今日ご紹介するキーワードは、「吃土(土を食べる)」です。
この言葉は、よく高額な買い物をしたあと、あるいは突然に発生する出費のあとに使われます。予想以上にお金を使ってしまい、その出費をカバーするためには、食費を抑えるしかありません。こういうときは、「我這個月要吃土了(今月は土を食べることになった)」と言います。
また、すでに節約生活を過ごしていて、なんとか金のないピンチを乗り切ろうとしているのに、友達からお出かけに誘われたときも、「我正在吃土(私は今土を食べている)」という一言で、かんたんに自分の苦境を相手に伝えて、やんわりと断る事ができます。
つまり、「吃土(土を食べる)」は、やや大げさにお金に困っていることを例える言葉です。中華圏では日常生活の中でよく見聞きする言葉であり、主に若者を中心に使われています。
「吃土」は本来、中国大陸の「双11(ダブル11)買い物まつり」から由来した言葉です。毎年の11月11日、中華圏の独身者の記念日「光棍節」を祝うため、中国のネットショッピングモールでは大規模な値引きセールを行います。各店が打ち出したタイムセールや魅力的な割引価格に釣られて、ついつい必要以上に買ってしまった人たちは、「生活費まで使い果たしてしまった。これからは土を食べるしかない」という言い回しで、買い物に費やした金額の多さを強調したのが最初だそうです。
土を食べるというのはあくまでの例えですが、例えであろうと、文面上の意味であろうと、おそらく誰もが避けたがることでしょう。
ところで、研究によりますと、土を食べることは、動物の間ではよくあることです。鹿、象、うさぎ、ゴリラなど、およそ200種類以上の動物には土を食べる習慣があります。人間も、およそ紀元前460年前から、土を食べる記録があるそうです。粘土を薬として病気を治療したり、香辛料として苦味のある食材と一緒に調理したりするなどです。動物と人間が土を食べる理由は、土の中にはカルシウム、ナトリウム、鉄分などの栄養素が含まれていると信じられています。また、近年の研究によりますと、土を食べたネズミは、普通のネズミより太りにくいそうです。土を食べることは、実は案外悪いことではないみたいですね。
(編集:曽輿婷/王淑卿)