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Rti 台湾国際放送Rti 台湾国際放送ようこそT-roomへ - 2021-03-24_コロナ禍の影響、2020年入国者数が出国者数より27万人増加

  • 24 March, 2021

 私どもの番組のみならず、日本メディアでも盛んに報じられているので、ご存知かと思いますが、中華民国台湾は昨年の春、政府主導による「先手、先手」の対策により新型コロナウイルスの感染拡大の抑え込みに成功しました。

 しかし、昨年12月におよそ8ヶ月ぶりの市中感染が発生、さらに、今年1月には院内感染をきっかけに、市中感染も複数例確認され、一時は緊張感が広がり、ランタンフェスティバルなど旧正月休み期間のイベントが軒並み中止となりましたが、ここでも再び抑え込みに成功しました。もちろん、油断はできませんが、中華民国台湾は世界の中でも、新型コロナウイルスの封じ込めに成功した国とされています。

 こうした中、この一年あまり、海外から中華民国籍をもつ人々の帰国、台湾のルーツをもつ外国籍の人たちの来台のほか、台湾に留学にやってくる華僑の留学生の数が増えています。そうした人たちの中には、非常に優秀な人材も多く、台湾経済にとってプラスになると指摘されています。そして、こうした状況がこの3月、アメリカの大手メディアなど各メディアで特集されたことから、改めて台湾でクローズアップされています。

 統計によりますと、2020年、中華民国台湾に入境した人の数は、台湾から出境した人よりも27万人近く多かったということです。

 台湾への完全帰国を決めた人もいれば、一時避難のような形で短期滞在の人もおり、様々なケースがあると思われますが、相当な数の人々が、感染リスクが低く、ロックダウンのない台湾に戻ってきた、と見られています。

 貿易会社で働く一人の女性のケースをご紹介しましょう。台湾で生まれた27歳の女性、クオ・チーウェンさんは、元々アメリカ・サンフランシスコで働いていました。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、昨年3月からテレワークとなり、自宅で働いていました。その後、昨年末、台湾で両親の希望もあり、一時的に台湾に戻ってきました。クオさんはもともと3月にアメリカに戻ろうと思っていたそうですが、5月まで台湾滞在を延長することにしたそうです。

 アメリカでは10ヶ月に渡ってロックダウンの中で生活を送っていたクオさんは、台湾での生活について、「映画を見に行ったり、博物館へ参観にいくこともできるほか、レストランで食事を楽しんだり、国内旅行に出かけたりすることもできて、コロナ前との生活と変わらない。台湾にはまるで新型コロナウイルスが存在していないかのようだ。」と驚きを示し、このタイミングで台湾に戻ってこられた事に感謝しました。

 台湾では、新型コロナウイルス流行以降、ほとんどの外国籍の人たちの入境が不可能となっていますが、「就業ゴールドカード」を所持する外国特定専門人材と呼ばれる人たちは例外です。中華民国政府は、コロナ禍においても、こうした優秀な外国人や、海外在住の台湾系の優秀な人材の台湾移住を促そうと、働きかけてきました。2020年1月31日以来、「就業ゴールドカラー」は1600枚発行されましたが、この数は2019年1年間のおよそ4倍強の数となっています。

 こうした「就業ゴールドカード」を初めて手にしたのが、台湾系アメリカ人のスティーブン・チェン氏です。動画共有サイトYoutubeの共同創業者の一人として知られるスティーブン・チェン氏は、2019年、夫人と2人の子供と共に生まれ故郷の台湾に戻ってきました。そして、2020年に新型コロナウイルスが世界的流行をみせると、チェン氏のシリコンバレー時代の友人達のうち、チェン氏と似たようなバックボーンをもつ、たくさんの人が台湾に戻ってきたといいます。ライブストリーミング配信のプラットフォーム「Twitch(ツイッチ)」の創業者の一人、ケビン・リン氏、音楽ゲーム「ギターヒーロー」の共同開発者、カイ・ファン氏といった人たちです。

 これまで台湾のハイテク産業は製造業とされ、文化クリエイティブ産業ではないと指摘されてきましたが、こうした人材が台湾に戻ってきたことで、台湾のハイテク産業にブレイクスルーをもたらすことが期待されます。

 このように、新型コロナウイルスがきっかけとなり、海外で暮らしていた人達がたくさん台湾に戻ってきたことにより、台湾経済にプラスの影響を与えているとみられています。これは、富裕層といえるこうした人達が旅行、外食産業、投資などにより、台湾で消費をするようになっている上、その特殊な能力によって台湾で起業し、台湾の従業員を雇用するケースもあるからです。

 民間シンクタンクの元大宝華(ユエンターパオフア)総合経済研究院のリャン・クオユエン院長は、旧正月休み期間、大型レストランやハイグレードのレストランは非常に賑わっていた、と指摘、このうちの少なくない割合は、富裕層といえる海外から戻ってきた台湾の人々であった、との見方を示しました。

 リャオ院長は、中華民国台湾のおよそ2400万人の人口のうち、100万人が長期間海外で暮らしているとみられるが、新型コロナウイルス流行こうした人々のうち50歳以上の人たちが、続々と台湾に戻ってきていると指摘しました。そして、こうした人々は積極的に消費することから、台湾のサービス業にとってカンフル剤となっているほか、不動産も購入していると述べました。

 新型コロナウイルス発生から、台湾経済は一時低迷しましたが、2020年第4四半期のGDP成長率は5%にせまり、行政院主計総処が予想する今年2021年の経済成長率は4.6%と、この7年間で最も高い値となっています。

 台湾の新型コロナウイルス抑え込みは、華僑留学生の増加も促しています。最新の統計によりますと、2021年度、「個人による申請」により、台湾の大学、修士課程、博士課程への入学を申請した華僑学生の数は合計6854人で、2020年度の5168人に比べて32.62%増加しました。中でも修士課程は2020年度の1114人から2021年度は1773人と、6割近く増加しました。ちなみに、地域別では香港の学生が4126人で最多、続いてマカオの754人となっています。

 学術界では、こうした華僑留学生の増加の要因として、台湾では標準中国語で授業が受けられること、半導体など世界トップレベルの分野を学べるという理由もあるとした上で、何よりも大きいのが、新型コロナウイルスの抑え込みに成功していることにより、安心して勉強に打ち込めることだと指摘しました。

 今日は前向きな話題をご紹介しましたが、新型コロナウイルスの抑え込みに成功している台湾においても、航空会社、ホテル、旅行、観光産業など、その影響をモロに受けている業界もあります。一日も早く、新型コロナウイルスが収束し、日常が戻ってくることを期待したいと思います。

 

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