文化の台湾 - 2020-09-02_「台北流行音楽中心」完成、9月5日正式オープン

  • 02 September, 2020
  • 林 蕙如
8月27日にオープンした「台北ミュージックセンター(台北音楽流行中心)」。10月3日にはここで台湾版グラミー賞「金曲奨」の授賞式典が行われる。(写真:CNA)

皆さんは、台湾の音楽というとどのようなイメージですか?私が台湾に魅了されたきっかけは、周杰倫(ジェイ・チョウ)の音楽だったのですが、それまでは私の中に“中華圏の音楽といえば胡弓や琴など伝統楽器を使ったものや、しっとりと歌うバラードが多く”、曲を聴いて“楽しむ”というイメージはあまりありませんでした。もちろん、美しい曲が多いなという印象ではありましたが、学生時代からポップスやロック、そして洋楽を楽しんでいた私にとっては、中華圏の音楽はまるで音楽の授業で聴く曲のような印象でした。

そのイメージをがらりと変えたのが周杰倫(ジェイ・チョウ)の音楽。彼の作り出す曲は、私がそれまで“ちょっとつまらない”と感じていた中華圏の美しいメロディラインにラップを取り入れたり、音遊びがあったりして、中国語の曲もなんだか面白い!と思い、それから中華圏のアーティストの曲を聴くようになりました。

中華圏のミュージックシーンというと、80年代から90年代は香港と台湾が牽引していていました。日本では、台湾出身の歌手テレサ・テンが活躍していましたし、90年代は香港でデビューした歌手・王菲(フェイ・ウォン)が歌った映画『恋する惑星』の主題歌で、クランベリーズのカバー曲「夢中人」が人気でしたよね。

ただ最近では中国からも続々と注目の歌手が現れていて、勢いの分布が拡散した感じですが、そんな中、今度、台湾の音楽シーンが再びぐっと盛り上がる後押しとなるかもしれない施設「台北流行音楽中心(台北ミュージックセンター)」が先月末8月27日に台北市の東部・南港エリアに誕生しました。

場所は台北新交通システムMRT(台北メトロ)ブルーラインの南港駅と昆陽駅の間で敷地面積は8.96ヘクタール。「市民大道」という大きな道路を挟んで北エリアと南エリアに分かれていて、北エリアには5,000人収容可能な中大型イベント専用のコンサートホールが。南エリアには台湾ミュージックシーンの歴史などを紹介する「流行音楽文化館」、台湾のミュージシャン育成を目的とした「産業エリア」、そして音楽イベントや小型のストリートパフォーマンスなども可能な「戶外廣場」があります。なお、「文化館」と「産業エリア」は2021年に順次オープンする予定だそうです。

これまで台湾のコンサート会場といえば、台北小巨蛋(台北アリーナ)や高雄巨蛋(高雄アリーナ)といった1万5千人規模の大きな会場か、ライブハウスといった小さな会場しかなく、中型規模の施設が不足しているとの指摘が音楽関係者からあがっていました。ですので、今回5,000人規模のホールが誕生したことに関係者も喜んでいるようです。

しかも、台北小巨蛋(台北アリーナ)で、コンサート中に観客がジャンプすると、近所で地震のような揺れが起きるという問題も起こりましたが、この「台北流行音楽中心(台北ミュージックセンター)」の音楽ホールは、防音、防振、各設備において、国際規格を満たしているそうです。気兼ねなくコンサートで“ジャンプ”ができますね。

この「台北流行音楽中心(台北ミュージックセンター)」は、2003年に発表された、国全体の競争力を高め、経済成長を促すのを目的とした大規模インフラ整備計画「新十大建設」に関連して建設されたもので、このほど17年を経て完成。先月8月27日に開館式が行われました。

この開館式には、蔡英文・総統をはじめ、蘇貞昌・行政院長、李永得・文化部長、台北市の柯文哲・市長が駆けつけました。期待の高さが伺えますよね。

開館式で蔡英文・総統は、過去数十年、台湾はずっと中国語音楽の中心的存在だ。歌い継がれている曲はほとんど台湾から始まっているとし、「なぜなら我々は自由民主の社会で、様々な形で表現ができるからだ」と語りました。

また台北市の柯文哲・市長は、「“アジアの流行音楽の発信拠点”になっていくことを望んでいる」とコメント。

ここ数年は、日本や韓国、タイなどから台湾にライブに来るミュージシャンも増えていましたし、ここ「台北流行音楽中心(台北ミュージックセンター)」が、中国語音楽だけでなく、“アジアの流行音楽の発信拠点”になっていく可能性も十分にあると思います。これから楽しみですね。

 

ちなみにこの「台北流行音楽中心(台北ミュージックセンター)」、建物にも特徴があります。

北エリアにあり、このたびオープンした「コンサートホール」は、アメリカのRURアーキテクチャが設計、地上5階、地下3階の建物。外観はジグザグとした不規則な形をした屋根の扇状の建物となっています。これは台湾の山々が連なっている様子をイメージしているそうで、“台湾のミュージックシーンが新たな世紀に邁進し、山のように高い多元的な発展を作り出す”ということを象徴しているそうです。ちなみに、イメージは“山”ですが、「宇宙船」という愛称で親しまれているそうです。

また先ほど、防音、防振も国際基準を満たしていると紹介しましたが、ほかのシステムも注目です。音響は世界三大音響ブランドのひとつで、国内外の歌手も愛用しているブランド、フランスの「L-Acoustics(エルアコースティックス)」の 「K2」を導入。会場の特性を生かして、細かく調整を行い、素晴らしい高品質の音を届けてくれます。

そのほかにも、ステージ上の高い場所での危険な作業を減らすため、照明の付いたマザートラスを1階の高さに下ろして作業でき、設置完了後に必要な高さにあげられるようにしてあったり、電動で昇降する舞台装置もあります。

さらには、「台北流行音楽中心(台北ミュージックセンター)」は5G技術と新アプリケーションを整えており、コンサートホールでは5G信号を提供していて、台湾で初の5Gを運用したホールとなっています。

華々しく開館した「台北流行音楽中心(台北ミュージックセンター)」、最初のコンサートは今週末9月5日(土)に、「台北ミュージックセンター」の中国語「台北流行音楽中心」を省略した読み方、「台北」の“北”、「流行」の“流”という字を書いて、「嗨!北流」と題したコンサートを行います。

そして、10月3日には、“台湾版グラミー賞”と呼ばれる「金曲奨(ゴールデンメロディアワード)」の授賞式が初めてこの「台北流行音楽中心(台北ミュージックセンター)」で行われます。

この「台北流行音楽中心(台北ミュージックセンター)」ができたことで、これからの台湾のミュージックシーンがどのように盛り上がっていくのか、楽しみですね。

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