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馬場克樹の「とっても台湾」-2022-12-4_泰安温泉の魅力

  • 04 December, 2022
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馬場克樹の「とっても台湾」(爸爸桑的「非常台灣」)

<第1セクション【泰安温泉の地理と歴史】>

  • 泰安温泉は台湾中部の苗栗県に位置し、台北から南南西に直線距離でほぼ100km離れた海抜500メートルほどの山あいにある。先住民族のタイヤル族と客家系漢人の混在するこの地域は、「水雲三星」と呼ばれる横龍山(海抜1,318m)、虎山(海抜1,492m)、鳥嘴山(海抜1,437m)の、それぞれを龍、虎、鳳に見立てた三山に囲まれ、汶水渓の河岸沿いに温泉ホテルや旅館が十数軒ゆったりと点在する風光明媚な温泉郷だ。ここは泰安郷錦水村に行政区分されるが、「錦水」とは客家語で「煮えたぎる水」を意味する。
  • 実はほんの20年ほど前までは、泰安温泉は前述の警察療養所を前身とする旧・上島温泉の泰安警光山荘、騰龍温泉山荘、虎山温泉緑園館(現・湯之島虎山温泉会館)の3軒の宿が点在するのみのひっそりとした温泉場だった。ところが、「921大地震」が契機となり、泰安温泉がこんにちの姿に発展した。「錦水温泉飯店」のオーナーで中華民国温泉観光協会名誉理事長の徐享鑫氏は、開業当時を振り返りこう語ってくれた。「泰安温泉はもともと泉質に恵まれていたこともありますが、地震の影響で泉源が枯渇したり、施設が損壊してしまったりした台湾中部の他の温泉郷の代替地として発展する機会を得たのです」
  • 2020年金曲奨最優秀客家語アルバム賞&最優秀客家語歌手賞を受賞した苗栗南湾出身のシンガーソングライター米莎さんのアルバム《戇仔船》から《雙雙》をOA。

<第2セクション【台湾温泉の泉質:驚異の酸化還元値】>

  • 泰安温泉の泉質は弱アルカリ性炭酸ナトリウム泉で、いわゆる「美人の湯」である。この温泉は肌に触れた瞬間に違いがわかるほど保湿性に優れ、台湾の西海岸では随一の泉質ではないかと感じていた。それを証明する科学的根拠がある。2007年8月3日付で行政院国家科学委員会に提出された嘉南薬理科技大学観光事業管理学科の陳文福助理教授(当時)の「台灣溫泉水之氧化還原電位研究(仮訳:台湾温泉水の酸化還元電位の研究)」成果報告書によれば、調査対象となった台湾全土の11か所の泉源のうち、酸化還元力のレベルの指標であるORP値が、泰安温泉では最低値のマイナス277mvを記録した。これはこの抗酸化力が極めて高い泉質であることを意味し、地中の奥深くで1万年の単位でゆっくりと濾過されて湧き出た温泉であることを物語っている。
  • この地域の観光資源にも目を向けてみる。台湾の北部から中部の山間部では、4月から5月にかけて台湾華語で「油桐花」と呼ばれるアブラギリの純白な花が一斉に咲き、そして散る。泰安温泉のある苗栗県はこのアブラギリの聖地と言って良い。さらに、この季節は蛍の繁殖期とも重なる。夜になれば、無数の蛍がほのかな光を瞬かせながら飛び交う幻想的な光景に出逢えるかもしれない。
  • また、泰安温泉に隣接する大湖郷は、台湾のイチゴの一大産地である。12月から3月にかけてのシーズンには、週末になるとイチゴ狩りの観光客でごった返す。大湖地区農業組合の説明によれば、その作付面積は全国の9割にも達するという。イチゴは植えてから数か月間は大量の水分を必要とする。汶水や後龍渓の水源に恵まれていたこと、山あいの温暖な気候が生育に適していたことから、イチゴ栽培が大湖で広まったと地元の農家の周美琴さんは言う。このほか、大湖から泰安温泉に向かう道沿いには「清安豆腐老街(洗水坑豆腐街)」も是非訪れてみたい。
  • 苗栗タイヤル族のシンガーソングライターTalaw雷諾《流浪者》OA。

<第3セクション【緯度と標高差が生む究極の温泉保養地】>

  • 渓谷の豊かな自然に囲まれた環境でドイツ式の温泉保養地の概念を提唱する徐氏は、こんな考えを披露してくれた。「緯度の差が南北に100km、もしくは標高差が1,000mに達すると、人間の身体は自然に現在の環境に合わせようと調整を始めます。台北から南に100km下った場所に位置する泰安温泉で、周囲の1,000mを超える山をトレッキングすれば、身体には緯度差と標高差の両面から生理的な調整機能が働きます。これに「水療(ハイドロセラピー)」や温泉の効能が加わることで、究極の癒しを提供できるのです」
  • ホテルの標語には「身も心も魂も癒される上質の温泉を体感」の文字が並ぶ。そして、料理レシピ本を執筆したこともある徐氏監修の精緻な客家料理も、また楽しみの一つ。
  • 今月のオリジナル曲『泰安情歌』を馬場がギターで弾き語り。

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