日本のアニメが世界のあちこちで放送されているのはよく耳にしますよね。台湾でも、「ドラえもん」や「ポケモン」、「クレヨンしんちゃん」、「名探偵コナン」、「スラムダンク」、「あたしンち」、などなど…様々な日本のアニメが中国語に吹き替えられて放送されています。そのため、こういった日本のアニメを見て日本の生活や文化を知ったという台湾人も多いようです。
また一方で、こういったお馴染みの日本のアニメを見ながら中国語を勉強しているという台湾在住の日本人も少なくありません。よく、言語を学習するならアニメで学ぶといいというようにも言われますよね。そこで、楽しみながら“台湾語”を学べる教材を作ろう!と、教育部と文化部が共同出資して、4つのアニメの“台湾語吹き替え版”を作成。今月19日にその吹き替え版のアニメを公開しました。
その4つのアニメとは、「卡滋幇(Katz Fun)」、「九藏喵窩(じょうざんみゃおうお)」、そしてなんと、日本のアニメ「ちびまる子ちゃん」と「少年アシベGO!GO!ゴマちゃん」。それぞれの版権元から許可を得た上で、吹き替えや字幕を作成しました。
教育部によると、これらのアニメは内容が日常的で、小中学生の学習に向いているとし、ストーリーも家庭や学校といった日常生活を軸にした内容で、多くの人にとって幼い頃の同じ記憶ともいえ、皆が共感しやすいものだとしました。
実は、これまでにも日本のアニメの吹き替えでキャラクターによって“台湾語”が出てくることはありました。「あたしンち」というアニメでは勢いのあるキャラクターのお母さんがよく“台湾語”で話したりしています。でも今回の4つのアニメは一部ではなく、完全に“台湾語吹き替え版”。台湾語は音の上がり下がりといった“声調”が中国語よりも多く、発音が難しい上に、キャラクターにあわせて“台湾語”にするのではなく、今あるキャラクターをそのままに“台湾語”に吹き替えるとあって、声優さんたちも苦労したようです。
ちびまる子ちゃんの声優を勤める郭雅瑂さんは、14年のキャリアを持つベテラン声優ですが、台湾語を話すと同時に、まるちゃんの独特な声を出すのはとても難しかったと語っています。そのため1話の台湾語吹き替えに3時間かかったそうで、全ての吹き替えに1年かかったそうです。
そんな苦労もありつつ作り上げ、このたび公開された“台湾語吹き替え版”のアニメたち。気になる子供や子供を持つ親の反応はというと…、台湾語の字幕はわからないという子供もいたものの、全体的にはなかなか好評のようです。このアニメはすでに全国の公立小中学校や直轄市の市役所、県市政府の教育局に順に届けられており、今後“台湾語”学習の教材として広く使われていくことになります。
ちなみに、今回“台湾語吹き替え版”が作られた台湾のアニメのうちのひとつ「九藏喵窩(じょうざんみゃおうお)」は、日本進出を果たした初の台湾アニメで、今年の1月から千葉テレビで放送もされています。
教育部は、これらのアニメによって、台湾語教育の推進をすると共に、アニメ産業を後押ししたいともしています。
なお、この4つのアニメの“台湾語吹き替え版”は教育部の特設サイトから見ることができます。アドレスはhttps://twbangga.moe.edu.tw/index です。興味がある方はぜひ見てみてくださいね。
(編集:中野理絵/王淑卿)