文化の台湾 - 2020-09-23_政府も後押し!今、急速に進化している台湾の「デザイン」

  • 23 September, 2020
  • 林 蕙如
毎年秋に行われる大型デザイン展「台湾デザイン展」。今年は台湾北部の街・新竹で10月1日から11日まで開催。”台湾のシリコンバレー”として有名なイノベーション都市の情報に、昔の生活の記録を呼応させ、デザインをツールに新竹の生活体験を楽しめる。(写真:CNA)
毎年秋に行われる大型デザイン展「台湾デザイン展」。今年は台湾北部の街・新竹で10月1日から11日まで開催。”台湾のシリコンバレー”として有名なイノベーション都市の情報に、昔の生活の記録を呼応させ、デザインをツールに新竹の生活体験を楽しめる。(写真:CNA)

台湾ではここ数年「デザイン」が熱い!というのをご存知ですか?しかもクリエイターが盛り上がっているだけでなく、台湾をあげて「デザイン」という分野を盛り上げているんです。そこで今週は、台湾の「デザイン」に関する話題をご紹介しましょう。

台湾の「デザイン」というとどのようなものを思い浮かべますか?私は最初に“お土産”を思い浮かべたのですが、私が初めて旅行で台湾を訪れたのは十数年前。その時、買って帰ったお土産は、どっしりとしたパイナップルケーキと、100gぎっちり真空パックされた台湾茶と、中華風の生地で作られた小物でした。その時買ったお土産たちのパッケージデザインや小物はというとどれも「ザ・中華風」といった感じでした。初・台湾の私にとっては新鮮でもありました。しかし!台湾のデザインといえば、これまで欧米や日本などに比べればまだまだ発展途上…と言われて来ましたが、ここ10年、台湾のデザインはすごい勢いで進化を遂げている印象があります。

例えば、パイナップルケーキのサイズが一口サイズのものが出てきたり、パイナップルの形や台湾の形のものが出てきたり、パッケージのデザインもおしゃれに!5 つ星ホテルのパイナップルケーキは味はもちろん、パッケージが可愛くて買います!という声もよく聞きます。また台湾茶も、茶葉をそのまま真空パックで売っているほか、お土産で渡しやすい少量のものが売っていたり、飲みやすい三角ティーバッグ入りが登場したり、金魚の形をした“金魚ちゃんティーバッグ”が登場したり、パッケージも従来の高級感あるデザインのほかに、ポップカラーのものや、おしゃれなタイプなど、伝統的なスタイルだけでなく、新たなスタイルがどんどん出てきています。

“金魚ちゃんティーバッグ”なんかは、2014年と2015年にドイツのデザイン賞を受賞していて、そのティーバッグでお茶を入れるとまるで本物の金魚が泳いでいるかのように見え、その可愛さから大人気になりました。そしてそのあまりの人気に、ついには日本の京都にもお店が進出しましたよね。

また、小物で見ても、以前はお土産の定番といえば“中華風の小物”が多かったのですが、2008年頃からは、台湾の二番目に大きいエスニックグループ、客家人の伝統的な花柄の布、「花布」が注目を集め、その「花布」を使った小物は、これまでの中華風のお土産とはまた違うと人気に火がつき、今では“台湾っぽいお土産”の代表的存在ともなりました。

これほどに一気に急速にデザインが発展しているのは何ででしょうか?

台湾は歴史上、日本だけでなく様々な外来民族に統治されたことで多様な文化を持っています。元々、そういったベースにある上に、実は、ここ数年、政府が“自国の文化をより強いものにするため”に、「デザイン」を重要政策のひとつにしているんです。

なんでも“台湾のデザイン産業の発展”を目的とし、各界へデザイン美学を重視するよう呼びかけるため、経済部は2003年に国家級デザインセンターである「台湾クリエイティブデザインセンター」を設立。そこから広く一般に美学を広める事をはじめました。そして「デザイン」を産業に取り入れ、国際的なデザインともコラボレーションし、デザインアワードを開催することで国際的な影響力を持つようになってきました。

