Rti 台湾国際放送 
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皆さんは、フランスの「モバイル・ショートフィルム・フェスティバル」という映画祭をご存じでしょうか。「1Mobile, 1Minute, 1Film」というシンプルなルールの下、制作された映画のフェスティバルで2005年に設立されました。
スマートフォンやタブレットを使って、テーマに沿って作られた1分以内の作品のコンテストです。
今年、16回目となるその「モバイル・フィルムフェスティバル」の入賞者リストが先ほど発表され、101ヵ国からの1,130の映画の中から、台湾のタイヤル族の映像作家、謝雅茹（Limuy Asien）さんの作品「不是你的熱帶女孩（Not Your Tropical Girl）」が最優秀女優賞に輝きました！
今年の「フィルムフェスティバル」は、「UN Women（国連女性機関）」、「YouTube」、「女性のための経済・社会フォーラム（Women's Forum for the Economy and Society）」、欧州のメガバンク「BNPパリバ銀行」、フランスの映画行政を管轄する「CNC（国立映画センター）」などの共催で、メインテーマは「Women's Empowerment」。
今年は、作品のエントリー数、そして参加国が過去最高だっただけでなく、うち57%の作品が女性が監督を務めるなど、これまでにない割合だったそうです。
そんな中での最優秀女優賞を受賞した謝雅茹さん。彼女自身、タイヤル族の映画監督として原住民族を研究していて、今回、「最優秀女優賞」に輝いた謝恩昕（Kuyu Tuyaw）さんは、監督の実の従妹なんだそうです。
謝雅茹さんによると、彼女の作品は、原住民族に対して押し付けられてきた「ステレオタイプ」へ抗議するものだとしています。数か月前に行われた台湾の優れたテレビ・ラジオ番組、およびその作品に携わる個人・団体を対象に贈られる「金鐘獎（ゴールデン・ベル・アワード）」の授賞式で、「原住民族ラジオ賞」を発表する際に、審査員が差別的ともとれる発言をしたことや、あるYouTuberが「漢民族化したくない、いかにもな原住民族」を募集するなど、「ちょっとした差別」事件も全て彼女の心に感じるものがあったそうです。
その問題をずっと気にしていたことから、従妹とわずか5分で歌詞を書きあげ、ある日の午後一日で、故郷である新竹の尖石鄉・那羅集落で撮影を終えました。
従妹の謝恩昕さんにとっては、カメラの前で自分の考えをラップ風に言っているだけ。例えば「私の身体、Wow！多元色？」のように。だけど、このまっすぐな“音楽的解釈”が、審査員の満場一致の賛同を得ました。
また、謝雅茹さんがもう一つ抵抗したいと思ったもの、これまでに原住民族が映像の中で人類・民俗学者から「フレーム」に当てはめられていたということに対して、原住民族の女性が声を上げる映像にしたかったとしています。
謝雅茹さんは、「映像の中で謝恩昕がカメラのフレーム内で止まることなく走っている。これは彼女が規定の論述に縛られたくない、自由を渇望して走り回りたいという精神を表していて、ちょうど今年の女性の声を発するという趣旨にピッタリだ」と語っています。
当初は、作品が最終選考の60作品に残ったという通知を受けたときとても驚いたそうですが、まさか賞を獲得するとは思ってもいなかったそうです。
そして、「受賞したことのうれしさだけでなく、さらにうれしいのは、フランスの審査員がこのような尖石鄉那羅集落で起こったことに理解を示してくれ、私の映像の中でともに共感してくれたことだ。このような問題は台湾だけではなく、国境を越えてあるということだ」とも話しています。
なお、今回の第16回「モバイル・ショートフィルム・フェスティバル」の審査団は、12名の映画監督と文化関係者からなっていて、審査委員長を務めたマルチクリエイターである「アニエス・ジャウィ（Agnes Jaoui）」氏は、「ムッシュ・カステラの恋（The taste of others）」や、「みんな誰かの愛しい人（Comme une image）」などの作品を手掛け、様々な国際映画祭で、最優秀脚本賞や最優秀外国語映画賞などに輝いている人物です。
審査は、まず審査員によって出品作品の中から60点のノミネート作品が選ばれ、最終的に国際グランプリ、フランスグランプリなど8つの賞と、観客の投票による観客賞が選出されます。
そんな中から、今回「最優秀女優賞」に選ばれた謝雅茹さんの作品「不是你的熱帶女孩（Not Your Tropical Girl）」。わずか1分ほどのその作品の中に込められたメッセージ性と、それをまっすぐに伝える映像が審査員の心に深く響いたようです。
