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台湾ソフトパワー - 2020-07-14_歯科医の黃菁菁さん

  • 14 July, 2020
台湾ソフトパワー
高度外国人材として帰化が認められたマレーシア出身の女性歯科医・黃菁菁さん(写真:CNA)

 先日、台湾の内政を所管する最高行政機関である内政部が、帰化申請の審査を通過した “高度外国人材”を発表しました。この“高度外国人材”とは、高い専門性を持った外国籍の人材のことを指し、“高度外国人材”の帰化が認められると、台湾人と同様に参政権や各種の社会福利を受けることができるだけでなく、元の国籍を喪失することなく中華民国国籍を取得することができます。

その“高度外国人材”の中から今年、帰化申請の審査を通過したのは8名でした。そのうちの一人、マレーシア出身の女性歯科医師・黃菁菁さんはマレーシア出身の客家人。台湾での生活はもう20年近くなります。最初の2年間は台湾大学で修士課程をとっていました。彼女の主な専門分野は予防歯科、虫歯からの歯の回復治療および、歯の神経などの“歯髄”保存研究です。現在、台湾に103名しかいない歯科回復専門医のうちの一人です。

歯髄保存治療とは、深刻な虫歯や、怪我などによって神経が露出した歯を先進医療材料を通して、歯の神経組織を健康な状態に回復させると共に、歯の再生を促します。神経を抜いたり、抜歯したりするのを避けることで、歯を保ったまま活性化させます。

黃菁菁さんは大学院時代から、歯髄治療が生み出す新たな医療材料と技術についての研究に力を注いできており、2014年に「第92回 国際歯科研究学会(IADR)」で「歯髄生物学と再生部門」の最優秀賞を獲得したほか、2016年には国際的に有名な学術誌「Dental Materials」に関係論文を発表しています。

先日、台北市立動物園で誕生した赤ちゃんパンダのお父さん「團團(トゥアントゥアン)」が、2018年に歯が折れてしまい治療で人工歯冠(クラウン)をかぶせたと言うニュースを覚えていますでしょうか。人間の歯に銀歯をかぶせることは珍しくありませんが、世界で初めてジャイアントパンダに銀歯を入れたとして注目を浴びました。その際、獣医師と歯科医師のチームによって歯髄保存治療と、チタン金属によるクラウンを入れるという「先進的な歯科治療」が行われました。この治療技術はこの黃菁菁さんの専門分野でした。

黃菁菁さんによると、「当時治療チームが運用した技術と材料は私の研究範囲であった。そして自身の研究成果が国際的に認められたこともあり、台湾口腔医学の国際イメージの引き上げに貢献できたと思う」と語りました。

今回の“高度外国人材”として帰化が認められたことについて、黃菁菁さんは、「台湾の教育や生活環境は私によって多くのプラスの影響を与えてくれた。台湾がなければ今の私はなかった。台湾はすでに私の家であり、今、こうして帰化できたことにとても感動している。長年にわたる努力が認められたんだと思う」と語りました。

また、中華民国台湾の国籍を取った後の予定や、最もうれしかったことは何かと言う質問に対しては、「投票権を行使してみたい、投票を通して台湾とさらに直接つながることができると期待している」とし、また、帰化したことで、銀行などの機関で台湾人と同様の行政上の便宜を受けることができることや、高度外国人材の場合は元の国籍を放棄しなくても良いことからマレーシア国籍を保有したままでいいこともあり、高齢の両親に会いにマレーシアに帰るときにも身分が変わったことによるわずらわしいことが生じないのがうれしいと語りました。

なお、内政部によると、2016年(民国105年)12月21日に国籍法が改正されてからこれまでに累計で141名の長期にわたって台湾で働き、台湾を愛している“高度外国人材”が元の国籍を失うことなく帰化しています。

今回、帰化申請が認められた“高度外国人材”8名は、5名が教育分野、そのほか、科学技術分野が1名、経済分野が1名、そして医療分野が1名でした。

ちなみに、台湾に来た最初のころ、なかなか慣れなかったことはありますか?と記者からの質問に、彼女は笑いながら「台湾語」だと語りました。しかし、この数年、鍛えたことで理解できるようになったそうです。ただ、難しい語彙が出てくると、まだ勉強が必要だなと感じるんだそうです。

(編集:中野理絵/王淑卿)

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