:::

台湾ソフトパワー - 2021-12-21_「コピックアワード」で“次世代アーティスト賞”入選の楊宗頤さん

  • 21 December, 2021

先日、世界中のクリエイターに愛されている日本のマーカー「コピック」を使って制作された作品を募集するコンテスト「コッピアワード2021」の受賞作品が発表されました。このコンテストは今年が4回目とまだ新しい賞ですが、今回はおよそ2か月の期間に世界94か国から5183点もの応募作品が集まるなど、クリエイターたちから注目を集めているコンテストです。

そして、そのコンテストの「次世代アーティスト賞100選」に台湾から15のアーティストの作品が入選しました。

この「次世代アーティスト賞」は、これからの活躍に期待する若い世代の作品に注目した特別賞で、応募時に19歳未満の人が対象となる賞です。

そして、その「次世代アーティスト賞」に入選した台湾アーティストのうちの一人、「楓」さんに今、台湾のメディアも注目しています。

この「楓」という名前は“ペンネーム”で、本名は、楊宗頤さん。台湾南部・台南市にある光華高中多媒體設計科の3年生です。

「楓」こと、楊宗頤さんが応募した作品は、グレーのパーカーのフードをかぶり眼鏡をかけた一人の若い男性が描かれています。この人物は“ゲーム運が極めて高い”という同級生。このモデルとなった同級生は、ゲームの中でいつもみんなの頂点に立ち、彼にかかれば活躍できないキャラクターはなく、みんなから“太空法老(宇宙のファラオ)”と呼ばれているそうです。そんな彼と同じ能力に自分も達したいという思いからその彼を描いたんだそうです。

この絵を応募した時、楊宗頤さんは、まさか入選するなんてことは考えてもいなかったそうで、入選の通知を受け取ったときはとても驚いたそうです。そして、いつも励まし続けてくれ、挑戦の機会を与えてくれた先生に感謝の気持ちを伝えていました。

そんな楊宗頤さん、絵の他にも、中国の伝統楽器の笛(梆笛)が得意だそうで、16歳の時、台南市の音楽パフォーマンスの分野でストリートアーティストの登録証を獲得し、よくイベントのオープニング演奏などにも参加しています。さらには、台南市のパブリックアート・ペイントイベントにも参加しています。

また、高校3年生になってからは、授業の一環として同級生と“バーチャルユーチューバー”、「VTuber」のチャンネルを開設。自身がメインアーティストとして、オリジナルキャラクターを書いて配信を行っていて、このキャラクターを使った活動にも参加しています。

ちなみに、楊宗頤さんが通っている光華高中の多媒體設計科では、文学、デザイン、美術など各コースを組み合わせて、世界の名画を文学に取り入れたり、テキストの内容からミニ劇場として制作したり、創造的な思考、制作、共同学習、芸術的美学の表現力を通じて、読解力と美的教養を養う教育が行われています。

楊宗頤さんは、昨年(2020年)の4月に行われた学習発表展では、李白の「行路難」の中にある「乘風破浪會有時,直掛雲帆濟滄海(いつか風や波に乗れる時が来ると信じて、その時になったら帆を高く掲げて大海原を渡っていく)」という困難を恐れずに前に向かって勇ましく前進すると、いつか成功するということを形容する文と、葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の世界的にも有名な「神奈川沖浪裏」とを呼応させ、様々なハードルにも落ち着いて立ち向かい、自分の精一杯を出して行こう!と同級生を応援する作品を打ち出していて、その時も、メディアで写真付きで紹介されています。

*****

「チャンスはいつも自ら積極的に動く人にある。人にとって最大の障害は往々にして自分自身だ。もし自信がなく選択を躊躇していると、その瞬間のチャンスを逃してしまう」

そのように言いますが、光華高中多媒體設計科の陳燕裕・主任によりますと、楊宗頤さんは高校1年生の時から、いつも自分を表現するチャンスを捉え、いかなる作品も完璧に作り上げてきた。彼は同級生の中でも秀でていて、最も積極的に取り組む学生だそうです。

絵に、音楽に、ゲーム、そしてさらにはその読解力と想像力─。

様々な才能を見せている楊宗頤さん。

今後は、大学で自身の大好きな音楽とコンピューターグラフィックスを融合させ、更に斬新に、深く表現していくことを学びたいとしています。

ひとつのジャンルにとらわれず、幅広い表現をする“アーティスト”としての楊宗頤さんの活躍は、後輩たちへの手本となりますし、彼自身の今後の更なる活躍にも期待が高まります。

Program Host

関連のメッセージ