皆さんは、“ファストファッションブランド”と言えばどのブランドを思い浮かべますか?代表的なブランドとしては、日本のユニクロや、アメリカのGAP、スペインのZARA、スウェーデンのH&Mなどを思い浮かべる人が多いと思います。台湾にもこれら有名ブランドを含め、様々なファストファッションブランドが数多くの店舗を構えていますが、台湾の有名なファストファッションブランド「NET(ネット)」をご存じでしょうか。
アルファベットの大文字で「NET」と書いてあるシンプルな看板のお店です。台湾に来られた際に見かけたことあるという方も多いのではないでしょうか。
1991年に誕生した台湾のブランドです。現在、台湾全土におよそ150の店舗があります。
私もNETは結構お世話になっています。
洋服の傾向としては、色遣いやデザインはそれほど派手ではなく、どちらかというとシンプル。でも、その時々の流行りの要素も入っていますし、全体的に、ゆったり系よりも比較的フィットしたデザインが多くて、サイズバランス的にもアジア人の体系にも合いやすいのかなという印象です。さらには、それでいてプチプラなので、ふらりと立ち寄ってはお買い物しています。
もちろん、台湾の人たちにはとてもお馴染みで、以前、ネットであるユーザーが、“ファストファッションブランド”でどのブランドが一番だと思う?という書き込みをしたところ、「NET」に対する熱い思いを書き込むユーザーも多くいました。
実は台湾の衣料品産業は、1970年代から80年代にかけて景気が過熱し、多くの衣料品が台湾で生産されていました。
ところが、衣料品の量が増えてくるにつれ、海外メーカーの要求に応えられなくなったり、あるいは欠陥品や、輸送の遅れで、海外のメーカーから返品される衣料品が出てきたりして、台湾の製造メーカーは在庫の山を抱えるようになってきました。
そこで、この在庫問題を解決するために、元々は衣料品の在庫販売が中心でしたが、自社製品やデザイン衣料の開発をするように経営方針を変えていきました。
そして、1991年10月に、正式に名前を「NET」へと変更。ピンチをチャンスに変え、それまでの“伝統的で、何の特徴もない”というイメージを見事に払拭しました。
そんな「NET」は、“品質とデザインに優れた製品を手ごろな価格で提供すること”を理念とし、さらに幅広い年齢層のお客様が求めているものを提供することで、家族みんなが自分に合った洋服を見つけることができるようにしたいとしています。
ちなみに、「NET」は早くからテレビ広告に大きく投資していて、広告塔に金城武を起用して認知度を高めました。また、販売店を中小規模のチェーン店へと変えていきました。
今や、上海やシンガポールにも店舗を持ち、年商は50億台湾元(日本円およそ204億円)を突破する企業となった「NET」。
その理念や、品質だけでなく、台湾人の間には「NET」ファンが多いんです。
その理由は、「NET」が行っている取り組みにあります。
実は「NET」は、長年にわたり、台湾の22の児童福祉センターにそれぞれ50万元(およそ204万円)分の「愛心提貨券(愛のクーポン券)」を提供して、サポートが必要な子供たちにそのクーポン券で好きな洋服を買ってもらうという取り組みを行っています。
また、このほかにも、1999年に起こった「921大地震」の際や、日本の「東日本大震災」の際、また、2009年に台湾・中南部を襲った「八八水害」の際などに、被災地へ数万元相当の暖かい衣類を送るなど、慈善活動を行っています。
そのことは度々台湾のネットでも話題になり、先日もそのことがネットで取り上げられると「なんて優しいんだ!」、「いいことをする企業を支持します!」といった書き込みがあふれていました。
製品はもとより、企業に多くのファンがついている「NET」。
世界的ブランドではありませんが、台湾が誇るブランドの一つです。