ナルワンアワー(月曜日) - 2020-09-07_置き忘れたスマホが結んだ台湾の人たちの“やさしさ”の縁

  • 07 September, 2020
  • 王 淑卿
無事に宮木さんの元に届いたスマホに添えられていたユンさんからの手紙。(写真:日本台湾交流協会フェイスブックページより)

皆さんは、台湾の好きなところをあげるとしたらどんなところですか?私もよくこう答えますが、台湾の“人”、“人の温かさ”だという人が多いと思います。台湾で道に迷っていたら案内してくれた。重たい荷物を運ぶのを助けてくれた。落としたものを届けてくれた…などなど、困っているとすぐに手を差し伸べてくれる人がとても多い印象です。

そんな台湾の人の優しさを受けた一人の日本人男性のエピソードが今、台湾でも話題となっています。

日本の東京にある立正大学に通う宮木快さんは、去年の4月、台湾南部の街・台南を一人旅しましたが、帰国の日、電車の中にスマホを置き忘れてしまいました。中国語も台湾語も、そして英語も苦手という宮木さん。フライトの時間も迫っていたためにそのまま帰国する事に。

帰国した翌日、外務省や、日本と台湾の窓口機関である「日本台湾交流協会」などに問い合わせましたが、「忘れ物には対応できない」との回答。しかし、旅の写真も多く保存されていた事もあり諦められず、台湾の人も多く利用しているという言語学習アプリ「Hello Talk」にスマホの特徴やスマホを忘れた電車、日時などを投稿し助けを求めました。

するとその翌日、台北市に住む「Siang-Yun(ユンさん)」という女性から、「ハロー、手伝ってあげましょうか?」とのメッセージが。日本語の得意なユンさんは、宮木さんに代わって、台湾の駅の警察署に問い合わせてくれるなどし、ついに発見。

その後スマホは、そのときちょうど日本から台湾に帰って来ていたユンさんの友達が日本に帰るときに持ち帰り、6月上旬に無事に宮木さんのもとに「もう無くさないでね!笑」というユンさんの手書きのメモと共に届けられました。

元々知り合いだったというわけでもなく、偶然アプリで見かけたメッセージにあれこれと手を尽くしてくれたユンさん。そのやさしさに心が温かくなります。

ですがこの話はこれだけで終わりません。

宮木さんはユンさんに直接お礼を伝えたいと思っていたものの、タイミングが合わず、その後、いつの間にかユンさんのアカウントもアプリから消えており、持ち帰って届けてくれたユンさんの友達の送付先が書かれた紙ももう捨ててしまっていました。そこで、たしか福岡から送られてきた…という記憶を元に、福岡の新聞社のコーナー「あなたの特命取材班」に「恩人を探して欲しい」と依頼しました。

依頼を受けた新聞社の記者がこのエピソードと共に「恩人を探している」という記事を出すと同時に、宮木さんがユンさんとつながるきっかけとなった「Hello Talk」にも「ユンさんを探している」という事を投稿すると、今度は、台湾高速鉄道に勤める台湾人男性が、台湾の大手新聞社「蘋果日報(アップルデイリー)」の記者に伝えてくれるという話となり、後日、「蘋果日報(アップルデイリー)」のニュースサイトでこの記事を紹介。そして、台湾の各メディアや、「日本台湾交流協会」のフェイスブックなどでも伝えられ、こうした記事を「Hello Talk」の担当者がたまたま目にし、この担当者からの連絡を受けて、ユンさんは自分が探されている事を知ったそうです。そしてユンさん本人がLINEで宮木さんに連絡。多くの人の優しさを借りて、宮木さんは無事に“恩人”を探し出すことができ、お礼を伝える事ができました。

なんでもユンさんは、10年ほど前から日本のドラマやバラエティー番組が大好きになり、日本語を勉強するようになったそうで、自身も電車で傘をなくした経験がある事から、宮木さんを「助けてあげたいと思った」んだそうです。

1年ぶりに感謝の気持ちを伝える事ができた宮木さんは、「台湾や日本で多くの人が協力してくれたおかげです。優しい人たちに「ありがとう」といいたい」と話しています。

また、宮木さんのスマホを持ちかえり届けた福岡に住むユンさんの友人も、「今は難しいかもしれないけれど、いつか3人そろって会えたら面白い」と語っていたそうです。

またこれが実現すると素敵ですよね。本当に多くの人たちの“やさしさ”がつながってたどり着いた縁。「困っている人がいたら放っておけない…」この“やさしさ”が多くの人を魅了する台湾の魅力のひとつでもあるんですよね。

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