やか?!

  • 30 September, 2020
  • 林 蕙如
中秋節連休は天気にも恵まれ連日あちこちでバーベキューをするグループを目にした。台湾南部・高雄市では道路を一部封鎖してバーベキュー用に開放した地域も少なくない。(写真:CNA)

明日(10/1)は台湾の三大節句のひとつ「中秋節」です。台湾の民間行事は旧暦で行われているため、旧暦の8月15日にあたる明日10月1日が今年の「中秋節」です。満月は毎月現れますが、“中秋の名月”という言葉があるように、「中秋」の月が最も美しいといわれ、その美しい月を愛でる日とされています。台湾では古くから、この「中秋節」は、旧正月の「春節」、端午の節句である「端午節」と並んで3大節句のひとつに数えられていて重要な日です。「中秋節」は祝日となりますが、今年は「中秋節」の10月1日が木曜日ということで、金曜日を休みにすれば4連休となることから、政府が9月26日(土)を平日扱いとし、10月2日を休みとして今週末は4連休となっています。

台湾の人たちは家族で過ごす時間をとても大事にしていて、離れて一人暮らししている人も、3日以上休みになるとすぐに実家に戻る人が多いのですが、この「中秋節」は、満月の丸さを家族団らんにたとえて、家族と過ごす日とされていることから、普段なかなか帰えることができない人もこの日は家族の元へ帰り、家族・親戚、みんなで団らんの時間を過ごします。

日本で「お月見」というと、静かにゆっくり月を愛でる…というイメージだと思います。まぁ、中には“花より団子”ならぬ、“月より月見団子”という人もいるかもしれませんが…どちらかというと静かな行事という印象だと思います。

ところが、台湾の「中秋節」の過ごし方はちょっと違います。なんと、家族や親戚、友達などが集まってバーベキューをするんです!「え?伝統的な行事に現代的なバーベキュー?」とびっくりしますよね。しかも、河川敷とか、公園とかだけでなく、家の前の歩道や道路にはみ出して行っていたり、台北市内のショップが立ち並ぶ繁華街のしかも「騎樓」と呼ばれる屋根のある歩道(アーケード)にテーブルや椅子、そしてバーベキューセットが並べられたりして、横を通る人を気に留める様子もなく皆で楽しそうにバーベキューをしているんです。

なぜこの「中秋節にバーベキュー」という習慣が始まったのかというと、焼肉のタレの広告をきっかけに流行りだしたんだそうです。なんだかバレンタインデーのようですね。でも、皆で食事を囲むという昔からの風習にバーベキューがマッチしたのでこんなにも浸透したと言えるでしょうね。

ただ、あちこちでバーベキューをやっているので、せっかくの美しい月がバーベキューの煙でかすんで見えてしまいそうですが…皆で楽しく団らん!それが大切なんですね。

中秋節に欠かせない食べ物≫

台湾ではその節句にちなんだ食べ物を食べる習慣がありますが、「中秋節」はどんなものを食べるのでしょうか。

「中秋節」の食べ物といえばやっぱり「月餅」。丸い月餅は“家族団らんを象徴している”ことから、この「月餅」を家族そろって食べることで、満月のような円満で幸せな家庭が築けるようにと願います。

実は一言に「月餅」と言っても、地方によって大きさや材料、中に詰める餡などには違いがあります。まずは大きく二つ、“伝統的な月餅”と、“新しいタイプの月餅”に分かれます。

“伝統的な月餅”の中でも有名なのが、香港スタイルの月餅「廣式月餅」と、蘇州スタイルの「蘇式月餅」。

「廣式月餅」は、皮が厚く、餡が多くて、表面に光沢があり、口当たりはやわらかくて滑らかなのが特徴。おそらく日本で“月餅”として紹介されるものの多くもこのスタイルのものだと思います。

一方、「蘇式月餅」は、パイ生地をしっとりさせたようなサクサクしっとりとした薄い皮が特徴。その中はあんこに、五仁と呼ばれるピーナッツ、ゴマ、くるみ、アーモンド、スイカやカボチャといった瓜系の種の5種類を混ぜたものが入っていて、他の月餅と比べて甘いのが特徴です。

伝統的な月餅はどっしりとお腹にたまるものが多い上に、この「中秋節」には職場や親戚同士でも月餅を互いに送りあうため、とにかくどこに行っても月餅が出てきます。…となると、どんなに月餅が好きな人でもちょっと飽きてしまいますよね。

そこで最近では“新しいタイプの月餅”の人気も高くなっています。たとえば、ココナッツで作った餡を包んださわやかでヘルシーな月餅「椰奶月餅」や、あわび・ふかひれ・海苔・貝柱など海鮮の餡を包んだ「海味月餅」、また、焼き菓子ではなく、皮にもち米粉(糯米粉)を使って餡を包み、型に入れて形を整え、冷やして食べる、“大福”のようなイメージの「冰皮月餅」や、月餅の形をしたアイスクリーム「冰淇淋月餅」などなど、今では様々な種類の月餅が登場しています。

そして毎年この時期になると、外資系のチェーン店でもそのお店独自の月餅を販売します。

人気なのがスターバックスの月餅。毎年、食べた後も小物入れとして使えそうなおしゃれなデザインの箱に入ったスターバックスの月餅ですが、今年は「山の中の観月」をテーマにした箱に、ストロベリーチーズクリームの餡や、コーヒーくるみパイナップルクリームの餡、チーズトリュフクリームの餡のものなど5種類のオリジナルの月餅がセットになった「月光寶盒(月の光の宝箱)」というセットなど、今年は月餅のセットが5種類出ています。

また、チョコレートブランドのGODIVAからも、キンモクセイ小豆ミルクチョコレートや、パッションフルーツヘーゼルナッツミルクチョコレートといった、チョコレートを餡に入れた月餅が登場。

紅茶でお馴染みのTWG TEAからは、4種類の違う味の銘茶の伝統的な月餅にTWG TEAが厳選したお茶と茶壷をセットにしたものが登場。

そしてなんと、イギリスのブランド、Vivienne Westwoodのカフェからも月餅が出ています。「夕暮れから夜にかけての景色」をテーマに、まさにその夕暮れ時から次第に空が暗くなってくる様子を感じさせるようなロマンチックなグラデーションの月餅のセットとなっています。

このほかにも、台湾の老舗店「舊振南」は今年、KAVALANウイスキーとコラボレーションし、ウイスキーを餡に練りこんだ月餅、「醉月」を打ち出したり、そのほかにも各有名ホテルも毎年オリジナルの月餅を販売しています。

この「中秋節」前に台湾を訪れる機会がある場合は、ぜひそんなその年の注目の月餅を探すのもいいかもしれません。

ちなみに、月餅のほかにも、「中秋節」の食べ物といえば「文旦」があります。今年は台湾産の文旦が20数年ぶりに日本へ輸出されることになりましたので、もしかしたらすでに食べました!という方や、中秋節のために買って置いてますよ!という方もいらっしゃるかもしれませんね。

文旦は、サイズがちょうど子供の頭の大きさくらいあるので、中秋節には食べた後の皮を帽子のようにしてかぶるお約束の遊びがあります。皆さんももし文旦を食べる際には、切ってしまったり、皮をボロボロに剥いてしまうのではなく、縦方向に切れ目を入れて、千切れないように剥いて、あとは童心に返ってかぶってみてくださいね。

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