実は台湾は2年連続で世界4大イノベーション大国のひとつとなっていて、行政院の蘇貞昌・院長も、「もし素晴らしいクリエイティブ能力がデザイン力と融合して、工業、科学技術、文化と結びついたら、更に付加価値を生み出すことでより大きな収益を生み出し、経済成長をもたらす重要な鍵となる」と語っています。

昨年10月には蔡英文・総統がデザインと台湾の強い製造力を融合することで、新たな価値をもたらし、「Made in Taiwan」を「Design in Taiwan」にグレードアップすると公言。それを受け、今年2020年は「台湾クリエイティブデザインセンター(台灣創意設計中心)」を「台湾デザイン研究院(TDRI)」に格上げし、省庁間の資源を統合して、「デザイン力」を台湾の重要な政策価値と国家戦力にするとしています。

このように政府も以前から「デザイン」力に対してとても注目をしているだけあって、2016年の総統選挙のとき、候補者の蔡英文氏の選挙キャンペーンのビジュアルデザインは、台湾の書籍やCDジャケットなどを数多く手がけ、台湾で最も注目を集めているグラフィックデザイナーの聶永真(アーロン・ニエ)氏が手がけ、それまで若者からよく言われていた選挙グッズの「ダサさ」や、それぞれの政党が持つカラーに縛られていた慣習を打ち破ったスタイリッシュなデザインで広く注目を集めました。

また台湾の街中にはかつてのタバコ工場をリノベーションした「松山文化クリエイティブパーク」や、日本統治時代の酒工場跡地がアート・イベント空間としてよみがえった「華山1914文化クリエイティブパーク」をはじめ、各地にアートスペースがあり、しかも古いものも新しいものも、そして新旧が融合したものもあり、実は台湾の人たちはとても「デザイン」が身近なところにあって、自然にふれていて、まさに老若男女、広い層に「デザイン」の美学が広まっているのを感じます。

2020台湾デザイン展」、101日開幕!≫

そんな政府が力を入れていることもあり、「デザイン」がとても身近な台湾では毎年秋に、政府主催の大型デザイン展「台湾デザイン展」が行われます。経済部工業局主催、台湾デザイン研究院が中心となり、毎年違う街でその地方自治体と協力して行うこの「デザイン展」。

今年は台湾北部の街、新竹で10月1日から11日まで「Check in 新竹-人來風」をテーマに、新竹公園、バスターミナル、そして新竹市の旧市街地までの2kmに渡って展示エリアが広がります。この「人來風」には、新竹は風が強いことで有名で、“風”に“お城”と書く「風城」という別名があることから、「風の城においで」という意味があるほか、もう一つの意味があります。“人”、“来る”、“瘋”を書いて、子どものことを言うときによく使うんですが、「お客さんが来ると、興奮していてよくはしゃいでいる」という意味があります。それをもじって最後の字を“風”にして、ここでは「みな新竹に集まって一緒にこのイベントを盛り上げよう」という意味にも取れます。

新竹といえば、新竹サイエンスパークがあって、“エンジニアの街”、または台湾のシリコンバレーとして有名ですよね。そんなイノベーション都市の情報に昔の生活の記録を呼応させ、デザインをツールにして新竹にいざなうと同時にこの都市にもチェックイン。人々と街の歴史の記憶や空間を結びつけ、生活体験が行えます。

これはひとつの“アフターコロナ時代”の心と身体の革新的な体験を紐解いていくものであり、新竹の「生活博物館」を巡ることでひとつの未来の新竹にたどり着くものでもあり、2kmの歩く街を軸とした展示場兼遊園地でもあり、参加型の自らが作り出した「文化の記憶」の端末機でもある─。

「デザイン」によって新旧が入り混じった新竹を楽しめるようになっています。

毎年、その土地にあったテーマを元に、「デザイン」と街を融合させるイベントですが、一言に「デザイン」と言っても、枠にとらわれず様々なアプローチをし、どんどんと新しい感性が生まれていきます。

今年の「デザイン展」を見に来ることは叶いませんが、台湾の「デザイン」の進化の過程を皆さんもぜひ注目していてくださいね。

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