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Rti 台湾国際放送Rti 台湾国際放送台湾ソフトパワー - 2021-10-19_台湾オペラの保存者、孫榮輝さん

  • 19 October, 2021
台湾ソフトパワー
台北市の大稻埕で臺北市藝文推廣處大稻埕戲院主催、一心戲劇監修による特別展「《孫榮輝─武耀梨園薪火傳》特展」が行われている。(写真:一心戲劇團フェイスブックページよりスクリーンショット)

今、台北市の大稻埕で臺北市藝文推廣處(台北市アートプロモーションオフィス)大稻埕戲院(大稻埕劇場)主催、一心戲劇・監修による特別展、「《孫榮輝─武耀梨園薪火傳》特展」が行われています。

このサブタイトルは、“オペラ武術を後世へ伝える”とでも訳しましょうか。

この特別展の開催前の記者会見では、台湾オペラの歴史ある劇団「明華園」の陳勝福・団長や、「明華園」の看板男役・孫翠鳳、そして台湾の著名な伝統芸術表現者らが出席して盛大に盛り上げました。

そんな、この特別展の主役である孫榮輝さんとは一体、何者なのかというと、台北市文化局が「伝統的な舞台芸術である台湾オペラの保存者」に認定している人物なんです。

孫榮輝さんは、1947年生まれの今年75歳─。

父親は、台湾オペラ、台湾京劇の役者でした。

父親の孫貴さんは、中国大陸の河北省天津吳橋縣出身で、元々は大道芸人だったそうです。その後、台湾に渡ってきて、台湾オペラの仕事を始めました。

母方の祖父は、嘉義の人で、自ら台湾オペラの劇団「登興社」を結成していました。

そんな劇団家系に生まれた孫榮輝さんですが、父・孫貴さんは、劇団の仕事はとても辛いため、子供達には演劇ではなく、しっかりと勉強をして、違う仕事で頑張って欲しいと願っていました。しかし、小さい頃から劇団と共に育ってきた孫榮輝さんは、5歳から演劇の練習を始め、勉強はつまらないと感じ、勉強よりも練習ばかりしていました。そして、辛くても両親と苦労を分かち合いたいと思っていました。

そんな孫榮輝さんは、香港の映画会社で「八國聯軍」や「八道樓子(Seven Man Army)」、「潮州怒漢(潮州のヒーロー)」といった映画の武術俳優、武術監督として作品にも携わってきました。

また、台湾オペラのテレビ番組制作にも携わり、台湾オペラの女優・楊麗花専属の代役として、また、出演者の武術指導として活躍。

それと同時に1989年に一心戲劇團を立ち上げました。

一心戲劇團立ち上げ後は、映像の映画やテレビの撮影の動きや画面の美的概念と京劇や台湾オペラの伝統的な演出方式を融合させ、舞台公演の創作に応用することで、「力強さと美しさ」を兼ね備えた「独自のオペラ武術」を開発し、観客に異なる視覚的体験を提供しています。

そんな孫榮輝さん の姿を近くで見てきた「明華園」の看板男役であり、妹の孫翠鳳さんは、兄・孫榮輝さんのことをとても誇りに思っているそうで、記者会見の祝辞の中で、兄は小さい頃から父について演劇でお金を稼いできた。もし出演がないときは、大道芸人として報酬をもらい家計を支えていた。舞台に立つことへの強い意欲から、しばしばあざだらけになり見ていてとても痛々しかった。練習は辛いものだったので、兄は弟や妹にこの苦しみを味あわせたくないと、彼が唯一、父・孫貴の技術を全て受け継いだと語っています。

そんな練習について、孫榮輝さんに、練習は大変ですか?インタビュアーが尋ねたところ、孫榮輝さんは、ただ逆立ちやスクワットの姿勢だけでもかなりの練習時間を費やしたそうで、その結果「逆立ちは他の人は基本15分くらいだが、私は1時間できるようになった。スクワットをしているとき、父が両足の上に1枚の木の板を置いて、水平状態を保っているかどうか見ていた。だから、水の入った器を置いて、どんなに足が震えても水がこぼれないようにできるようになった」と語っています。

なんでも、この2つの技術は全ての基礎となるものだそうで、孫榮輝さんは「この2つの技術をしっかりと練習すれば、今後、どんな動きをしても最後は美しい姿勢で着地することができる」と語っています。

孫榮輝さんは、自身の台湾オペラ人生を振り返り、「文化の道に進んだことは正解だったと思う。しっかり練習をすれば、師匠たちは絶対に私たちを悪く扱うことはない。学ぼうとする人がいる限り、私はその人に教え、切り捨てたりはしない」と語っています。

また、現在の台湾オペラについて、以前ほど台湾全土に劇団があるという感じではないが、将来性は十分にあるとし、「台湾オペラのとてもダイナミックな生命力と創造力で、衣装、ストーリー、舞台装置、照明などすべてを新しく独創性のあるものを追求していく」と語っています。

2014年には「第21回 世界中華文化芸術遺産賞-ローカル戯曲賞」を、そして2015年には第20回台北市文化賞を獲得している孫榮輝さん。これからも台湾オペラをけん引しつつ新たな道を切り開いていくでしょう。

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