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台湾ソフトパワー - 2021-01-12_慈済大学も「Taiwan “TCU” Can Help!」、学生たちのソフトパワー

  • 12 January, 2021
台湾ソフトパワー
慈済大学の生徒も参加し開発された「少量の血液検体があればわずか10分で感染者を検出することができるキット」が海外の3つの国に届けられた。(写真:CNA)

いまだ世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症─。現在、世界全体の累計感染者数は9000万人を超え、193万人が亡くなっています。

台湾では水際での対策が功を奏しており、昨年から「Taiwan Can Help(台湾がお手伝いできます)」と銘打って医療用マスクを送るなど国際的な支援を行っています。

そんな中、先ごろ、台湾の仏教系慈善団体である慈済慈善事業基金会が運営する慈済大学(TCU)などが研究開発した「新型コロナウイルス抗体検査試薬キット」が、海外の3つの国に届けられました。

この「新型コロナウイルス抗体検査試薬キット」は、台湾東部・花蓮にある慈済大学と、台北の慈済病院、そして台湾の最高学術機関である中央研究院の協力によって開発されました。

キットは、わずか10分で新型コロナウイルスの感染の有無がわかる上に、さらには感染の初期、中期、後期のどの段階にあるかを知ることができます。

慈済大学によると、「この『新型コロナウイルス抗体検査試薬キット』は、感染者の血液中のIgMとIgGの両方の抗体を正確に検出することが可能だ」としています。

このIgMとはウイルスに感染したときに一番最初に作られる抗体で、検出可能になるのは発症後2週目ごろからとされ、比較的早い段階で消失します。

IgGは、IgMが生成された後に生成され始め、比較的長時間持続するとされています。その期間は数か月から数年と、ウイルスによって異なります。

そのようなことから、このIgMとIgGの両方の抗体を調べることで感染の有無、そしてどの段階にあるのかがわかります。

しかも、「少量の血液検体さえあれば、機械を使わずとも10分で感染者を検出することができる」と説明しています。

このキットは、委託を受けたバイオテクノロジー企業の鼎群科技公司が防疫特別案件として衛生福利部の許可を得て製造し、海外でも輸入許可を取得してから、昨年(2020年)の9月末には3万個のキットをインドネシアに輸出。続いて11月には2万5000個のキットを中南米のホンジュラスへ、そして12月には4万個のキットを中南米のボリビアへと輸出しました。また次は3万5000個のキットをカリブ海に浮かぶドミニカ共和国へと輸出する予定です。なお、そのうちインドネシア以外の、ホンジュラス、ボリビア、ドミニカ共和国のキットは、慈済慈善事業基金会が費用を負担しています。

昨年のクリスマスイブにこのキットが届いたボリビアでは、ボリビア第2の都市・サンタクルスで記者会見を行い、台湾からの愛に感謝を述べ、人口の多いエリアで検査を行い、新型コロナウイルスの蔓延を効果的にコントロールしていきたいとしています。

慈済大学の劉怡均・学長は、「このキットの研究開発には慈済大学の学生も参加しており、承認を得て製造したのち、医療資源や検査能力の乏しい国へ送ることで、国際社会がともに新型コロナの流行を克服する手助けとなることを願っている」と語っています。

新型コロナウイルスの「新型コロナウイルス抗体検査試薬キット」の研究開発にも貢献した慈済大学の学生さんたちですが、そのほかの分野でも、様々な研究を行い、開発を進めているものがあります。

その一つが、「VR 在酒精成癮戒治上的應用(アルコール依存症治療におけるVRの応用)」。

衛生福利部の統計によると、2019年、台湾の15歳から64歳の市民のうち2.15%がアルコール依存症であるとされています。これは人口から換算すると20~30万人に上ります。

そこで、慈済大学の林紋正・教授指導の下、3名の学生が、台湾南東部・台東の馬偕醫院の陳紹基・医師と協力し、“アルコール依存症から抜け出すためのサポートソフトウエア”を開発しました。

これは、アルコール依存症患者に目覚めている、しらふの時に「酔っている状態」をVRを使ってリアルに体験させることで、お酒を飲みたいという欲望から抜け出させようというものです。

研究開発にあたった学生たちは、ソフトとアルコール依存症の行動や心理とをより一致させるために、医師と毎週会議を行ったそうです。そして完成したのち、心療内科の医師と、臨床心理士、そして同級生の3名でテストを行いました。

被験者は飲酒運転の感覚を体験することでアルコールによる影響力を感じていました。

飲酒運転は、多くがお酒による影響力を過小評価しているところや、代行運転を頼むのが面倒だという心理が働いています。しかし、飲酒運転は、自身を傷つけるだけでなく、さらには家庭を崩壊させてしまう可能性もあります。

台湾では昨年(2020年)上半期の飲酒運転による交通事故は2072件起きており、2501人が死傷しています。

このVRによる「飲酒の状態」のリアルな体験をすることで、怖さを知り、その予防にもつながればとしています。

また、このソフトウエアは、飲酒運転の体験のほかにも、人から飲酒を誘われたときにどのようにうまく断るかなどの対話練習もできるほか、ヨガなど簡単なリラックス方法を探し出したりもしてくれるそうですよ。

これら学生たちの研究開発が今後、さらに進化して私たちの生活を助けてくれるようになるかもしれません。

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