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Rti 台湾国際放送Rti 台湾国際放送ナルワンアワー(月曜日) - 2021-10-04_片山九郎右衛門が挑む新作能「媽祖 –まそ-」

  • 04 October, 2021
ナルワンアワー(月曜日)
観世流能楽師の片山九郎右衛門が挑む新作能「媽祖-まそ-」。20年前に台湾の友人から「媽祖を能にして欲しい」と言われていたことが蘇り、今回挑むこととなった。公演に向け制作費はクラウドファンディングで募集を行っている。(写真:新作能「媽祖-まそ-」クラウドファンディングページよりスクリーンショット)

皆さんは「能」はご覧になりますか?

600年を超える歴史の中で独特の様式を磨き上げてきた日本の代表的な古典芸能です。継承されている演劇としては“世界最古”とも言われていて、世界無形遺産に指定されています。

その「能」をよくご覧になる方にはもちろん、難しそうで観に行ったことがないという方にもぜひ注目していただきたい「能」があります。

それは、観世流能楽師の片山九郎右衛門が挑む新作能「媽祖-まそ-」です。

媽祖と言えば、台湾の道教の女神として有名です。

“航海の女神”とされ、漁業や航海の安全を守る神様として知られていますが、台風や洪水、地震や疫病などが多い台湾では、次第に様々な面で「媽祖」様にご加護を祈るようになり、それに伴う数々の伝説や奇跡から、台湾では“航海の女神”としてだけでなく、台湾の歴史や人々の生活にとても密接に結びついている“全能の神”として広く信仰されています。

そもそも、どうして台湾で有名な神様を今回、「能」の題材にしようとしたのかというと、実は片山九郎右衛門さんは20年前に、台湾の友人である女性舞踏家の樊潔兮(Jessie Fan)さんから「媽祖を能にして欲しい」と言われていたんだそうです。そんな友人から託された願いが、新型コロナウイルスの影響で公演機会が失われる中、片山九郎右衛門さんの心に蘇りました。

未曾有のコロナ禍で先の見えない不安を感じる世の中において、日本人だけでなく世界中の人の心に希望の光を灯す能を作りたい。そして人を愛することの意味、その大切さを伝えていきたい─そんな思いからこの新作能「媽祖―まそ」に挑むことになったんだそうです。

その新作能「媽祖―まそ」のあらすじは…

疫病や戦乱、海外からの侵攻に見舞われる天平時代。菩薩の心を広めるため諸国に百万塔を納めたいと願う称徳帝は、大伴家持を筑紫へと派遣します。航行の安全を祈るため立ち寄った住吉の社で海難を予知し、人々を救う黙娘という巫女と、その二人の従者を伴って、難波津より船出をしますが、一行は途中、嵐に遭遇してしまいます。

荒天に神通を得た黙娘は、赤き衣をまとい、船の行く先を指し示し、従者もろとも姿を消しました。

筑紫へ無事たどり着いた家持が黙娘に感謝しつつ百万塔を納めると、海の彼方より神となった黙娘「媽祖」が二鬼神を従えて飛来し、喜びの舞を舞うと、住吉明神も海から出現し、さらに外つ国まで、菩薩の慈悲を広めるために旅立つよう家持を誘うのでした。

片山九郎右衛門さんが構想し、親交の深い小説家の玉岡かおるさんが脚本を担当。シテ(主役)の媽祖を片山九郎右衛門さんが演じるほか、観世流の味方玄さん、分林道治さん、宝生流ワキ方・宝生欣哉さん、和泉流狂言方・野村萬斎さんらが出演します。

そして今回、この新作能「媽祖-まそ-」の公演に向けて、9月9日からクラウドファンディングで制作費を募集しています。

なぜクラウドファンディングなのかというと、通常の能公演とは異なり、新作能の上演には、脚本や能のセリフ、新たな能面の制作などが必要となることや、アーカイブ化して後世への継承と世界への発信を目的としているからだそうです。

そのため、今回のこの公演は、能楽堂での鑑賞のみならず、国内外に向けたライブ配信と、字幕付きアーカイブ配信の両方を予定しているそうです。

公演は来年(2022年)4月2日に行われ、チケットは一般販売せず、クラウドファンディングのリターン限定です。リターンは、チケット(6,000円から)の他、ライブ+アーカイブ配信(4,500円)。公演DVD(8,000円)、通常非公開の片山家舞台で事前ワークショップ(3万円)、講演を題材にした京菓子「俵屋吉富」の創作和菓子(3,800円)などがあります。

クラウドファンディングはスタートから10日目にすでに目標額の1,100万円を達成しましたが、追加公演も視野に11月7日まで支援を募っているとのことです。

自由に海を渡ることができない今だからこそ、媽祖の物語を日本の伝統芸能である「能」で演じることによって、近隣諸国の方々と心を通わせたいという思いと共に紡ぎだされる新作能「媽祖-まそ-」。まさに日本と台湾をつなぐ公演となるのではないでしょうか。

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