台湾といえば、世界的にもジェンダー平等の考えや政策が進んでいて、アジアではもっともジェンダー平等指数が高いとされています。そんな台湾で先日、男女間格差についてある議論が行われました。それは労働保険の「障害給付金」─。
台湾にも労働保険において、被保険者が病気やけがで働けなくなった場合の「障害給付金」がありますが、現行の規定では男性か女性か、性別によって違いがありました。しかし、このたびその違いが取り払われることとなりました。
「頭部、顔面部、頚部に著しい外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)が残った場合」について、現在の規定では女性の被保険者の場合は障害等級8級とし障害給付金は360日分受け取ることができるのに対し、男性の被保険者の場合は障害等級は10級とし障害給付は220日分とされています。給付金の給付日数に140日の差が出ていました。金額にして最多21万台湾元(日本円でおよそ76万円)の差です。
このことについて、「これは男女差別なのではないか」という投書が行政院に届き、それに対して労働部が「社会生活において、外貌醜状によって受ける妨害は男女で異なる」と回答したことで、ネット上では「男性の顔に負うけがは値打ちがないのか」と物議を醸していました。
この物議を受け労働部は、このの男女の分別については「1979年より記されたものであり、当時の時代背景が反映されている」と説明。そして専門家や学者と共に会議を行った結果、社会環境の変化、性別の平等などにより、男女の障害給付は同等に障害レベルを8級とすることを決定しました。
また同時に「外貌醜状」を表現する際に使う中国語の「醜形」という言葉に対しても、差別的であるとして改称することを決めました。
労働部によると、予定では7月には草案を提出し、2か月の検討期間の後、早ければ今年中には規定の修正が行われる見通しです。