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ナルワンアワー(月曜日) - 2020-08-03_ドラマ「半沢直樹2」で巻き起こった中華民国台湾の国旗問題

  • 03 August, 2020
ナルワンアワー(月曜日)
論争が起こったシーン。最初は台湾をはじめ各国の国旗が表示されていたが、再放送以降は全て国旗は表示されていなかった。

先週のこのコーナーで、日本のアニメが台湾でも数多く放送されているという話をしましたが、ドラマも同じです。台湾では多くの日本のドラマが放送されていて、最近では1週間くらいのタイムラグでほぼ同時に放送されたりもしています。

アニメと違うのは、ドラマの方は音声が吹き替えられることなくそのままで、中国語の字幕がつけられて放送されています。そのため、日本語でドラマの名台詞を覚えている台湾の人も多くいます。

たとえばドラマ「半沢直樹」。主人公・半沢直樹の名台詞といえば「やられたらやり返す、倍返しだ!」ですよね。中国語ではその「倍返しだ!」の部分は「加倍奉還!」と言って流行語ともなったのですが、あえて日本語を使って「倍返しだ!」と言う人もいます。

そんな台湾人にも人気のドラマ「半沢直樹」の続編が、7年ぶり、そして新型コロナの影響で3ヶ月の延期を経てついに始まりましたね。台湾でも楽しみにしているという人が少なくないのですが、台湾では続編の正規放送はまだ始まっていません。しかし、その続編「半沢直樹2」のあるシーンで論争が巻き起こっているのをご存知でしょうか。

主人公・半沢直樹がオフィスで電話をするシーン。彼の背景に世界23の国・地域の株価チャートの巨大な電光掲示板があるのですが、そこに「台湾」という二文字と、青天白日満地紅旗と呼ばれる中華民国の国旗が表示されていたことから、それを見た中国のネットユーザーから不満の声が上がったのです。そしてこのドラマを配信する中国の動画サービス会社が、「半沢直樹」の前シリーズと今作の配信を全て停止しました。

ところが、翌週に再放送された際には、「台湾」との表記はあるものの、全ての国旗が消えていました。これについてドラマを制作したテレビ局側は「制作過程についてはお答えしておりません」としています。

このことについて台湾のネットユーザーは、残念だと悲しむ声がある一方で、「おそらくテレビ局も視聴者にこれ以上不満やいい争いをして欲しくないと願ってのことだろう」と意外と冷静な反応も多くありました。また台湾のメディアは、その再放送で国旗の表示をはずしたということ自体よりも、テレビ局側の対応に日本のネットユーザーたちが憤慨している様子を報じています。

ちなみに中華民国台湾の国旗をめぐっては、来年公開予定の1986年のハリウッド映画「トップ・ガン」の続編「トップ・ガン マーヴェリック」でも、トム・クルーズ演じる主人公が着ているレザージャケットの背部分に、元々は日本の国旗と中華民国台湾の国旗が描かれたワッペンがついていたのですが、「トップ・ガン マーヴェリック」の予告編では別のモチーフに書き換えられていました。これは、今作のスポンサーが中国のIT企業であることから、スポンサーに忖度したのではないかと言われていて、アメリカでも物議を醸しています。

ここ数年、映画の減収が続いてるアメリカ市場に対して、中国市場は伸びていて、早ければ今年中には中国は世界最大の映画市場になると見られており、ハリウッドにとって中国というマーケットを無視できないようになっている点が大きいようですね。

どちらの作品も、中国市場を意識しているのと言うのが透けて見えてきますが、“大きな組織にもひるまず戦うストーリ”のドラマである「半沢直樹」で、このような対応があったことに対して、ネットでは「制作したテレビ局自身が、半沢直樹の不屈の精神を持っていないのは問題だ」と言う声も聞かれました。

エンターテイメントにおいても中華民国台湾と中国を巡る様々な物議が沸き起こっています。

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