近年、企業における環境保護活動や社会貢献活動が注目される中、最近よく耳にするようになった「サステナブル」、「サステナビリティ」という言葉がありますよね。でもよく耳にするものの、この「サステナブル」とは一体どういう意味なんだろう?どんなことをするんだろう?と、いう人も多いと思います。調べてみると、「サステナブル」とは、直訳すると「持続可能な」という意味。今、世界の人たちが共通の目的として取り組み始めているのが「サステナブル」な社会の実現です。
…では、「サステナブル」な社会=「持続可能な社会」とはどんな社会なのかというと、「地球環境を壊さず、資源も使いすぎず、未来の世代も美しい地球で平和に豊かに、ずっと生活をし続けていける社会のこと」だそうです。テーマが大きく、自然や社会に対してとても広く当てはまる考え方ですが、その中でもテーマとして取り上げられることが特に多いのが「環境」、「社会」、「経済」の3つです。
そのうちの一つ「環境」をテーマにした、台湾初の「サステナビリティ」がコンセプトの“カクテルバー” 「Replay Taipei」が先月(11/27)、台北市の東区エリアにオープンしました。
カクテルバーで「サステナビリティ」がコンセプトとはどういうことなのかというと、近年、地球温暖化や環境汚染が地球と人類の生活に与える影響が大きくなっていることと、持続可能な環境保護の概念が重視されてきていることから、飲食業界でも取り組んでいこうと、異なる背景を持つ3人のオーナーが立ち上げたお店で、店内の内装から、水の運用、料理やカクテルのメニューまで、全てにおいて環境保護を最優先的に考えているそうです。
そんな、台湾初の「サステナビリティ」がコンセプトのバーを立ち上げたのは、バーテンダーのSamさん、台湾の人気カクテルバー「Fourplay」の共同経営者でもあるAllenさん、そしてワールドベストバーTop 50に常にランクインするロンドンの名門店“Night Jar”のトップバーテンダー・Lucaさんの3人。実はSamさんは元々海洋環境エンジニアで、2年前にAllenさんとLucaさんに、このお店「Replay」のコンセプトについて話し、そこから、いかにしてサステナブルで環境にやさしい取り組みをバー産業に取り込むことができるのかを検討したそうです。
具体的には、再利用可能な移動式のバーカウンターを設計し、将来の廃棄物を減らすことができるようにしたほか、自家製の地球にさやしいレモン洗剤を開発し、それを利用していたり、店の外には2.4リットルの雨水が貯められる球状の雨水収集器を設置していて、そこに溜まった水を床掃除やトイレ掃除に再利用。また入り口に設置している吸い殻入れは2択のアンケートスタイルにしていて、楽しみながらポイ捨てを防止するようにしています。今は「あなたはどっちのマティーニが好き?」というアンケートになっていて「シェイク」と「ステア」好きな方に吸殻を“投票”するようになっています。さらには、店内のごみは、プラスチック、色付きガラス、無色のガラス、金属製品、紙類、紙容器、衣類、木製品、回収不可能な一般ごみ…など、18分別するなど、様々な工夫が施されています。
また、メニューにおいても、作る過程で可能な限り廃棄物を減らすメニューを開発しました。自然の負担を減らしてロスを可能な限りなくすことをメインテーマとして、台湾で伝統的な大豆の保存方法である“豆鼓”を使った「蔭鼓鮮蚵豆腐(牡蠣の豆鼓のせ豆腐)」、カボチャを皮付きのまま丸ごと使用した「金瓜炒米粉(カボチャビーフン)」、毎日新鮮な白身魚を使い、取った骨も焼いて魚の料理にまぶした「銀魚捲青醬(太刀魚のバジルソース焼き)」など、食材の無駄をゼロにしたメニューを開発しました。
カクテルもそれぞれ開発。
Allenさんは、世界各国にいる原住民の生活スタイルこそが環境と共存していると考え、台湾原住民族が普段から食用として親しんでいるビンロウからインスピレーションを受けた「大地獻禮(大地からの贈り物)」というカクテルを。Lucaさんは、自然と共存する台湾原住民族のライフスタイルからヒントを得たカクテルを。そして、Samさんは、フィンランドのメーデーに欠かせない飲み物で、蜂蜜を発酵させて作った「Sima」を使ったカクテルを開発しています。
カクテルバーで「サステナビリティ」がコンセプトと聞いて、最初はどういうバーなのか全く想像がつきませんでしたが、この台湾初の「サステナビリティ」がコンセプトのカクテルバー「Replay Taipei」のオープンによって、「サステナビリティ」は様々な面からアプローチできるということを広く伝えるきっかけに、そして環境についても考えるきっかけにもなっているようです。