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台湾ソフトパワー - 2020-08-25_台湾マスク国家チームが口元透明マスクを開発、来年には量産へ

  • 25 August, 2020

台湾では現在のところ、新型コロナの押さえこみに成功しているものの、ここ最近、また海外から台湾へ戻ってきた人たちの感染が確認されていることや、台湾に滞在した外国人が、帰国前や帰国した後に空港で受けた検査で陽性反応が出た例があったことなどから、再びマスクの着用の強化が行われています。ただ、マスク着用がマストではない場所でも多くの人がマスクを着用していたり、すっかりマスクが日常化しています。元々、台湾はバイク文化と言う事もあって、排気ガス対策としてマスクをする人が多かったので、比較的すんなりとマスク生活が受け入れられているような印象です。

ところが、このマスク着用が広がる事で困っている人たちがいます。それは聴覚に障害を持っている方。聴覚障害の方のコミュニケーションといえば「手話」が思いつくと思いますが、口の動きも意思疎通に必要な情報。ですが、マスクをすると口元が隠れてしまって、口の動きが見えなくなってしまうため、周りの人が何を話しているのかわからず不安になったりしてしまうそうです。

この問題は日本でも話題となり、そんな状況を改善しようと、マスクの口の部分を透明なシートにする「透明マスク」を手作りする動きも起こりましたよね。その動きは台湾でも同様に起こっているんですが、台湾の場合は台湾マスク国家チームが動きました!

紡織品の研究開発などを行う「財団法人紡織産業綜合研究所」、台湾のマスク製造メーカーの「台湾康匠」と「權和機械(NCM)」が研究を重ね、台湾マスク国家チームによって口元が透明のマスクを開発。今年の年末には生産ラインを半自動化し、来年には量産に入る予定です。

始まりは、台北市にある蒲公英聽語協會の謝莉芳・理事長が衛生福利部食品薬物管理署を通じて、マスクメーカーに透明のマスクの需要について訴えたことでした。

謝莉芳・理事長は、イタリアから米ドルで7ドル(日本円およそ740円)もする透明のマスクを買ったりもしたそうですが、現在市場に出ている“透明マスク”は食品サービス業の人たちが使っている透明のマウスカバーマスクで、これは飛沫が飛び散るのを防ぐだけで、ウイルスからの防護効果はありませんでした。そこで、防護効果があり透明なマスクが必要であることを訴えました。

謝莉芳・理事長が「透明のマスクは聴覚障害の人たちが口の形を見て話している内容を把握することからその助けとなる」と聴覚に障害がある子供と友達のために熱心に訴える様子を見て、台湾マスクの管理を担当している、経済部工業局の王麗珠・副組長が自ら協力を名乗り出、また紡織産業綜合研究所もこの件をとても重視し、その後、桃園にある「台湾康匠」の陳勇志・総経理に声をかけました。すると陳・総経理は何も言わずに承諾。そして、新北市鶯歌にある「權和機械(NCM)」も共に参加となったそうです。

紡織産業綜合研究所の黃博雄・ディレクターによると、透明マスクの開発のポイントは、不織布と透明フィルターの接合部分であり、ここからウイルスを侵入させないことが重要だと説明。ただ、透明のマスクの機器が違うものと言うこともあり、研究開発費用に一千万元かかる見込みだそうです。一部は政府の補助申請ができるものの、かなり大きな額が必要となりますが、まだ政府の予算がなく最終的には補助金が出ないかもしれないかもしれないという状態の中でも、まずは作っていこう!話はそれから!と決めた事に多くの人が心を打たれました。

「台湾康匠」の陳勇志・総経理によると、一般の平面マスクは毎分あたりの生産量は100枚ですが、透明マスクは、不織布に透明フィルターを加えるため、機械の設計を新しくしなくてはならないことから、初期はおそらく半分手作業、半分自動製造となりそうだそうです。

なお、7月の中旬には「台湾康匠」がまずは手作りの透明マスクのサンプルを作り、蒲公英聽語協會の子供たちに実際に試してもらい、それを元に改良を行っているそうで、透明マスクをつけたときに快適に呼吸ができるよう、マスクの内外圧の差を現在の医療用マスクの三分の一、通気度は3倍に設計。曇り防止フィルムは光を反射しないものとし、コミュニケーションに影響がない様設計しているそうです。現在のところ透明マスクは5タイプのサンプルを作っていて、量産開始後は価格も1枚あたり10台湾元から8元(日本円およそ36~29円)に押さえたいとしています。

紡織産業綜合研究所の黃博雄・ディレクターは、台湾の高い技術と、志を同じくした熱い人たちが集まっているので研究開発が成功すると信じていると話しています。

製造設備は設計段階ですが、最初にご紹介したように、今年の年末には半自動化に入り、来年には量産体制に入る予定だそうです。

医療用マスクもいち早く管理をはじめ、国外へも寄付を行ってきた台湾。今度は“Made in Taiwanの透明マスク”が世界にも広がっていくかもしれません。

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