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台湾ソフトパワー - 2021-04-20_貴重なタイワンヒノキのDNA鑑定が可能に!

  • 20 April, 2021
台湾ソフトパワー
台湾の法務部調査局、林務局、中央研究院の協力により、タイワンヒノキの遺伝子データベースを構築。これまで盗伐されたヒノキを押収してもどこの樹か証明できず有罪にするのが難しかったが、これにより盗伐されたヒノキの識別が可能となることで、訴追の強化と盗伐予防の効果があるとしている。(写真:CNA)

“檜”と言えば、“檜風呂”や高級な木材というイメージを持っている方が多いと思います。日本書紀には「スギとクスノキは舟に、ヒノキは宮殿に、マキは棺に使いなさい」と書かれていて、古くから神社仏閣に欠かせない建材とされてきました。なんでもヒノキは伐採してから200年間は強くなり、その後1000年かけて徐々に弱くなると言われているんだそうで、ヒノキは木材として耐久性や保存性が世界最高レベルとも言われています。

現存する世界最古の建築物と言われる「法隆寺」の柱や、明治神宮の大鳥居もヒノキが使われているほか、2019年に火災が発生し正殿などが全焼してしまった沖縄の首里城にもヒノキが使われていました。

そんなヒノキは、福島県を北限として、日本と台湾でのみ生息する樹木とされています。

しかも明治神宮の大鳥居や、首里城は「タイワンヒノキ」を使ったとされています。

しかし、今、天然のヒノキが枯渇していて、近年は伐採や出荷の制限を行っています。これは台湾も同じで、「タイワンヒノキ」は輸出制限がかかっています。

その一方で、高級なヒノキの需要があることから、台湾でも盗伐グループが現れ問題となっています。

しかもその盗伐グループは、樹齢数百年、数千年という国宝級のタイワンヒノキや、タイワンベニヒノキを切り裂いて、解体したりしているそうです。

しかも、警察の人が言うには、「彼らのひどいところは、必要な部分を取ることしか考えてなく、その樹が生き続けていけるかどうかお構いなしだということ」だそうです。

これまでにも警察は、赤外線監視カメラを使って、盗伐グループの車のナンバーを把握するなどしてきましたが、盗伐グループを捕まえても、その樹がどこの樹であるか証明できないため、有罪にするのが難しいことが多かったそうです。

そこで、科学的根拠がとても重要だとし、台湾の法務部調査局は、2017年から2020年にかけて、タイワンヒノキのDNA鑑定研究およびデータベース構築プロジェクトを実施し、タイワンヒノキの特定の遺伝子マーカーの開発に成功。個体識別技術が完成したことで、盗伐されたヒノキの識別にも応用でき、盗まれた木材の出所を特定することができます。

法務部の蔡清祥・部長は、「調査局、(台湾の山林の管理や自然生態系保護などを主管する)林務局、(台湾の最高学術研究機関である)中央研究院の協力によって、タイワンヒノキの遺伝子データベースが構築できた。これは盗伐グループに打撃を与える効果的なツールだ」とコメントしています。

この研究は、林務局の協力のもと、職員が台湾の険しい山林に入り、ご神木クラスの貴重なヒノキのサンプルを集め、膨大なDNAを鍵とするファイル暗号化システムを徐々に完成させていきました。

これによって、ヒノキに身分証が与えられたかのようになり、貴重な木材を押収した際に、遺伝子データベースと比較するだけで、すぐにどこから取ってきた樹なのかがわかるようになり、司法に科学的根拠を提供することで訴追の強化と、犯罪予防の効果があるとしています。

調査局は、人類のDNA鑑定システムはすでに素晴らしいものがあるが、ヒノキのDNA遺伝システムは未知だ。人類と比較しさらに複雑かつ膨大なゲノムを持っている。限られた人員、資金、時間の中で、研究チームはまず「色素体DNA」をターゲットとし、ヒノキの種から品種レベルまで識別できる鑑定システムを開発したと説明。

色素体はマルチコピーする特性があり、DNAは樹が枯れ何年も経過した後の木材の中にも残っている可能性があるため、枯れ木や流木の鑑定にも応用できるほか、盗伐された種類の初期のスクリーニングに使用することで、ヒノキ以外のものを除外し、その後の鑑別の手順を省略することができるとしています。

研究チームは、色素体遺伝子マーカーでは効果的に個体識別が識別できない部分を補うため、継続的な実験測定を行った後、最終的にタイワンヒノキとタイワンベニヒノキの染色体遺伝子マーカー各20組をスクリーニングし、鑑別達成率は裁判所の鑑定報告の要求を満たすところまで達したそうです。

ちなみに、檜のDNAは葉っぱから抽出するのが最もいいそうですが、「高すぎて摘めない」そうで、ただ、樹の枝からも採取は可能であり、今後のデータベースのサンプルは“多いほど良い”と、どんどん集めていくとしています。

自然の中にあるものを24時間ずっと管理することは非常に難しいことですが、この技術によって、盗伐グループの犯罪の抑え込みにつながり、貴重なタイワンヒノキを守ることができるようになりますね。

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