今日ご紹介するキーワードは、「恐龍法官」です。直訳しますと「恐竜裁判官」ということですが、これは「恐竜の時代に生きている裁判官」という意味合いがあります。
もし何かしらの事件が裁判での判決結果が、台湾の大多数の人が予測した結果よりもずっと刑罰が軽い場合、人々はよく裁判官を「恐竜裁判官」と呼び、「裁判官は現代の法律がわからないのだ」と言い、判決結果に対する不満を発散します。
裁判官が「恐竜裁判官」と呼ばれる最も典型的な例は、残虐な殺人事件の犯人に対して、「犯人は教化されることができる」、「犯人は犯行時、精神的に病んでいた」などの理由で、死刑ではなく、懲役、更には無罪を言い渡したことです。
また、性犯罪の被害者に対して、「なぜ逃げなかったのか」と、被害者の気持ちに全く理解していないような発言をする裁判官も、恐竜だ、「裁判官様は一般市民の気持ちなどわかるはずがない」などと言われます。
「恐竜裁判官」と呼ばれる裁判官たちは、本当にそんなにひどいなのでしょうか?
近年、台湾は「国民法官法」を可決し、裁判員制度を導入しました。この法律によって、刑事訴訟で一般市民から選出された裁判員と職業裁判官が共同で評議を行い、事実認定および量刑判断を行うことができます。
裁判所によりますと、ここ数年、裁判員制度を導入してみた結果、一般市民による裁判員は、意外にも、裁判官と同じ、さらには裁判官の判決よりも軽い刑罰を主張する傾向があります。
例えば、ある模擬裁判では、数年前に台湾中部・台中市で発生した殺人事件を例にしました。彼女に別れを告げられたある大学生は、その彼女と彼女の父親を殺害しようとし、結局1人死亡、1人重傷となりました。当時の裁判の結果、その大学生は22年と6ヶ月の懲役が言い渡されましたが、模擬裁判で6人の裁判員と3人の職業裁判官は、殺人と殺人未遂などとして、懲役20年の判決を下しました。元の判決よりも2年少ないです。
裁判員として模擬裁判に参加したある女性は、「裁判長のように、いざ誰かに判決を下す立場となったら、法律に基づいて、理性的に考えなければいけなくなった。しかし、被告人も感情のある一般人だ。一時的な衝動に駆られて犯行を下した可能性がある。判決を下すのは非常に難しい」とコメントしました。