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台湾ソフトパワー - 2020-12-15_蔡英文・総統、今年の「世界で最もパワフルな女性100人」に

  • 15 December, 2020
台湾ソフトパワー
先日、発表されたアメリカ経済紙「フォーブス」の今年の「世界で最もパワフルな女性100人」に蔡英文・総統がランクインした。新型コロナウイルス対策で発揮したリーダーシップなどが評価された。(写真:フォーブスFacebookページより)

台湾の女性の活躍…というと、一番に思い浮かぶのが「蔡英文・総統」ではないでしょうか。台湾初の女性総統として2016年に就任後、常に冷静で、論理的な鋭い切り返しとともに政治手腕を振るう一方、ボブカットとメガネがトレードマーク、猫が大好きで、ニックネームは「小英(英ちゃん)」と、なんだか親しみやすい面もあります。

そんな蔡英文・総統が、先日、発表されたアメリカの経済紙「フォーブス」の今年の「世界で最もパワフルな女性100人」にランクインしました。

毎年恒例となっているフォーブスの「世界で最もパワフルな女性100人」ランキングは今年で17回目。今回は、30か国から4世代にわたる年齢層の女性たち100人が選出されました。その中には、国の首脳が10人、CEOが38人、そしてエンターテイナーが5人含まれていて、蔡英文・総統は37位にランクインしました。

フォーブスの紹介文の中で、蔡英文・総統は「1月には台湾では集団感染を防ぐための厳格な追跡プログラムを策定するなど、新型コロナウイルス対策で発揮したリーダーシップは、世界のモデルとなった」と評しています。また、「防疫対策の効果だけでなく、バイオテクノロジー、国防、グリーンエネルギー方面の振興策で経済を活性化し、台湾は世界になくてはならない存在であることを知らしめた」と紹介しました。

蔡英文・総統は、新型コロナウイルスがまだ世界的に広がり始める前、2019年末に中国の武漢で不明の肺炎が広がっているという情報を得てからすぐに警戒を始め、2020年の1月には中国大陸との人や物資の往来をストップさせるなど、素早い対応をしてきました。また、世界的に新型コロナウイルスの流行が広がり始めると、感染症予防法に基づき、新型コロナウイルス感染症対策本部「中央感染状況指揮センター」を設置し、検疫基準や出入国管理、マスクの輸出制限など、各種防疫対策の調整・指示を行うとともに、毎日記者会見を開いて世界の感染状況や台湾の状況を説明するようにするなど、的確で素早い指示を行ってきました。

そのおかげで、現在、台湾では、いまだ海外からの輸入感染例はあるものの、4月より国内感染確認者「ゼロ」が続いています。

今年、この「フォーブス」の「世界で最もパワフルな女性100人」ランキング入りした世界のリーダーたちは、新型コロナウイルスのパンデミックが起きる最中で、社会や各業界を改革してきた人たちで、蔡英文・総統もその素早い指示や対応も評価されてのランクインとなりました。

なお、首位は10年連続でドイツのアンゲラ・メルケル首相が輝き、2位は欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁、3位には女性初で黒人初、そしてインド系初のアメリカ副大統領となるカマラ・ハリス氏が初登場ランクインを果たしました。

また、100人の女性のうち、23人が政治および政策領域の人物で、蔡英文・総統はその23人中8番目でした。

日本からは唯一、東京都の小池百合子・知事が63位に入りました。

なお、蔡英文・総統は、9月にも、アメリカのニュース雑誌・タイム誌が選ぶ今年の「世界で最も影響力のある100人」にも選出されています。

推薦文はアメリカのテッド・クルーズ上院議員が寄せたそうで、推薦文には、台湾の防疫対策の経験は、「新型コロナウイルスを抑え込むことができ、中国の極端な政策を真似る必要がないことを証明している」とし、「中国が台湾の国交樹立国に対し、台湾との関係を断つよう誘惑しても、蔡・総統は世界向かって、中国共産党に屈しないという精神を表明している」と、蔡・総統の強さをたたえています。

それを受け蔡英文・総統は自身のfacebookページで、「これは私個人にとって光栄であるだけでなく、国家にとっても栄誉なことだ。なぜなら私たちは一致団結した努力によって新型コロナウイルスを封じ込め、地域の安定を守った。国際社会に対して『Taiwan Can Help(台湾がお手伝いできます)』のスローガンが現実であることを証明し、世界に台湾の存在感を見せることができたからだ。これはすべての台湾人が協力してなし得た成果だ」と書きこんでいました。

また、このほかにも、蔡英文・総統は今年、イギリスの「フィナンシャル・タイムズ」誌が読者の推薦に基づき選出する「世界で最も影響力のある女性12人」にも、「伝統的なルールを打ち破った」女性として数百人の候補者の中から選ばれたわずか12名のうちの一人として選出されました。

蔡・総統を推薦した読者は、「新型コロナが広がり始めた初期段階で中国人の入国を制限したのは素晴らしい決定だった。それで台湾は最強のエコノミーの一つになった。国内総生産GDPが下がらなかった」と評価しているほか、中国の圧力に抵抗しつつも、中国と衝突せず、緊張がさらに高まるのを避けている政治手腕や、同性婚の合法化に踏み切った点を高く評価していました。

そして、アメリカの金融情報サービス会社「ブルームバーグ」が選ぶ、「今年の50人」でも、新型コロナウイルスへの対応が高く評価され選出されたほか、アメリカの各州の州議会議員で作る組織「アメリカ立法交流協議会」が蔡英文・総統に「リーダーシップでの国際的な先駆者賞」を与えました。この「リーダーシップでの国際的な先駆者賞」は、イギリスのサッチャー・元首相に続く2人目の受賞となります。

今年(2020年)、新型コロナウイルスの抑え込みに成功したことで、その的確で素早い対策を講じた蔡英文・総統の名が、より広く世界に知れ渡りました。そして、その蔡・総統の名前とともに、台湾の名前もこれまで以上に世界に広まっていくことを期待しています。

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