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児童青少年ザ・リポーター、読み聞かせコラム_【ムスリム向けレストラン業者】礼拝から肉料理の調理まで、いずれもメッカのカアバ神殿の方角に向かっている

  • 27 April, 2023

【彼らの物語】

【ムスリム向けレストラン業者】礼拝から肉料理の調理まで、いずれもメッカのカアバ神殿の方角に向かっている

文章/陳麗婷

撮影/鄭宇辰

原稿審査/陳栄裕、楊恵君

責任編集者/陳韻如

(前書)

ムスリム旅行客の観光インフラを評価する、「GMTI(グローバル・ムスリムトラベル・インデックス)」では、台湾は2021年と2022年、二年連続で世界二位にランクされています。このランキングからも台湾はムスリム旅行客にとって非常にフレンドリーな国であることが分かりました。台湾におけるムスリム向けレストランがどんどん増えています。ムスリム向けレストランになるには、ハラール認証を取得する必要があります。食肉処理をする人と、そのプロセスにも厳しい規定があります。屠畜する際、その苦痛を軽減しなければなりません。

≪児童・青少年向けザ・リポーター≫は、台湾でハラル認証レストランを経営している夫婦四人を取材しました。読者は、この記事を通じてムスリムの飲食文化と断食月に対する理解を深めることができると共に、台湾のムスリム向けレストランの経営状況を垣間見ることができます。

(本文)

今年58歳の中華系ミャンマー人、馬仁偉さんと同じ年の妻、中華系タイ人の朱雲菊さんが台北で経営しているムスリム向けレストランは、評判がいいです。顧客には、アラブ首長国連邦、マレーシア、インドネシアなどのムスリムの政治家と実業家が多数います。このレストランを経営するため、馬仁偉氏夫妻は、台湾に定住するようになりました。

2016年、台湾に定住したパキスタン出身のムスリム、Aliさんは、以前パキスタンとマレーシアに住んでいました。台湾人の妻、李霈華さんと結婚した後、2、3坪の大きさしかないインドカレーを売る店を経営していました。のちに自分の店を買い、2年前にハラール認証を取得しました。Aliさんご夫婦の店は、北部・基隆市初のハラール認証レストランです。

台湾人との付き合いについて、馬仁偉さんも、Aliさんも、台湾人は非常にフレンドリーだと言いました。Aliさんは、ちょうど礼拝の時間にお客さんがやってきた。でもこれらのお客さんはいずれも3分、5分待ってもかまわないといった。このような思いやりのある態度に感動し、台湾人と交流するようになったと振り返りました。Aliさんは、「台湾の文化は多様性に富んでいる。各種の宗教信仰はいずれもここで尊重されている」と評価しています。

食材はハラール認証を取得、殺生は苦痛の軽減を考える

面白いことに、来客によく「ムスリム料理の特色は何だろうか」と聞かれました。朱雲菊さんは、いつも笑いながら、ムスリムには、ムスリム専用のメニューはないと答えました。例えば、彼らのレストランで売っているのは、故郷、タイの北部の料理です。味はほとんど変わりません。ただ、食肉や食材はハラール認証を取得する必要があるだけです。ハラール認証を取得しようとする台湾の店がどんどん増えています。

「ハラール」は、アラビア語では、「許されたもの」、「許可を受けたもの」、「合法的なもの」の意味です。今は、原料、製造プロセス、製品の品質などが、イスラム教の法制度「シャリア」の基準をクリアする商品のことを指しています。ムスリムの人口の多い国では、鶏、羊、牛などの食肉はすべて専門の食肉処理場が提供しています。しかし、台湾では、ムスリムの人口はそれほど多くありません。飲食上のニーズを満たすため、以前、ムスリムの男性が食肉を処理していましたが、今はハラール認証を取得した企業が提供しています。

馬仁偉さんによりますと、ハラール認証を取得したムスリム向けレストランが使用する肉製品は、すべて厳格なプロセスを経ました。まず、男性のムスリム二名が西の方向に向かって一発で家畜を殺さなければなりません。その苦痛を軽減するため、2秒か3秒の間にそれを気絶させなければなりません。しかも、放血の手続きが必要です。肉製品には欠陥があってはいけません。病気の動物を使ってもいけません。

                                               

Box)ニュース充電スタンド

なぜ、ムスリムが屠畜するときと、礼拝するとき、西の方向に向かうか

ムスリム向けレストランのオーナーである馬仁偉さんによりますと、食肉を処理するとき、全世界のムスリムが礼拝するとき、いずれも「メッカのカアバ神殿」の方向に向かう必要があります。台湾、または東南アジアの国々からしますと、西の方向です。

ムスリムのスマートフォンには、いずれも「カアバ神殿」に関するアプリがあります。外国についてアプリを開くと、どの方向に向かって礼拝すればいいか、すぐわかります。                                          

ムスリム向けレストランのほかの原材料は、ほかの国でハラール認証を取得した商品を使うことができます。例えば、タイから輸入されたハラール食品など。最近、台湾ではハラール認証を取得した食品が増えており、食材の取得がたやすくなっていますが、その反面、価格も高くなっています。一方、ムスリムは排泄後に排泄部位を水で洗う規範があるため、トイレにはハンドシャワーを取り付ける必要があります。

多くのムスリムの国々の高官が台湾に来る際、国際レベルの観光ホテルに行かないで、ハラール認証のレストランで食事をすることを選びました。なぜなら、観光ホテルに行っても安心して食事できないからです。馬仁偉さんは、我々は宗教を敬うため、このレストランに来るお客さんはみんな安心して食事を楽しめるからだと説明しました。

