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Rti 台湾国際放送Rti 台湾国際放送台湾ミニ百科(2022-01-05)「地牛翻身」:地震が起こるのは牛のせい?

  • 05 January, 2022
台湾ミニ百科
(写真:王旬常氏提供、CNA)

今年1月3日午後5時46分、台湾東部・花蓮県の県庁から56.7キロ離れた外海で、マグニチュード6.0の地震が発生し、台湾全域で揺れが感じられました。最大震度は台湾北東部・宜蘭県、北部・台北市と新北市の4です。幸い、被害はありませんでしたが、まさか新年が始まって一週間も経たずに、早速今年初めての地震を迎えたとは、驚いている人は結構いるそうです。

日本と同じように、2つのプレートの境目に近い台湾では、地震がよく発生します。地震が起こる原因について、科学技術が発展している現代では、とっくの前に究明されました。ところで、まだ地震の仕組みに対する研究が進んでいなかった昔、人々は地震という現象に、自分なりの解釈を持っていました。

たとえば、日本では、「ナマズが暴れると地震が起こる」という説がありますよね。台湾には昔からいろんな民族が暮らしているため、地震が発生する理由については様々な説がありました。そのうち、最も知られているのは、「大地の下に眠る巨大な牛が身をひるがえした」という説です。中国語では、「地牛翻身(地下の牛が身を翻した)」と言います。漢字は大地の地、牛、ひるがえす、身体検査の身と書きます。この言葉は、今も地震の代名詞としてよく使われていますので、台湾で生活したことのある方ならば、馴染みのある言葉かもしれません。

何故牛なのでしょうか?調査によりますと、大地の下に牛がいるという説は、はるか昔から台湾で暮らしている一部の原住民族の間で伝えられている話しと、中国大陸から台湾にやってきて、今や台湾人口の9割以上を占める漢民族の文化と混じり合った結果だそうです。

1.原住民族「地下に牛がいる」、漢民族「大地に毛が生える」

日本統治時代に台湾で活動していた日本の人類学者、伊能嘉矩は1896年、台湾北部・淡水の平地に住むある原住民族、平埔族で伝えられていた地震の伝説に関する文章を、『東京人類学会雑誌』に発表しました。その伝説は、まさに「地下に牛がいる」という説でした。

続いて、1906年と1908年、伊能嘉矩は再び原住民族の地震の伝説に関する文章を発表しましたが、それによりますと、サイシャット族と、いまはいなくなった、ヴォヌム族も、地震が発生するのは地下にいる牛が身を揺さぶった結果だと信じています。

そのほか、1923年に出版された、台湾の原住民族で伝えられている伝説を記録した本『生蕃伝説集』によりますと、ツオ族の複数の部族にも、地下の牛が地震を引き起こしたという説があります。

一方、漢民族の間には、「地生毛」という説があります。地震が発生した2日以内、地上から、白や黒色をした、まるで動物の毛のようなものが生えてくるということです。その謎の毛の長さはわずか数センチから1メートル以上のものもあって、地上だけではなく、民家やお城の壁にも生えるということです。とても作り話のようにしか思えませんが、この現象は、度々文献に記録されていました。その毛の正体についていまもはっきりわかっていませんが、清の時代の文献のうちには、それを牛の毛だと捉えるものがありました。

日本統治時代に入りますと、漢民族は、原住民族の「地下に牛がいる説」に影響されたからでしょうか。地震後に生える毛は、地下に眠る牛の毛であると見られていたことが日本統治時代のいろんな文献に記録されています。

1906年、台湾南部、嘉義県で大地震が発生しました。この地震の後、山の上にある大地の割れ目のところに、牛のしっぽが発見されたという噂が広まりました。このことで、「地震が発生したのは、大地の下に眠る牛が身を翻したから」という説が更に人々に定着されました。

この説により、地震が発生した後、人々は牛の鳴き声を真似すれば、暴れる牛を落ち着かせ、地震の再発を防ぐことができると信じられています。さらに、1999年9月21日、20世紀で最大の地震と呼ばれる「921大地震」が発生した後、震央に近い、台湾中部・南投県竹山鎮の現地の芸術協会は、「打地牛(地下の牛を打つ)」という儀式を行いました。つまり、本物の牛を地震の原因となる地下の牛だと見立てて竹のムチで打ち、これ以上地震が起きないよう祈願する儀式です。動物虐待の疑いがあるかもしれませんが、牛にムチを打つことで、地震の発生を予防しようとするという方法は、結構面白いですね。

2.何故「牛」でしょうか?

は、他の動物ではなく、牛だと思われているのでしょうか?その理由は、原住民族で伝えられている伝説の影響だけではないと考えられています。

文献によりますと、台湾には元から牛がいますが、その品種の牛は主に野山を駆け巡るものなので、台湾人の日常生活とはあまり関わりがありません。

大航海時代の17世紀になりますと、台湾南部を占領していたオランダ人が、農耕の手伝いとして、インドネシアのジャワ島、そしていまの台湾の澎湖島から水牛を導入したことで、台湾人と牛との関係がいっきに親しくなりました。農家にとって、牛は畑仕事をする際に欠かせない大事な仲間で、家族同然のような存在、尊敬する対象でもあります。牛をいじめたら、天罰を食らうことになると信じられています。そのため、牛を食べてはいけない、年をとった牛を捨ててはいけないなどのことが農家の暗黙の了解となりました。そんな台湾人の生活に近い存在である牛が地震の原因だと思われるのも、そうおかしくないことだと思われます。

(編集:曽輿婷/王淑卿)

 

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