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台湾ソフトパワー - 2021-06-29_応援ソング「手牽手(Hand in Hand)」

  • 29 June, 2021
台湾ソフトパワー
新型コロナの防疫警戒レベルが2番目に厳しい3級となって1か月以上が経過。少し人々の心にも疲れが見え始めてきた台湾で、2003年にSARSが台湾で猛威を振るった際に“共に手を取り合って戦おう”という思いが込められた楽曲「手牽手(Hand in Hand)」が再び脚光を浴び、2021年版をはじめ様々なカバーも登場し、みんなでこの困難を乗り越えよう!と鼓舞している。(写真:台視提供/CNA)

台湾で新型コロナの域内感染が広がり、防疫警戒レベルを上から2番目に高い3級に引き上げてから1か月以上が経ちました。

新型コロナは健康面での脅威だけでなく、心理面に与える影響も大きく、不安に駆られたりもします。

日本でも昨年(2020年)に新型コロナの感染が広がり、都市部のロックダウンや外出自粛が行われた際に、星野源がインスタグラムで発信した「うちで踊ろう」という曲に、ミュージシャンやお笑い芸人といった芸能人や著名人から一般人まで多くの人がコラボレーションして“共に頑張って乗り越えよう!”と盛り上がり少し明るさを取り戻しましたよね。

今、台湾でも同様に“共に頑張ろう”と「手牽手(Hand in Hand)」という曲をよく耳にします。

この曲「手牽手(Hand in Hand)」は、2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が台湾でも猛威を振るった際に、台湾で活動する人気アーティストの王力宏(ワン・ リーホン)と陶喆(デビッド・タオ)が中心となり、“共に手を取り合って戦おう”という思いを込めて作られたチャリティーソングです。

歌唱には、王力宏と陶喆の他、周杰倫(ジェイ・チョウ)、徐若瑄(ビビアン・スー)、蔡依林(ジョリン・ツァイ)、江蕙、周華健(エミール・チョウ)、孫燕姿(ステファニー・スン)など、80人以上の人気歌手が参加しました。

今回、新型コロナの域内感染が急速に広がり、台湾の中で不安が高まる中、2003年にその楽曲「手牽手(Hand in Hand)」の制作に共に携わった人物であり、今年(2021年)の台湾版グラミー賞「第32回金曲奨(ゴールデン・メロディ・アワード)」の顧問でもある音楽プロディーサーの陳鎮川氏が、「この楽曲をリメイクしたい」と楽曲を制作した王力宏と陶喆に連絡を取り伝えたところ、二人も快諾。

今年(2021年)版の「手牽手(Hand in Hand)」として、林俊傑(JJ)、韋禮安(ウィリアム・ウェイ)、S.H.Eの田馥甄(Hebe)、吳青峰(ウー・チンフォン)、萬芳(ワン・ファン)、蘇慧倫(ターシー・スー)など11人の歌手によって歌われ、今月6月5日に発表されました。

⇒「2021 手牽手大合唱 用音樂加油!!

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そして先週、6月24日には、今度は台湾の16の原住民族50人によって歌われた「手牽手(Hand in Hand)」のカバーがYouTubeに公開され、話題となっています。

台湾には現在、政府の認定を受けた原住民族が16あって、それぞれに異なる言語を持っています。

この50人の原住民族の人たちによって歌われる「手牽手(Hand in Hand)」では、卑南族(プユマ族)の歌手・呂建忠(TANK)や、タイヤル族とタロコ族をルーツに持つ歌手・璽恩(シエン・ヴァネッサ)も参加。16の原住民族の人、それぞれが自身の伝統的な民族衣装を身にまとって、自身の民族の言葉で歌っています。

原住民族の村では歌が生活や祭りと密接に関わっていることから、それぞれに独特の節回しや心を揺さぶる歌声を持っていて、台湾の人でも原住民族の言葉はわからない人が多いのですが、ネットでは、「このバージョンは素晴らしい。涙があふれてきた、感動!」、「それぞれの母語はわからないけれど、とてもいい。とても美しく感動した」、「新型コロナが蔓延している今、この曲は新たな気持ちと力をもたらしてくれる!」と、たとえ言葉が理解できなくとも、その歌声から発せられるポジティブなパワーを感じ、多くの人を感動させています。

また、この「手牽手(Hand in Hand)」の作詞作曲者でもある王力宏も自身のフェイスブックページに英語で「大好き!なんて意味のあるカバーなんだ」とのコメントと共にこの映像をシェアしています。

オリジナル版も、2021年版も、共に思いが込められ、優しく寄り添うような素晴らしい歌声ですが、この原住民族の人々が歌うバージョンはまたそれらとは違った、優しさと共にエネルギーにあふれる1曲となっています。

この原住民族の人50人が歌う「手牽手(Hand in Hand)」はYouTubeで聴くことができます。

⇒「2021『手牽手(Hand in Hand)』16族50人大合唱cover by 原住民孩子

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また、この曲「手牽手(Hand in Hand)」は、最近、台湾の警察官がカバーしたバージョンが、台湾の「警察の日」とされる6月15日に合わせてYouTubeで公開されました。

もちろん歌が本業ではないので、プロの人たちとは比較できませんが、歌声と共に映し出される、今、まさに第一線で新型コロナの防疫に尽力してくれている警察官の姿と共に流れるその歌声を聞くと、感謝と、労いを届けたい気持ちでいっぱいになります。

そして映像の最後には、「黑暗過後 總會天亮/願所有前線人員 一切平安(暗闇の後には必ず夜が明ける/前線で働くすべての人々が皆、平安でありますように)」とのメッセージも。こちらのバージョンもぜひ観てみてください。

⇒「手牽手 cover by Taiwan Police

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ここ最近、台湾もようやく少し感染状況に落ち着きが見え始めてきましたが、まだ油断はできないと再度気を引き締めるよう呼びかけられているところです。

度重なる規制の延長に心もちょっと疲れがちになってきていますが、今、この「手牽手(Hand in Hand)」という曲が、台湾の人たちの心の支えの一つとなっています。

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