今日ご紹介するキーワードは「安全帽樹」。
昨年(2021年)末頃から話題を集めていますが、一体何でしょうか?
ここ2ヶ月ほど話題となっているこの「安全帽樹」とは、「安全帽=ヘルメット」の形をした“樹”のことなんです。
台湾では、大きなガジュマルの樹があちらこちらに生えていて、街中でもよく見かけます。中には、ガジュマルの樹が歩道の半分を占拠している場所があったり、ガジュマルの樹を避けるようにぐにゃっと駐車禁止のラインが曲がっているところがあったりと、ガジュマルの樹を中心に周りが組み立てられていたりします。
そんな台湾ではお馴染みのガジュマルの樹ですが、今回、話題となっているのは、台湾中部・彰化県の埔鹽鄉員鹿路三段の道路脇の住宅の前にある1本の大きなガジュマルの樹です。
ここの樹は樹齢98年!とっても大きな樹で、木の半分が道路の方にぐっと伸びていて、片道1車線の道路をすっぽり覆ってしまっていました。
そこで、大型車が通りやすいようにと、道路にかかる樹の一部を剪定して、まるで樹のトンネルをくぐるようになっていたんですが、その様子を少し離れたところから見てみると、その樹の形がまるで「バイクのヘルメットみたいだ!」とネットで話題となり、人気のフォトスポットとなったんです。
ところが!春節(旧正月)前の1月末、その姿は別のものになってしまいました!
これまで2車線を覆うようにあった枝が幅が半分となり、下の方はすっきりと剪定され、高さの高い“ただの大きな樹”になっていたんです。
この姿にネットは騒然!
「ヘルメットじゃなく、ブロッコリーになってしまった…」と悲しみの声が多数上がりました。
また中には、大きく伸びた枝が道路の向かいの電線にかかりそうだったことから、「台湾電力が切ってしまった!」なんて声もありましたが、実は、交通の安全のため、台湾電力ではなく、彰化県が通行の妨げになる部分の枝を剪定したのでした。
なんでも、以前、この樹の下をレッカー車が通った際に、木の枝にぶつかり枝を折り、後ろを走っていた車が通過する際にその折れた枝が飛び跳ねて車を壊してしまい、車の所有者が国に賠償を求めたという事があったんだそうです。
そこで、彰化県が毎年予算を組んで、安全補修を行っているそうで、今回、道路を覆うように伸びていた枝をバッサリ剪定。“すっきり”とした大きな樹に変身しました。
またもちろん、そばの電線に接触してしまっては危ないからという理由もあったそうですが、台湾電力はちょっとしたとばっちりを受けてしまいましたね…。
彰化県は、交通や電線の安全のために行われた剪定ですのでご理解くださいとしていて、ネットでも理解する声が多数上がっています。
ただ、一方で、観光スポットが一つ減ってしまった…なんて言われていますが、でも、実はここ、彰化県の埔鹽鄉は台湾のブロッコリーやカリフラワーの一大生産地で、ドライカリフラワーが有名な場所。
地元の人たちは、今後もここに「ブロッコリーの樹」の写真を撮りに来て、特産のブロッコリーやドライカリフラワーを買って行ってくれるのを歓迎します!とアピールしています。
「安全帽樹(ヘルメット型の樹)」ではなくなりましたが、今後は「ブロッコリーの樹」として人気が続きそうです。