:::

ようこそT-roomへ - 2020-11-25_全世界で唯一コロナ後再開のクルーズ船旅行in台湾

  • 25 November, 2020
ようこそT-roomへ
国内における新型コロナウイルス感染症の沈静化により、台湾では飛行機に乗って海外旅行気分を味わう「なんちゃって出国」とクルーズ船に乗って台湾本島と離島を回る旅行ブームが起きている。写真は10月26日台湾南部・台南市安平港に停泊するクルーズ客船「探索夢号(エクスプローラー・ドリーム)」。(写真:台南市提供)

 リスナーの皆様は、クルーズ客船の旅をされたことはおありですか。CLIA(クルーズライン国際協会)の統計によりますと、2019年、世界でクルーズ客船の利用者は延べ3000万人に達し、その市場規模は、2018年に比べ6.4%アップ、米ドル1340億ドル(日本円にしておよそ13兆9260億円)となりました。

 クルーズ客船の主な市場は、依然、カリブ海や地中海地域ということですが、アジア・オセアニア地域は、世界の市場の中で最も高い成長率となっています。アジア最大の市場は中国大陸ですが、近年、台湾市場の伸びは目をみはるものがあり、すでにシンガポールを抜き、アジア第2の市場となっているんです。

 具体的に、CLIAの統計をご紹介しますと、台湾のクルーズ客船の利用者は2012年の時点では延べ10万6000人でしたが、2015年には20万人を突破、2018年には39万1000人となりました。アジア市場全体における割合は2018年、9.3%に達し2位に浮上、8.8%のシンガポール、6.3%の日本、5.9%の香港を上回っています。

 ただ、皆様もご存知の通り、今年の年初、某豪華客船船内における新型コロナウイルス感染拡大のニュースは、クルーズ客船業界にとって、大きなイメージダウンとなりました。

 こうした中、新型コロナウイルスの市中感染拡大を抑え込んだ中華民国台湾では、6月から国内旅行が全面解禁、7月下旬からは、離島めぐりなど国内旅行ながら、世界で初めて、クルーズ客船の運航再開がなされました。人口はおよそ2360万人ながら、昨年は過去最高となる延べ1710万人の人が海外へ出かけるなど、海外旅行好きの人が非常に多い中華民国台湾、「海外旅行ロス」の状況の中、クルーズ客船の旅が非常に人気を集めているんです。

 台湾港務公司がさきごろ明らかにした統計によりますと、 7月末の運航開始から今月末、11月末までの4ヶ月間で、総搭乗者は、延べ27万人以上に上る見込みだということです。

 では、台湾において、どのような経緯で、クルーズ客船が運航再開されたのでしょうか。

 新型コロナウイルスの流行が拡大する中、コロナ対策を行う中央感染症指揮センターは2月6日、世界のクルーズ客船の台湾への停泊を禁止しました。その後、先手先手の感染防止対策で市中感染を抑え込んだ台湾は、6月初旬から国内旅行を全面的に開放、旅行に飢えていた人たちが一気に離島や南部、東部の景勝地に出かけ、空前の国内旅行ブームとなりました。

 国内旅行ブームに応える為の公共交通機関や宿泊施設に対するニーズが高まる中、世界を代表するクルーズ会社の一つ、ゲンティンクルーズグループは、台湾周遊のクルーズ運航を計画、中央感染症指揮センターによる厳しいチェックをパスした同社は、7月下旬、傘下ドリーム・クルーズの「エクスプローラー・ドリーム」号を、北部の基隆港を母港とし運航する特別プランについて、許可を得ました。

 運航にあたってゲンティンクルーズグループは、ハード面においては空調設備の整備、ハイテク技術を導入した手洗い器の設置などを、ソフト面においては、発熱者のスクリーニング、公共の場でのマスク着用、飲食スペースの座席のソーシャルディスタンス、ビュッフェスタイルを中止し、スタッフによる取り分け方式へ変更するなど、十分なコロナ対策を行いました。

 また、規定に呼応する形で、搭乗者数も従来の3分の1から2分の1に減らしました。クルーズ会社にとっては、設備投資をした上、従来よりも運航コストもアップすることになりましたが、新たな感染防止の為の規格は世界から注目されることとなりました。ゲンティンクルーズによりますと、この為に検討会を開き、研究論文も発表したといい、ポストコロナ時代のクルーズ旅行の、新たなスタンダードになるとしています。

 こうして、新型コロナウイルス流行後では世界初、世界で唯一となる、クルーズ客船ツアー、台湾における、離島めぐりクルーズはスタートしました。台湾各地の港、自治体の首長は搭乗者を大歓迎、美食やお土産でもてなしました。国内旅行ブームの中、平日でも搭乗率は8割をキープしました。

 この離島めぐりクルーズは、就航から3ヶ月未満で、31回のクルーズ、各港に149回停泊、延べ19万人が搭乗しました。その後、「エクスプローラー・ドリーム」号は10月中旬から台湾一周クルーズをスタート、この11月の末まで合計13回運航、各港へ102回停泊し、搭乗者数は延べ8万人に達するということです。

 また、同社では11月以降も、今年の年末まで、さらに11回、そして来年1月から4月の期間にも28回運航する予定だということです。

 関係者は、台湾におけるクルーズ旅行を、入国制限が解除され、世界の旅行客が台湾を訪れるようになった後、台湾観光を牽引する目玉にしたいと考えている、ということです。

 台湾国際クルーズ協会の呉勛豊・理事長は、台湾のクルーズ旅行について、3段階の発展を遂げることを期待しました。第一は、現在行われている離島めぐり、そして台湾一周クルーズ。第二は、コロナ感染リスクが同レベルなど、特定の条件が満たされた「バブル」内において、双方の人々が自由に往来できる「トラベルバブル」構築により、より多くの海外の旅行客にクルーズ客船で訪問してもらうこと。そして、第三の段階は、より多くの世界のクルーズ会社が、台湾に停泊するようになることだと説明しています。

 ただ、世界のクルーズ旅行客を再び呼び込んでいく上で、課題がないわけではありません。

 台湾の港湾の設備は、大型クルーズ客船が停泊する海外の港に比べ、まだ改善の余地があります。大型のクルーズ客船が入港した場合、同時に数千名の旅行客が船を降りることになりますが、台湾を代表する港、北部の基隆港も、南部の高雄港もまだ十分な設備はありません。同時に、台湾において、クルーズ客船によるインバウンド産業をさらに発展させるには、精通したスタッフ育成も求められます。

 新型コロナウイルスの影響で動きが止まっている今こそ、コロナ後の往来再開へ向け、インフラなどハード面のほか、人材などソフト面を強化を図るいいタイミングだといえるかもしれませんね。

 海上から台湾の美しい海岸線や山々などの景色を眺める機会は貴重ですし、各停泊地で、その土地のグルメを楽しんだり、景勝地を訪問するクルーズの旅、ゆったりしていて楽しそうですね。日本の皆様に参加していただける日が一日も早く訪れることを祈りたいと思います。

(編集:駒田英/王淑卿)

 

Program Host

関連のメッセージ