断食月も通常通りに営業、心の中で許しを請う

しかし、年に一度の断食月、昼間は食事できない、レストランの方は、営業できるでしょうか。

今年の断食月の毎日の朝、Aliさんは時間通りに基隆にあるインドカレーの店をオープンしていました。朝、太陽が出る前、ミルクと、野菜果物のジュースをたっぷり飲んで、一日の忙しい仕事を迎える準備をしました。

イスラム教の国では、断食月にはほとんど営業していません。しかし、台湾では多くのハラール認証のレストランは、ムスリムでないお客さんのため、断食月にも通常通りに営業しています。

Aliさんは、断食は、イスラム教の唯一絶対の神、アッラーに対する責任だとし、以前、滞在していたイスラム国家では断食月になると、みんな集団で断食をする。おなかがすいていて我慢できないとき、周りの人、または警察官に見られないよう、どこかでこっそりと、ものを食べるしかない。しかし、台湾ではムスリムは少数派。断食月と言っても、台湾人と足並みを揃えなければならないと説明しました。

日の出から日没まで、仕事をしなければならないが、食事をしてはいけない、このような状況、体がついていけますか。このような質問に対して、Aliさんは、必ずルールを守らなければならないと強調しながらも、団体客が来る場合、炉端で肉を焼いたりもするから、一日働くと、非常に疲れる。調子が悪くなってめまいもするなら、早く水かエネルギーを補給する。断食月が終わったら、また礼拝、或いは断食を再度実施する方法で神様の許しを請うと説明しました。

一日中仕事をしたAliさんと妻の李霈華さん、日が沈むと、早くデーツを食べてエネルギーを補給します。

糖尿病を患っているが、忙しいとき水を飲んで申し訳ない気持ちでいっぱい

馬仁偉さんは糖尿病を患っているので、断食月は彼にとって大きな挑戦となります。

「断食月の最初の数日の方がつらい。」馬仁偉さんはこう言いました。例えば、お昼、厨房で忙しくしていて、思わず水を飲んでしまいました。断食月のことをすっかり忘れました。その時、神様の許しを請うしかありません。わざとそうしたのではないからです。

今年3月23日、断食月の初日、夜6時11分、妻の朱雲菊さんは、ライスヌードルを少し用意し、食事をしようかと考えていた時、お客さんが来ました。馬仁偉さんは、お水を少し飲んでデーツを食べてから、お客さんに料理を紹介し始めました。

「僕がちょっとイライラすると思うかもしれない」、断食月の初日、朝3時に朝ごはんを食べた後、もう何も食べずに夜まで頑張りました。「おなかがすいていて疲れ切っている。血糖値も下がっている。その影響だろう」

合間を縫って馬仁偉さんはライスヌードルを食べながら、「小さい時から現在まで、断食を中断したことはほとんどなかった」と振り返りました。営業日なら、朝3時に起きなければなりません。4時20分前、つまり太陽が昇る前に朝食を済ませなければならないからです。その後、夜の6時10分ごろまで、ものを食べてはいけません。夜の9時30分に寝たほうがいいです。体力を蓄えるためです。

信仰告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼はムスリムにとって一生の5大義務

馬仁偉さんは以前から糖尿病を患っています。妻の朱雲菊さんは、とても心配です。ふだん、おなかがすくと、いらいらします。手も震えます。しかし、毎年の断食月のとき、いくら忙しくしてもコンディションがいいです。「信念の支えだろう」と朱雲菊さんは言いました。幸いに断食月のとき、問題を起こしたことはありません。しかし、忙しいとき、「しばらく姿を消すと、彼を呼びます。倒れていないかを確認するためです。」ということです。

馬仁偉さんは、自分の体の状況を知っているので、朝、断食する前と夜ご飯を食べた後、インスリンを注射します。体調が悪くて病院に行かなければならないほか、必ず断食を徹底します。点滴を受けるなら、断食ではないからだということです。

馬仁偉さんは6歳のときから、両親と一緒に断食月を迎えました。予想外のことがなければ、断食を貫徹したいです。妻の朱雲菊さんは9歳のとき、両親から教わりました。「心の中で黙とうし、心を静めて断食を徹底する」と。

断食のほか、礼拝もちゃんとしなければなりません。馬仁偉さんは、彼のレストランの地下室には西の方向に向かっている礼拝できる空間がある。それは自分と妻の礼拝のスペースだけでなく、ムスリムのお客さんも一緒にここで礼拝することができると説明しました。

一日のうち、5回も礼拝する必要があるので、朝と寝る前を除いて、彼の礼拝の時間はちょうど店にいる時間です。夜6時過ぎに、ものを食べてもいい時間になったあとも、一回礼拝する必要があります。まず体を清めてから礼拝します。もし、ちょうどお客さんが来たら、夜帰宅してから礼拝をします。

礼拝はムスリムにとって非常に重要です。馬仁偉さんは、イスラム教の聖典「コーラン」では、ムスリムは一生「念、禮、齋、課、朝」の五つの義務があることが明記されていると紹介、そのうち、「礼」は、「礼拝」、「念」は、「信仰の告白」、齋は、「年に一度の断食月のこと」、「課」は、「お金を弱い立場にある人に寄付すること」、「朝」は、一生に一度は絶対行かなければいけないメッカ大巡礼。この5項目は、どれも欠かせないものです。

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