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台湾ソフトパワー - 2020-11-03_衛生福利部立台北醫院呼吸治療師の張莞爾さん

  • 03 November, 2020
台湾ソフトパワー
今年の2月、新型コロナによって台湾に帰れなくなっていた血友病患者の少年の迎えに付き添った任務によって医療功労賞を受賞した台北医院呼吸治療師の張莞爾さん。これまで培った経験と知識によってしっかりとした態度で新型コロナウイルスに向き合うことができたと語った。(写真:CNA)

今年、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るう中、様々な場所で、様々な人たちの活躍があります。今週はそんな新型コロナの中、自身の経験や知識とともに母親の気持ちで特別な任務を行った衛生福利部立台北醫院の呼吸治療師、張莞爾さんについてご紹介しましょう。

新型コロナがちょうど広がり始めた今年(2020年)の2月、事実上封鎖された中国・湖北省を訪れたまま台湾に戻ることができなくなってしまった血友病の少年の命を救うために、台湾から千キロを超える道のりを経て薬を届けたというニュースを覚えていますでしょうか。

血友病患者の少年が、母親とともに中国湖北省の親族に会いに行っていたところ、新型コロナウイルスの感染が拡大したことによって武漢の封鎖に合い、さらには湖北省に残っている台湾の人たちを退避させるために運航されたチャーター便にも乗れず、手元にある薬もあと少しで使い終わってしまいそうな状況に陥ってしまいました。少年は去年の12月から毎週特別な注射薬を打つ治療法を始めていて、これをもし中断してしまうと関節や全身から出血する危険性がありました。しかし、この注射薬は台湾の新薬で、中国では手に入らないものだったのです。

そのことを知った台湾の対中国大陸窓口機関、海峡交流基金会や高雄医学大学病院が少年の命を救うための薬を届けることに。次々と飛行機も往来が停止となる中、最後の1便に薬を乗せることができ、中国へ。しかしその時、中国では各省で車両の行き交いができなくなっていたため、湖北省と河南省にいる台湾の企業関係者が協力し、台湾からおよそ1,780キロ離れた少年のもとへ無事に薬が届けられました。このことは台湾で大きなニュースとなりました。

そして、少年はその後、チャーター機で台湾に戻ることができたのですが、その時にも活躍した女性がいました。その女性とは、衛生福利部立台北醫院呼吸治療師の張莞爾さん。

新型コロナが広がり始めのころ、当初チームリーダーが中国に残留している人たちを退避させるためのチャーター便で中国へ向かう希望者を聞いてきたとき、張さんは、これまで30年間、看護師を務めたこともあり、呼吸治療師でもあるから手伝えることがあるのではと、いろいろと考えることなく自ら志願して行きました。

張さんによると、その日は午後1時出発で、深夜0時に台湾に戻ってくるというスケジュール。実は翌日は自身のお子さんの始業式だったのですが、SARSの時、医療関係者の子供たちが差別を受けたことを繰り返してしまうのではないかと心配し、この時は「残業で遅くなる」とだけ告げ、任務後、子供の面倒を見てくれた母親に伝えたんだそうです。

また、当時はまだみんな新型コロナのことをよくわかっていなかったので、自身の仕事によって子供が近所や学校から排除されることがないよう、チャーター機で迎えに行った際には全身防護服で呼吸ができないほどにきつく縛っていて、飛行機の中は冷房が強めにかかっていたにもかかわらず、汗だくだったそうですが、自身のため、そして家族を守るために耐えたんだそうです。機内では常に血友病患者の少年と母親に付き添い、サポートをしました。

ちなみに、その時、台湾と中国、両岸の政治的な緊張感やプレッシャーは感じたかとの質問に張さんは、あまり深く考えず、ただ単純に一人の母親として早く子供を迎えに行きたいと思っていたと答えていました。

そんなベテランの張さんでも、実はこの時、怖くなかったわけではなかったそうです。張さんは20年前にSARSにも直面し、とても怖かった経験があります。ただそこから経験と知識を積み重ねたことで今回、しっかりとした態度で新型コロナウイルスに向き合うことができたんだそうです。

張さんは、この血友病患者の少年と母親の帰国に伴った任務が評価され、先日(11/1)、新北市で行われた「新北市第9回医療公益奨および第8回看護優秀賞合同表彰式」で、25名の医師や医療従事者、および45名の看護師のうちの一人として、新北市の侯友宜・市長から表彰を受けました。

新型コロナウイルスは様々な場所で大きな影響をもたらし、これまでの普通にできていたことができなくなるなど生活が変わったりもしましたが、それでも今、ほぼ普通と変わらない生活ができているのは、張さんをはじめ、こういった多くの人たちの努力や活躍のおかげなんですね。

新北市の侯友宜・市長は、メディアのインタビューで、今年は新型コロナが非常に猛威を振るっているが、台湾が安全でいられるのも医療スタッフが貢献し、最善を尽くしてくれているからだ。なので、新北市は医療公益奨そして看護優秀賞を通して新北市民の健康の確保に全力で当たるこれらの関係者に感謝したいと語りました。

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