先週末(7/30)、台湾東部・花蓮県の花蓮港に、日本から列車の車両が到着しました!
これは、在来線の台灣鐵路管理局(台湾鉄道)が日本の日立製作所グループに発注した車両「EMU3000」で、1編成12両の車両を50編成、合計600両を442億9000万台湾元(日本円およそ1740億円)で発注したものです。今回、そのうちの第一陣となる12両が台湾に到着しました。
白いボディに黒いフェイスのシンプルなデザイン。フロントは流線型になっていて、正面からの見た目は“シャチ”のようなデザインですが、私はその写真を見たときなんだか優しい印象を受けて、何となく“イルカ”をイメージしました。
当初、この新型車両の第一陣は6月下旬に台湾に到着予定の計画だったそうですが、台湾域内での新型コロナの感染拡大が起こったことから、外国人に対する入国ビザの発給が止まったため、日本からの関係者の台湾入りができなくなってしまい、今回、およそ1か月遅れでの輸送となりました。
台湾鉄道によると今後も続々と輸送されてくる予定で、そのうち3編成が今年(2021年)の年末までに試験走行を完了させ、来年の春節(=旧正月)までに2編成を投入、その後、3月に2編成、6月に4編成と、合計11編成を投入の予定です。この11編成はまずは利用者の増加が著しい台湾東部の路線に優先的に投入する予定だそうで、その後、投入路線を拡大していく方針で、2024年末までに50編成全ての納入が完了する予定です。
台湾の在来線では、最優等列車の「自強號」や、急行列車「莒光號」といった主力列車の車両がいずれも耐用年数に達していて、故障が頻発していることや、花蓮や台東といった台湾の東海岸の都市を結ぶ路線の移動需要が増えていて、新たな車両の投入が求められてきました。
また現在、その東部を主力として走っている“太魯閣號(タロコ号)”や“普悠瑪號(プユマ号)”は8両編成ですが、今回の新型車両は12両編成、座席数は538席あるので、投入後は花蓮、台東の輸送能力が14%アップする見込みで、50編成全て投入した後は花蓮、台東の輸送能力は40%も輸送能力がアップする見込みなんだそうです。
台湾の人、特に台湾東部の人たちからの期待も高い新型車両。
日本から台湾に向けて輸送する前には、日立製作所の山口県下松市にある鉄道車両工場・笠戸事業所で安全祈願が行われ、台湾鉄道側からも馮輝昇・副局長をはじめとする関係者がリモートで参加していましたが、台湾の花蓮港に到着した日も、港で記念式典が行われ、中華民国台湾と日本の国旗のイラストが背中にあしらわれた“だるま”が準備され、関係者らが目を入れていました。
港には宜蘭、花蓮、台東の議員も多数参加し、祝福のスピーチを行ったほか、日本台湾交流協会の星野光明・主席副代表も駆け付け、新型車両の第一陣が無事に台湾に到着したことへの祝福と、台湾の鉄道では長年日本製の列車が使われていることから、日本と台湾の長年にわたる連携と協力に深い感謝を述べました。
ちなみに、まだこの新型車両が走る際のネーミングは決まっていないようですが、台湾原住民族の一つ阿美(アミ)族出身である廖國棟・議員は、「台湾には既に(原住民族の名前を付けた)“太魯閣號”、“普悠瑪號”という名前の列車がある。新しい列車にはぜひ「阿美公主號(阿美プリンセス号)」と名付けて欲しいと語っていました。
日本の新型車両にどんな名前が付けられて、多くの台湾の人々を乗せて走るのか、その日が楽しみですし、コロナ後、台湾を訪れる日本人をはじめとした多くの外国人観光客も、この新型車両で台湾の東部の旅行が楽しめる日が待ち遠しいです。