東京オリンピックの開幕まで2週間あまりとなりました。先週末7月3日の段階で、中華民国台湾の選手団は、17の競技で、61人の選手が出場権を獲得しています。内訳は重量挙げ7、アーチェリー6、卓球6、陸上6、射撃5、体操5、ボクシング4、テコンドー4、ゴルフ3、柔道3、テニス3、競泳3、空手2、そして馬術、ヨット、カヌー・スラローム、自転車がそれぞれ1となっています。このほか、バドミントンでも男女シングルス、男子ダブルスなどの出場が確実視されています。
本日の「ようこそT-ROOMへ」では、東京オリンピック開催を前に、10人のアスリートの紹介を通じて、中華民国台湾のオリンピックに関する豆知識をお届けいたしましょう。
まず、最初にご紹介するのは、台湾が世界に誇る女子バドミントン界のエース、タイ・ツーイン選手です。16歳にして台湾ナンバーワンとなったタイ選手は、世界の舞台においても、その変幻自在のプレースタイルを武器に実力をつけ、22歳にして台湾選手初の世界ランキング1位に上り詰めました。 これまで優勝したスーパーシリーズ大会数は22、世界1位の通算在位期間も170週近くとしています。東京オリンピックは3度のオリンピック、悲願のメダル獲得はもとより、金メダルの獲得も期待されます。
2人目は、女子重量挙げ59キロ級の郭婞淳(かくけいじゅん)選手です。郭選手は4月に行われたアジア選手権で、スナッチ及びトータルで世界新記録を更新しました。世界女王で迎えた東京オリンピックは金メダルの最有力候補です。
3人目は、体操女子のティン・フアティエン選手です。ティン選手は2019年の世界体操選手権でオリンピック出場権を獲得、台湾女子体操界では実に52年ぶりの快挙でした。そして、2019年にオーストラリアで行われた大会のゆかの競技で、助走をつけてから空中で足を大きく開いてから体を180度反転して着地する、自ら編み出したジャンプの動きが、国際体操連盟(FIG)によって、「ティン・フアティエン」の名前で、新たな技として正式に認められました。台湾の体操界では初めてのことです。
4人目は、男子やり投げの鄭兆村(ていちょうそん)・選手です。鄭兆村・選手は2017年、地元台湾で行われたユニバーシアード台北大会で、91メートル36のアジア記録をマーク。4年経った現在もなおアジア記録となっています。2019年、カタール・ドーハで行われたアジア選手権で金メダル、ダイヤモンドリーグ上海大会で銀メダルを獲得、東京オリンピックの出場権を手にしました。大きな期待が寄せられています。
5人目は、男子体操の李智凱(り・ちがい)選手です。鞍馬において、「トーマス旋回」と呼ばれる、開脚したまま旋回する難易度の高い豪快な技をもつ李・選手、実は。今から16年前、2005年に公開されたドキュメンタリー映画、台湾北東部、宜蘭県羅東鎮の公正小学校体操部の林育信コーチとその教え子たちを描いた「ジャンプボーイズ」で、クローズアップされた6人の少年のうちの一人なんです。2016年のリオデジャネイロオリンピックでは怪我の影響で個人総合は欠場、得意の鞍馬も予選落ちという結果に終わりましたが、5年で安定感は大きくアップ、今回の東京オリンピックはメダル獲得を目指しています。
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東京オリンピックの出場選手に続いて、6人目からは、中華民国台湾のオリンピック史において、忘れてはいけない5人を紹介しましょう。
6人目は、台湾初の金メダリスト、陳詩欣(ちん・しきん)選手です。陳選手は2004年に行われたアテネオリンピック、テコンドー女子49キロ級の選手、決勝で、キューバの選手を下し、中華民国台湾オリンピック出場72年めにして初の金メダルをもたらしました。
7人目は、台湾男子初の金メダリスト、朱木炎(しゅ・もくえん)選手です。この朱選手もテコンドーの選手で、2004年のアテネオリンピックでは、男子58キロ級に出場、決勝でメキシコの選手を下し、台湾勢として2つめの金メダルを獲得しました。
8人目は、台湾勢初の2大会連続金メダリスト、女子重量あげ53キロ級の許淑浄(きょ・しゅくじょう)選手です。許淑浄選手は、2012年のロンドンオリンピックで銀メダルを、2016年のリオデジャネイロオリンピックで、金メダルを獲得しましたが、2016年の年末、ロンドンオリンピックの金メダリストだったカザフスタンの選手が、禁止薬物を使っていたことが判明したことから失格となり、繰り上げでロンドンオリンピックの金メダルが確定しました。
9人目は、台湾初のメダリスト、「アジアの鉄人」と呼ばれた男子10種競技のCKヤンこと楊伝広(よう・でんこう)氏です。
楊伝広(よう・でんこう)氏は、1960年のローマオリンピックで、オリンピック新記録を樹立、1位の選手がさらに良い記録をマークした為、銀メダルとなりましたが、中華民国台湾に初のオリンピックのメダルをもたらしました。1963年にアメリカで行われた大会では、十種競技の当時の世界新記録となる9121点をマークしました。台湾の陸上界のみならず、台湾スポーツ界を代表するアスリートです。
そして、10人目は、台湾の女子アスリート初のオリンピックメダリスト、紀政(きせい)・氏です。紀政氏は1968年のメキシコオリンピックで、女子80メートルハードルで銅メダル、台湾の女子アスリートとして初めてメダルを獲得しました。また、この銅メダルは、アジアの女子選手として国際大会の短距離で初のメダルでもありました。紀政(きせい)・氏はキャリアのピークだった1969年から1970年にかけては、アジア、世界の各競技大会において、100メートル、200メートルなどで優勝しました。紀政(きせい)・氏もまた、台湾を代表するアスリートです。
東京オリンピック、注目の選手といいますと、前半でご紹介した女子バドミントンのタイ・ツーイン選手、女子重量挙げの郭婞淳(かくけいじゅん)選手、男子やりなげの鄭兆村(ていちょうそん)・選手、そして男子体操の李智凱(り・ちがい)選手らがメダル候補として挙げられますが、このほか、バドミントン、男子シングルスの周天成・選手、男子ダブルスのリーヤン・ワンチーリン組、そしてお家芸といえるアーチェリー女子団体、テコンドー、そして今大会から正式種目となった空手も注目です。また、アマチュアの世界ランキング上位の女子選手を揃えるボクシングなども期待です。オリンピックに興味をお持ちのリスナーの皆様には、ぜひ台湾の選手たちも応援して頂きたいと思います。