台湾ソフトパワー - 2020-09-15_苗栗からドイツの手作りケーキを広めているサリーさん

  • 15 September, 2020
  • 上野 重樹
2年前に苗栗に嫁いだサリーさん。今は苗栗から台湾の人たちへ低糖質で美味しいドイツのケーキを広めている。(写真:CNA)

 今、新型コロナの影響で外国人観光客は来られないのですが、台湾の街では多くの外国人を目にします。そう、私も含め、台湾にも多くの外国人が“住んで”います。仕事で、留学で、結婚で、親の仕事の都合で、何かを求めて…などなど、その理由も様々。そしてその多くの外国人が台北や、都市部に住んでいます。

ところが、そんな都市部ではなく、都市から離れた、台湾北西部・苗栗に、たくさんの人から愛され、活躍をしている外国人女性がいます。今週は、その女性、ドイツ人のサリー(Sally)さんについてご紹介します。

サリーさんはドイツ第5の都市、フランクフルトから苗栗に嫁いで来ました。実は苗栗に来る数年前に、中国語を勉強するために台湾に住んでいたことがあります。なんでも、ドイツにやってくる中華系の人がどんどん増えていることから、「中国語を勉強すれば将来の仕事に役に立つ」と思ったんだそうです。

そしてその台湾に留学中に、サリーさんがネットでメイクアップモデルを募集したところ、応募してきたのが当時、新竹の科学園区で働いていた現在の旦那さんである、謝鈺和さん。それが二人の最初の出会いでした。

ただ、そのときはまだお付き合いにまでは発展せず、2017年にサリーさんはドイツに帰ってしまうのですが、ちょうどそのとき謝鈺和さんが仕事を辞め、ドイツのミュンヘンにドイツ語の勉強に向かったのです。

この海を越えての再会で二人の恋に火がつきました!住んでいる都市は違ったものの、ネットを通して交流を深め、交際をスタート。数ヶ月後には結婚を決意。そしてサリーさんは、謝鈺和さんが故郷・苗栗に帰るときに一緒に苗栗に行くことにしたというわけです。

ここまでだと、普通の国際結婚をして台湾にやってきた外国人のお嫁さんのエピソードですが、なぜサリーさんが注目を集めているかというと、苗栗で創業し、故郷・ドイツの手作りケーキを広めているから。

サリーさんは、小さい頃から、お母さんやおばあちゃんと一緒によくケーキを作っていたそうで、台湾に戻って来てから、謝鈺和さんがサリーさんを連れて台北や台中など、あちこちのスイーツを食べまわっていたそうです。でも本格的なドイツのケーキは食べられませんでした。

そこで、“台湾で低糖質で健康的な自然の材料を使うドイツケーキの考えを広めていきたい”と思い、義理の両親の支持のもと、サリーさんは旦那さんと一緒に手作りケーキ作りに取り掛かり、フェイスブックを通して販売を始めました。

すると、新鮮で、味もしっかりしていて、でも甘ったるくないドイツのケーキはたちまち人気となりました。

フェイスブックのSally’s German cakes(薩莉 德國手工蛋糕)のページを覗いてみると、サリーさんのお母さんから受けついだレシピの「German liquid gold lemon cake」や「German cinnamon cake」、ドイツの伝統的なケーキ「Carrot cake」などなど、低糖質で100%天然素材にこだわった、おいしそうなケーキがたくさん並んでいます。

今ではサリーさんの義理の両親も、伝統的な台湾の朝ごはんスタイルから、毎朝、りんご、バナナ、ゆで卵とともに、サリーさんが作ったドイツケーキとコーヒーというメニューが習慣になっているそうです。

サリーさんの義理の母にあたる黃椿梅さんは、息子が外国人のお嫁さんを連れて帰ってきたとき、少し戸惑い、不安だった。でも実際に付き合ってみると、サリーさんはとても明るく、健康的で、仕事面でも生活面でもとても真面目に努力をしていると語り、「ケーキの原料へのこだわりからもそれがわかるでしょ」とコメント。

サリーさんの義理の父にあたる謝鈞拔さんも、サリーさんの器用さに大絶賛で、ドイツの厳格で完璧な姿勢が十分に発揮されているとし、「客家人の、“苦労にも耐え、真面目に努力する精神”ととてもあう」と語りました。

苗栗といえば、台湾で2番目に大きいエスニックグループ・客家の人たちが多く暮らす場所。サリーさんは中国語は勉強したことがあるものの、客家語は話せません。しかも苗栗の客家村では金髪にブルーの瞳の新住民は珍しいのですが、サリーさんは「環境も人もとてもフレンドリー。私も、ドイツのケーキも受け入れてくれた。苗栗の人たちが大好きになった」と語り、「創業の過程は大変だったけれど、故郷の手作りケーキで、台湾の人たちの温かさに答えたい」と話しています。

ドイツの手作りケーキを通して台湾の生活に溶け込んでいるサリーさん。ケーキの美味しさはもちろんのこと、サリーさんのその明るく、真面目な人柄もきっと人気の理由なのでしょうね。

なお台湾に住む外国人の各種手続きなどを管轄する内政部移民署は、結婚で外国から台湾へとやってきた“新住民”と呼ばれる人たちやその子供の夢の計画のサポートや、第二世代養成プランなどを行っているのですが、先日、その内政部移民署の「具体的な行動で新住民に関心を寄せる巡回活動(關懷新住民行動列車)」のメンバーたちもサリーさんの工房を訪れ、伝統的なドイツ式ジンジャークッキー作りの体験を行いました。

訪れた担当者は、「サリーさんの生活や創業は新住民のモデルになる。彼女の生活経験をシェアすることで、他の新住民が台湾の生活に溶け込む助けになるのでは」としています。

サリーさんの活躍を知って、夢に向かって頑張ろう!と思う“新住民”もこれからもっと出てくるかもしれません。

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