皆さんは、「世界天才会議」という名前を聞いたことがありますか?
世界中の天才、ベンチャー企業、中小企業、大企業などが集まり、新しい技術や製品、ビジネスモデルなどを展示・発表する国際的なイベントです。
1986年にドクター中松氏が会長を務め、ニューヨークで第1回目が開催され、毎年開催されています。
そして今年、36回目となる「世界天才会議」が行われ、5月15日に結果が発表されました。
今年(2022年)は新型コロナの影響で、台湾チームはオンラインでの参加となりましたが、今回も、アメリカ、カナダ、サウジアラビア、韓国、中国、タイなど12か国から170点以上の作品が参加しました。
台湾からは66点の作品が参加。金21個、銀25個、銅3個を獲得し、総合で第1位に輝きました!
そして今回、国立台湾大学や、国立雲林科技大学、高雄市にある樹徳科技大学のチームが、それぞれに独創的な作品で数々の金賞を獲得しただけでなく、大里小学校4年生の葉倖綺さんが今大会最年少で金を獲得しました。
実は、彼女のおじいさん、葉清秀さんも、30年前にドイツで開催されている「紐倫堡國際發明展(ニュルンベルク国際発明展/IENA)」で銀賞を受賞したことがあるんだそうです。
葉倖綺さんはどのようなものを発明したのかというと、彼女にはちょうど歩き始めたばかりの弟がいるそうで、まだよちよち歩きで倒れたり、家具の角にぶつかって、よくあざを作っているのを見て、弟を守るために、「柔らかい帽子」を作ることを思いついたそうです。
そして、おじいさんに色々と相談し、おじいさんの指導の下、「軟性帽體結構(ソフトキャップ構造)」を発明しました。
見た目はその名の通り“キャップ”で、素材にポリウレタン(PU)やEVAと呼ばれる合成樹脂といった柔らかいものを使用し、弟のために、手縫いで作ったキャップです。
製作の途中で、縫い間違えて全部やり直したこともあったそうですが、あきらめずに完成させ、出来上がった作品を学校のコンクールに出しました。
それがまさか、後に国際的なコンクールで金賞を獲得するなんて!ととても喜んでいました。
このキャップは、軽量なだけでなく、外側に子供が自身で絵を描くこともできますし、靴ひもを結ぶような、穴を通して縫うデザインは、手の筋肉の柔軟性を鍛えることもでき、安全性と、教育機能を兼ね備えています。
ただ、葉倖綺さんは、現在のこの“キャップ”はまだ完ぺきではないので、今後、また改良していきたいとしています。
おじいさん、葉清秀さんも、手作りはコストがかかりすぎる。既にこの“衝突防止キャップ”をモデル化したので、今後は、大量生産できる工場を探して、製作コストを下げ、一般家庭にも手が届くようにし、子供の成長に寄り添う不可欠な「衝突防止“神器”」にしていきたいと語っています。
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この他にも、台湾大学化学工程学科のチームは、高齢化社会を見据え、開発した「氣相製程創建多功能骨組織修復裝置(気相法による多機能骨組織修復装置)」で金賞を受賞。
樹徳科技大学生活産品設計学科のチームは、「傘具產品租賃裝置及服務系統(傘のレンタル装置およびサービスシステム)」を開発。シェアリングエコノミーの観点から金賞を受賞。
雲林科技大学のチームは、「浮標定位監測方法及浮標定位監測系統(ブイの位置の観測方法および監視システム)」を開発。天気、地域、設備の数などの制限なく、従来のドローンを飛ばしての捜索も不要となります。これは人の救難の際にも素早く探すことができ、救助までの時間を大幅に短縮でき、捜索効率も上がるとして金賞を受賞。さらには、アメリカと台湾で発明特許を取得しています。
また、学生たちだけでなく、大江生醫の「至尊玻尿酸 MAXI HA(至極のヒアルロン酸マキシエイチエー)」や、大愛感恩科技の「零廢再升級環保藝術複合材料(ごみゼロ・再生アート複合材料)」、生展生物科技の「發酵薑黃Syncurcum:調整代謝新主張(発酵ウコンSyncurcum:代謝調整の新たな主張)」、葡萄王生技の「GKF3–具改善精神失調用途之新穎性益生菌(精神疾患改善のための新規プロバイオティクス)」など、企業チームもたくさんの金賞を受賞しました。
数々の発明品が賞を獲得した台湾チーム。
台湾の開発・発明たちが、今、国際舞台で脚光を浴びています。