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台湾ソフトパワー - 2021-01-26_高雄市六龜の野生のチャノキから生まれたお茶が今、注目!

  • 26 January, 2021
台湾ソフトパワー
台湾南部・高雄の山エリア「六亀」は台湾最大の在来種のチャノキが生えているエリア。その「六亀」のお茶が今、注目を集めている。“食品界のミシュラン”とも言われるベルギーの「International Taste Institute」でも三ツ星を獲得した。(写真:CNA)

台湾と言えばお茶も有名ですよね。今、その台湾のお茶の中でも南部・高雄市の六龜のお茶が注目を集めています。

高雄の青年農家、劉士輔さんが、六龜に百年以上生えているチャノキを使って作り出したお茶4種類が先日、フランスのAVPA(Agency for the Valorization of Agricultural Products)が主催するお茶の国際コンテスト「Teas of the World」で、銀賞2つ、銅賞1つ、特別賞1つを獲得しました。

“高雄と言えば港町”というイメージですが、高雄市は細長く、その北東部は“港町”のイメージとはまた違い、高い山々が連なっています。

六龜はその山エリアにあって、実は台湾最大の在来種のチャノキが生えているエリアです。数百年の歳月をかけて高木が自然に成長。完全に無肥料、無農薬で、チャノキの高さは建物の2階から4階ほどの高さにまで達します。

それほどの高さになりますので、一般に“茶摘み”というと、腰をかがめて葉を摘むイメージかと思いますが、ここでは茶農家の人たちが木に登って茶葉を摘みます。

20年ほど前までは六龜は、ミルクのような香りが特徴の金萱茶や包種烏龍茶を中心に生産しているお茶の故郷で、ほんの2キロの通りに10~20軒のお茶工場がありました。

しかし、2009年に台風8号「台風モーラコット」がもたらした「八八風災」により、台湾中南部や南東部は大きな被害を受けました。そしてこの六龜も大きな被害を受け、街はすっかり元気をなくしてしまいました。

青年農家の劉士輔さんは、その「八八風災」のあと、故郷に戻って家業の立て直しに取り組み始めました。

劉士輔さんによると、その時の六龜の産業が受けたダメージは相当深く、再建のために疲労困憊になりながらも走り回る父親を見るのが耐えられず、仕事を辞めて家業のお茶づくりと販売を手伝うことにしたんだそうです。

台湾のサイエンスパークのエンジニア出身の劉士輔さんは、そのエンジニアの研究魂を発揮し、六龜のチャノキから開発した「野蜜紅茶(ワイルドハニー紅茶)」と、「青茶」は3年連続で国際大会で賞を獲得しています。

さらに劉士輔さんは、最近、「国有林南鳳山野生茶」や、「紫芽山茶」を開発、そしてこれまでのものからさらに進化した「野蜜紅茶(ワイルドハニー紅茶)」、「青茶」の合計4種類のお茶を開発し、フランスのAVPAの「第3回 国際お茶コンテスト」に参加したところ、銀賞2つ、銅賞1つ、特別賞1つを獲得しました。中でも、「国有林南鳳山野生茶」は、六龜の国有林に生えている野生のお茶から作られたもので、台湾で初めて国有林に生える野生のお茶が国際コンテストで賞を獲得しました!

特に注目なのは、この「国有林南鳳山野生茶」は標高1500メートル以上の場所に生えている樹齢100年以上の高木からとれたお茶であること。チャノキの成分は様々で把握が難しいそうですが、お茶づくりの経験が豊富でベテランお茶師である劉士輔さんのお父さん、劉文華さんと親子で手を組み、焙煎や温度、発酵過程などを調整し、様々な風味のお茶を作り出しました。

一般的に「山茶」は苦みや渋みがあると思われていてあまり好まれませんが、だからと言ってそれを全てなくしてしまうと特徴な無くなります。そこで研究を重ね、ほんのりとした苦みの後に甘さが広がるお茶を生み出しました。

その味わいは、純粋で苦みがなく、花のような香りが漂い、蜜のような甘みが口の中に広がります。自然な甘みを感じられるなど、幾重にもわたる風味が堪能できます。しかもこの苦みや甘みはチャノキから出た貴重な栄養素でもあります。

劉士輔さんによると、この「国有林南鳳山野生茶」を作り出すために、200斤(120kg)もの野生茶を実験に使ったそうで、これは市場価格1斤(600g)で1万台湾元(日本円およそ3万7000円)だとすると、200万元(およそ740万円)以上も費やして、ようやくこの最高級の六龜茶が完成したんだそうです。

そして国際的なコンテストで賞を獲得するまでの素晴らしいお茶を作り出した劉士輔さんですが、本人はとても控えめに「これは研究を続けてきた成果だ。実は父の倉庫には理想的ではないお茶が山のようにある」と語り、「受賞は、地方産業のために努力を続けて、高雄の六龜チャノキの名前を国際的に有名にし、世界のお茶業界で地位を確立するためだ」としています。

また、仕事を辞めて家業を手伝っていることについては、「以前は故郷に戻って家業を継ぐなんて考えたこともなかった」そうですが、多くの人の運命を変えた「八八風災」が劉士輔さんの運命も大きく変えました。劉士輔さんは、「もし、あのような大きな変化がなければ、まだ科学園区でエンジニアをしていただろう。人生はたくさんの素敵な驚きがあり、その結果また違った風景を見ることができる」と語っています。

この高雄市六龜のお茶は、最近発表された“食品界のミシュラン”とも言われる、ベルギーのInternational Taste Institute(国際味覚審査機構)でも三ツ星を獲得するなど、各方面から高い評価を受けています。

また、劉士輔さんと同じく「八八風災」がきっかけで六龜に戻り、六龜茶を使ったお菓子を作っている人がいます。その人は、林茂興さん。

中学生の時に故郷を離れ、軍人となった林茂興さんですが、「八八風災」の際に家族と連絡が取れなくなり、家族の大切さを痛感し、故郷へ帰ることを決意しました。そして、故郷でパン作りを始めたとき、六龜にはたくさんの高品質な農産品があることに気づき、それらの食材を使ったご当地ならではの特色あるお菓子を作り始めました。

そして、今、各方面から注目を集めている六龜茶を使ったお菓子「福龜餅」を生み出しました。

一見するとシンプルで小さなお餅ですが、一口食べると、まるでお茶を飲んだ時のように口の中にお茶の香りが広がります。餅と餡もうまく交わり、甘すぎず、コクがあり、食べる手が止まらない…と、多くの人から人気を集めています。

林茂興さんは、タロイモで有名な台湾南部・高雄市甲仙の「芋頭餅(タロイモケーキ)」や、台中の「太陽餅」のように、六龜と言えば「福龜餅」となって欲しいとしています。

今、世界からも注目されている六龜のお茶─。

六龜茶は、その味わいはもちろんですが、カテキンが豊富で、アミノ酸が少なく、ペクチンやアントシアニジンも豊富…と、その栄養素にも注目が集まっています。

今度、台湾のお茶を選ぶときには、六龜のお茶も、そしてそのお茶を使った食べ物も、ぜひ味わってみてください。

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