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台湾ソフトパワー - 2020-09-29_“台鐵弁当”を人気商品に押し上げた李玉霞さん

  • 29 September, 2020
台湾ソフトパワー
「台鐵便當」を人気商品に押し上げた立役者の李玉霞さん。定年退職後も料理や焼き菓子などの改良研究に熱中。70歳近い李さんだが「自分はまだ若い。まだまだ学んだ多くの美味しいものを友達とシェアしたい」としている。(写真:CNA)

“鉄道の旅”に欠かせないものといえば「駅弁」。日本でも各地の特色ある駅弁が観光客に人気ですが、台湾にも“駅弁”があります。“台湾の鉄道旅”に欠かせない駅弁といえば在来線台湾鉄道(台鐵)で販売されている「台鐵弁当」─。

元々、台湾の駅弁は日本統治時代から販売が始まり、長く親しまれてきたのですが、今から10年ほど前に「台鐵弁当」が再びスポットを浴びるようになりました。その立役者が李玉霞さん。

今からおよそ10年前、台湾で台湾鉄道の「排骨便當(ポークリブ弁当)」が空前の人気となりました。この台鐵弁当を作るSOPを手がけたのがこの李玉霞さんです。

台湾鉄道で働いていた李玉霞さんは若い頃から料理が好きで、中華料理の乙級調理師ライセンスを取っていました。でも最初から台湾鉄道で調理師として働いていたわけではなく、最初はチケット販売窓口や総務を担当していたそうです。後に新北市の西側・樹林の操車場に転勤しました。ある年、部署で旧暦7月の無縁仏を祭る儀式「普渡」を行いたいものの経費が足りないということから、李玉霞さんが自分で料理を作ることにしたのです。すると上司が、台湾鉄道にこんな料理のうまい人がいたなんて!しかも限られた予算でこれほどに豊富な料理を作るなんて!とびっくり。

その後、台湾鉄道の配膳所からスカウトされ、駅弁の担当マネージャーを8年務めました。その間、米の品種をはじめ、肉を何回たたくのかや、野菜の種類の選択などにこだわり、「台鐵弁当」のSOP(=標準作業手順書)を確立。精度や正確性の重要さを自らお手本を示していった李玉霞さん。台鐵で44年間勤めた後、7年前に定年退職しました。

しかし、彼女の調理師人生はまだまだこれで終わりではありません。現在は、息子さんに油飯(台湾風おこわ)作りの技術指導をしているほか、毎年食品を一種類こなすよう自分で目標を立てました。そして自分の創意工夫でその食品をよりよくなるよう改良しているということです。

その目標を達成するため、李玉霞さんは、退職金のほとんどを授業や調理の食材や設備購入に使っていて、自宅のキッチンは実験室のようです。なんでも、最適な焼き時間を調べるために色々と試しているうちに大きなオーブンを壊してしまい買いなおしたそうですが、そんなこともまったく気になりません。

彼女の喜びは、親戚や友人が彼女が作った料理を食べ終わった後、また食べたい!という表情をしたら「やった!」と嬉しくなるんだそうです。

本当に根っから料理が好きなんですね。

そんな李玉霞さん、最初に試した焼き菓子はマカロンで、小麦粉を使わず、すべてアーモンド粉を使い、とてもヘルシーなマカロンを作りました。

この2年は牛軋糖(ヌガー)を試作中。品質を上げるため、白砂糖に替えてトレハロースを使い、ピーナッツの替わりにマカダミアナッツをいれ、輸入したドライイチゴでトッピング。温度計を使って最もいい硬さを測っています。このこだわりようには李玉霞さんの友人たちもみな、こんな高級ヌガーそこらへんでは買えないよねと話しているそうです。

台湾はもうすぐ中秋の名月を愛でる「中秋節」─。「中秋節」には月餅を贈りあい食べるのが慣わしですが、李玉霞さんは今年、その“月餅”の中でも有名で、だけど多くの人がちょっと敬遠してしまうという、中身がお肉の香港式の月餅、「五仁月餅」の改良に全力を注いでいるそうです。

中華料理の作り方を利用して、肉の量を減らし、肉を氷砂糖に漬け込む方法ではなく、肉を蒸して、ハムは高粱酒で臭みを消し、手で細く裂いてから月餅に入れるというこだわりよう。また、中に入れるゴマやオリーブはカシューナッツとキャンドルナッツに変えました。完成した“月餅”は普段「五仁月餅」を食べないという友達に味見してもらったところ大絶賛だったそうです。

70歳近い李玉霞さんは、「学びは一生、自分が楽しく学べることがリタイヤ後の最も有意義なことだ」とし、台湾のことわざ、「人生は70歳から始まる」を取り上げ、自分はまだ若い。まだまだ学んだ多くの美味しいものを友達とシェアしたいとしています。

一般に売り出していないのが私たちにとっては残念なのですが、李玉霞さんの美味しいものへの情熱はまだまだ冷めるところを知りません。

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