新型コロナウイルスのパンデミックが続く中、今、ホットな話題の一つが、感染者の減少、重症化予防の切り札とされるコロナワクチンです。 ただ、ワクチンについては、その供給の状況から、接種時期、効果や副反応についてなど、様々な議論も起きていますね。
リスナーの皆様は接種はされましたでしょうか。日本は地域や年齢層によってバラツキはあるものの、65歳以上の方については、多くの方が接種を終えているようですね。
台湾では3月22日から、まず医療従事者を対象にワクチン接種を開始しました。この当時、台湾では、市中感染がほとんど発生してなかったことに加え、当初入手したワクチンが、ごく一部ではありますが、先行して接種が行われたヨーロッパ各国で、血栓の症状が報告され、死亡例もみられたイギリスのオックスフォード大学と大手医療メーカー、アストラゼネカ製のワクチンであったこともあり、接種のペースは伸び悩みました。その為、中華民国政府は、当初の対象、「第一類」とされる医療従事者から、接種の対象者を「第二類」とされる「中央政府及び地方自治体の防疫職員」、「第三類」とされる「高いリスクを伴う第一線で勤務するスタッフ」などへと広げていきました。
最初に購入したワクチンの有効期限も5月末ないし6月半ばに迫っており、このペースでは余ってしまうことが予測されたことから、こうした公費によるワクチン接種に加え、公費対象外の人たちも、台湾元500元から600元(日本円にしておよそ1970円から2360円)前後で、自費で接種できるようにようになりました。
しかし、皆様も御存知の通り、台湾では5月上旬から新型コロナウイルスの市中感染が急拡大しました。すると事態は一転、限られたワクチンは、感染者が多数発生した北部の医療関係者などのエッセンシャルワーカーが優先となり、自費接種は打ち切りとなりました。そして、ワクチン接種希望者も急増しました。
こうした中、中央感染症指揮センターは6月9日、第1類から第7類まで、公費によるワクチン接種対象を発表、さらに6月21日には、65歳から74歳までの高齢者を「第8類」、高リスクの疾病をもつ19歳から64歳の人を「第9類」、そして50歳から64歳の人を「第10類」とする、新たなワクチン接種対象を発表しました。
台湾の自己調達分に加え、6月4日には日本から124万人分のアストラゼネカワクチンの無償提供が、そして6月20日にはアメリカから250万人分のモデルナワクチンの無償提供などもあり、諸外国に比べ大きく引きされていたワクチン接種ペースは、7月に入ってからペースアップしています。
そして、7月6日、日本でもすっかりおなじみ、中華民国政府でデジタル政策を担当するオードリー・タン政務委員が、自ら設計した新たなワクチン接種予約システムに関する記者会見を行いました。このシステムは、まずワクチン接種希望者が、希望登録を行います。この希望登録の際、身分証あるいは居留証の番号、保険証番号、携帯電話の番号を記入し、ワクチンを接種する行政区、そして希望するワクチンの種類を選びます。
政府は、この希望登録を集計、確保しているワクチンの数量に基づいて、接種可能となる人にショートメッセージを送ります。そして、ショートメッセージを受け取った人は、「ワクチン接種予約システム」の専用サイトもしくはアプリのほか、コンビニエンスストア、薬局などで、接種する日時、接種する病院やクリニックを選択し、当日、接種に向かう、という流れです。
この「ワクチン接種予約システム」は、まず第1ラウンドとして、離島の金門、馬祖、澎湖の人たちを対象に、「第9類」高リスクの疾病をもつ19歳から64歳の人と、「第10類」、50歳から64歳の人を対象に先行スタートしました。そして、これらの試験運用に問題がなかったことから、8日からは、第2ラウンド、台湾全域の「第9類」と「第10類」の人を対象とし、運用が本格スタートしました。第2ラウンドの資格を満たす人は全国で110万9747人いましたが、このうちおよそ85%に当たる94万1095人の人が、ワクチン接種の予約を行いました。
さらに、13日からは、第3ラウンド、台湾全域の18歳以上の人全てが希望登録を行えるようにしました。先週16日の時点で、この第3ラウンドで、希望登録を行った人の数は814万4390人に達しました。このうち、モデルナのワクチンのみを打ちたいと希望した人は418万9043人と5割を超え、モデルナ、アストラゼネカどちらでもいいと応えた人は全体の45.47%、370万3599人でした。なお、アストラゼネカのみを選んだ人は全体およそ3%のみにとどまりました。
このように、現在、ワクチンの種類は、モデルナとアストラゼネカから両方、もしくは、どちらか1つを選ぶことができますが、現時点では、ワクチンの確保数量の関係から、アストラゼネカを選んだ人のみ接種を受けられるといい、モデルナのワクチンを希望する人はしばらく待つことになるということです。また、18歳以上が全て対象となりましたが、重症化リスクが高い、年齢の高い人から、優先的に通知が受け取るようになっているということです。
実は私、駒田も先週末、自宅近くのクリニックで、一本目のワクチンを打ってきました。まず、保険証を提示して、名前を確認したあと、ワクチン接種の評価及び希望シートに記入します。
その項目は全部で6つ、「過去に血小板減少症を伴う血栓症に罹ったことがあるか、血液凝固を防ぐ薬物、ヘパリンによる血小板減少症に罹ったことがあるか」、「過去、ワクチン、薬物注射に対する急性のアレルギー反応があったか」、「現在、発熱、嘔吐、呼吸困難など身体の不調がないか」、「免疫抑制剤の使用などにより免疫が低下していないか」、「過去14日以内に他のワクチンを接種していないか」、「妊娠していないか」、これらの6つの項目がいずれも該当なしで、体温も正常である場合、医師が直接確認した上で、接種に移ります。
会場ごとに異なるのかもしれませんが、私は医師の聞き取りが終わると、看護師さんに左腕をまくられ、すぐに注射を打たれました。痛いという方もいらっしゃいますが、私は注射そのものはほとんど痛みを感じませんでした。当日の夜、発熱、悪寒、関節の痛みなどの副反応がありましたが、翌日の昼から症状もおさまりました。アストラゼネカは8週間から12週間間隔を空けなければならない為、次回は9月下旬に接種予定となっています。
16日、台湾のワクチン接種率は2割を超えました。徹底した防疫対策と、ワクチン接種の2本建てで、感染の抑え込みを図ってもらいたいと思います。