:::

Rti 台湾国際放送Rti 台湾国際放送台湾ソフトパワー - 2022-03-22_パイワン族出身の女性、阿儒瓦苡‧篙瑪竿(Aluaiy Kaumakan)さん

  • 22 March, 2022
台湾ソフトパワー
オーストラリア・シドニーで開催されている国際的なフェスティバル「ビエンナーレ・オブ・シドニー」に今年、招待を受け台湾から唯一、 台湾原住民族の一つ、パイワン族出身の女性、阿儒瓦苡‧篙瑪竿(Aluaiy Kaumakan)さんが参加した。 (撮影:陳駿綸/ビエンナーレ・オブ・シドニー)

今、オーストラリアのシドニーで、2年に一度の現代アートの国際的なフェスティバル「ビエンナーレ・オブ・シドニー」が開催されていますが、そのフェスティバルに今年、招待を受け台湾から唯一参加している人がいます。

その人物とは、台湾原住民族の一つ、パイワン族出身の女性、阿儒瓦苡‧篙瑪竿(Aluaiy Kaumakan)さん。中国語のお名前は、「武玉玲」と言います。

阿儒瓦苡‧篙瑪竿さんは、今年(2022年)の「ビエンナーレ・オブ・シドニー」に新しい大規模なアートインスタレーション「觸摸:記得我們的關係感(Semasipu – Remembering Our Intimacies」を出展しています。

この「ビエンナーレ・オブ・シドニー」は、1973年に始まったアートフェスティバルで、今回が23回目の開催。今回は、「河流(rīvus/ラテン語で“川”)」をテーマに、「水資源や環境問題」に焦点を当てるだけでなく、先住民族の視点も取り入れ、より多様な対話も取り込んでいます。

今回、招待を受け台湾から唯一参加している阿儒瓦苡‧篙瑪竿さんの作品は、ウールやコットン、シルクに墨などを使い、「八八水害」と呼ばれる水害で被災した集落の女性や長老たちと石摺り(拓本)した布を縫製して作られています。

2009年8月8日に、台湾に台風「モーラコット」が上陸し、中南部と南東部に大きな被害をもたらしました。阿儒瓦苡‧篙瑪竿さんの故郷・屏東県三地門鄉も大きな被害を受け、その被害によって、住み慣れた地に戻ることができなくなってしまった人もたくさんいます。

新たな地に移った後も、多くの人は昔の生活を懐かしみ、それを新しい土地に持ち込もうとしますが、新しい土地で昔の生活を完全に再現することは不可能で、集落の人々は精神的に大きなショックを受けてしまいました。

そのような困難の中で、一人の“創作者”として、集落の女性たちが、新しい土地に親しみを持てるようになるにはどうしたらいいかを考えたそうです。

そこで、阿儒瓦苡‧篙瑪竿さんは、その生活の痕跡の記憶をその手で石摺り(拓本)してもらい、作品の中に取り込もうと試みました。

故郷について想像し考える中で、集落の女性たちをリードして共に作業を行うことで傷ついた心を慰め、それと同時に、集落の女性として今日の世界をどう見ているか、故郷や土地が破壊されたことでどのように力を発揮することができるのかを振り返ったんだそうです。

阿儒瓦苡‧篙瑪竿さんは、集落の生活モデルが多くの人にとって懐かしいのは、原住民族間のとても強い感情的なつながりであって、このような関係感覚を創作活動を通して共有し、その過程で女性の力をクローズアップしたいと考えた。しかし、私一人の力では足りず、集落も私一人ではなくみんなにかかっているとし、自分のしたことがバタフライ効果となって、より多くの力を集結し、集落の文化を次の世代に受け継いでいくことを願っていると語っています。

そんな阿儒瓦苡‧篙瑪竿さんの作品は、今回の「ビエンナーレ・オブ・シドニー」のテーマである「水と環境」に応える作品である事と同時に、長年に渡り、伝統的な織物の技術を現代アート作品の再帰性の創作過程、そして長年集落の女性たちを率いて共に作り上げてきた実践過程を通して、世界に向けて、原住民族の女性のソフトパワーと再帰性を語りかけています。

なお、阿儒瓦苡‧篙瑪竿さんによると、作品のタイトルの「Semasipu」とは、パイワン族の言葉で、年配の女性の心を癒すという意味を指しているんだそうです。

*****

新型コロナの影響で、オーストラリアは今年(2022年)の2月21日に国境を開放していて、阿儒瓦苡‧篙瑪竿さんは、2020年の新型コロナが世界中に広がって以降、展示会のためにオーストラリアに赴いた最初の台湾人アーティストとなりました。

また、この「ビエンナーレ・オブ・シドニー」のオープニングウィークの一環として、3月11日からシドニー・ウォルシュ・ベイの芸術文化特区「Pier 2/3 at Walsh Bay Arts Precinct」で台湾に焦点を当てた「臺灣焦點活動(Taiwan Spotlight Event)」も開催。

このウォルシュ・ベイの芸術文化特区「Pier 2/3 at Walsh Bay Arts Precinct」は、100年の歴史ある倉庫古跡で、シドニーを芸術・文化の世界的な指標として確立するため2年の歳月をかけてリノベーションし、2月にオープンしたばかりの場所。リニューアルオープンして最初に出展したアーティストが阿儒瓦苡‧篙瑪竿さんということになりますし、「ビエンナーレ・オブ・シドニー」のオープニングウィークで台湾に特化したイベントが行われたのは初めてのことです。

イベントでは、オーストラリア現地のアボリジニの女性グループやダンサーを招いて作品の前でパフォーマンスが披露された他、座談会が行われました。

「第23回 ビエンナーレ・オブ・シドニー」は6月13日まで開催。

世界の30を超える国や地域から89人のアーティストが参加し、330の出展作品と、400件のイベントが行われています。

台湾から唯一参加している阿儒瓦苡‧篙瑪竿さん。台湾原住民族の現代アートの取り組みを世界に向けて発信しています。

Program Host

関連のメッセージ