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Rti 台湾国際放送Rti 台湾国際放送ようこそT-roomへ - 2021-05-12_台湾のウナギ産業、内憂外患

  • 12 May, 2021
ようこそT-roomへ
台湾の高速道路のサービスエリア(SA)10ヶ所で台湾産ウナギを使用するお弁当8種類が販売されている。(写真:CNA)

 リスナーの皆様は、うなぎはお好きですか。ビタミンたっぷりのうなぎは、スタミナ食と知られ、日本では、夏バテ防止に栄養価の高いうなぎを食べる習慣があります。かつては「土用の丑の日」ともなりますと、全国でうなぎ商戦が繰り広げられてきましたが、近年は収穫量が激減、絶滅の危機がささやかれているほか、持続可能な社会、環境を目指すという考え方が広がりつつあり、以前ほどの盛り上がりではないようです。

 リスナーの皆様は、中華民国台湾がウナギの一大生産国であり、海外輸出の大部分を日本に輸出している、ということをご存知でしょうか。しかし、様々な理由により、現在、台湾の日本へのウナギ輸出は苦境に立たされているんです。

 本日の「ようこそT-ROOMへ」では、台湾のうなぎ産業を取り囲む現状についてご紹介したいと思います。

 まずは、データをご紹介しましょう。行政院農業委員会の統計によりますと、昨年2020年、台湾のうなぎの海外輸出量は1067トン、金額で米ドル3611万9000ドル(現在のレートで、日本円にしておよそ39億4240万円)でした。1067トンの内訳は「活きウナギ」、「活けうなぎ」などと呼ばれる生きたウナギが1009トンと大部分をしめ、蒲焼きなどに加工された「うなぎ調製品」が57トン、そしてこのほか、ウナギの子供、「幼生」が1トンでした。そして、輸出先別では日本が1037トンと全体の97%を占めました。他の輸出先にはシンガポール、アメリカ、イスラエル、フランスなどがありますが、2位のシンガポールでも日本の1%ほどとわずかです。つまり、台湾のウナギの輸出はほぼ日本向けとなっているんですね。

 ただ、昨年2020年の、日本向けの輸出量1037トン、そして金額3461万9000ドル(現在のレートで、日本円37億7800万円)はいずれも2015年以降では最低となりました。ちなみにこの10年で最多だった2011年は、輸出量が5757トン、金額で1億6449万米ドルでした。

 台湾においてウナギやエビの輸出業者を束ねる台湾区ウナギ、エビ輸出同業公会の郭瓊英(かく・けいえい)・理事長は、「台湾のウナギの輸出のうち97%が日本向けと、ほぼ単一市場向けとなっている。しかし、新型コロナウイルスの影響を受け、運賃が4倍と高騰してしまった。こうした中、他の国・地域は運賃が高騰した分を補助した、台湾のうなぎは、日本市場での競争力を失い、昨年輸出量は大きく落ち込んだ」と説明しました。

 郭瓊英・理事長によりますと、農業委員会漁業署も、昨年から日本向け輸出分について、海運は、キロ当たり台湾元30元、空運はキロ当たり台湾元40元の補助金を支給、これにより、今年に入り「活きウナギ」については回復の兆しがあるということです。しかし、この補助は今年5月いっぱいまでとなっていることから、6月以降、競争力を失い、再び輸出量が落ち込むことを憂慮しているといいます。

 台湾ウナギ発展基金会の蔡秋棠・董事長は、台湾のウナギ産業を取り巻く現状について、「内憂外患(ないゆうがいかん)」と例えました。内側のうち、憂う、外側の外、患う(わずらう)、患者の患と書く「内憂外患(ないゆうがいかん)」は、その文字の通り、国内にある心配事と外国から受ける心配事が共にある、という意味です。

 蔡・董事長は、台湾のうなぎの品質は素晴らしいと前置きをした上で、次のように説明しました。

 以前、日本市場において多くの規則がなかった時代は、日本に売ってしまえば日本のウナギとなり、台湾産ウナギも、中国大陸産ウナギもはっきりわからなかった為、台湾のウナギ産業にとっては逆風であったそうです。しかし、2010年以降、日本では産地の表示が義務付けられ、違反の場合には罰則も科せられるようになったことで、台湾産のウナギは「台湾産」とはっきり記載できるようになりました。

 ところが、ここで中国大陸のウナギ産業が急成長をみせたのです。台湾産のウナギの品種はニホンウナギですが、中国大陸のウナギは、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギです。ヨーロッパウナギ、アメリカウナギの養殖池は温度25度以下でないといけませんが、中国大陸は、福建省の山間部でこれらの飼育に成功しました。こうした中、中国大陸のウナギの価格は、台湾産のおよそ半分という状況もあり、日本における、蒲焼きなどに加工された「うなぎ調製品」のシェアは中国大陸に圧倒されているということです。

 蔡・董事長はさらに、日本における「活きウナギ」の市場は、全体の6、7割は加工品となり、残りの2、3割がお店で焼いて提供されると説明、この「活きウナギ」においても、新型コロナウイルスの影響で売上が落ちている上、中国大陸は関税分への補助を行い、コスト面で圧倒的な強みをもっており、台湾産ウナギは太刀打ちできないということです。

 さらに、これまで高級魚と見られてきたウナギですが、ここにきて卸売価格の落ち込みも起きています。過去、卸売価格は1キロ、2000元以上でしたが、現在は1200元から1300元ほどになっているということです。こうした中、過去台湾に20から30ほどあったウナギの加工業者も、正式な認定業者は4軒まで減ってしまったそうです。ただ、こうした中、台湾内においても、一部、認可されていない業者が、ウナギを加工し販売しているといいます。

 蔡・董事長は、ウナギ業者は、海外に目を向ければ、新型コロナウイルス、そして中国大陸との価格競争と、国内に目を向ければ、非認可業者による販売があると指摘、国内外共に産地表示を義務付け、まっとうな業者が生き残れるようにして欲しいと訴えました。

 こうした中、農業委員会漁業署では、国内での販売に力を入れはじめています。この5月初旬からは、高速道路のサービスエリアを経営する企業とタッグを組み、台湾の10のサービスエリアで、台湾産ウナギを使ったウナギ弁当やウナギおこわなど、各種弁当の販売を開始しました。 

 また、価格下落に、台湾でうなぎ料理を提供してきたお店も、「これまで品質が一番良いウナギは優先的に日本に輸出され、国内に残る量は少なかったが、現在は量も十分にある上、価格も品質も良い。お客さんへ提供できる量も増えた」と喜んでいます。

 内需拡大により、輸出の落ち込みをカバーすることはできないでしょうが、まずは台湾の人たちには「食べて応援」してもらいたいと思います。私も久しくうなぎを口にしていませんので、近い内に、安くて美味しいうなぎを食べにいきたいと思います。

 

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